古谷経衡氏が第2次安倍内閣を総括「バカが増えた」【2020年重大ニュース】

長い文章の読み書きをしないから知性や教養の量が落ちている


そして、これは以前からですが、ネット記事ですら見出ししか読まない。4000文字を超えると“長い”と批判が来る。新書は普通8万字くらいですから、その1/20の記事すら長いと感じるならもうどうしようもない。さらにいえば、ツイッターの140文字ですら理解できていないかもしれない。あとアイロニックとかウィットとかそういうものが通じない。皮肉ということも分からない。映画やドラマでも皮肉とか暗喩といったものもいちいち台詞で説明しないと分からない。映画『風の谷のナウシカ』のシーン(ペジテの王族の姫が、瀕死の状態をナウシカが悟る場面)で、SNS上で“あれはどういう意味?”と聞いている人がたくさんいてビックリしました。それが分からないのは演出を理解する素養がないから。この7年で特にこういったことが増えました」

「安倍政権を振り返る」という質問でこういう切り口が出てくるとは思いませんでした。

「社会が多様化したから、とか分断が進んでいるからと説明する人もいますが、そんなことじゃないと思うんです。全部ではないですが単に知的レベルが落ちたんです」

 そういう人が投票するんだから政治家のレベルも落ちる?

「かもしれないですね。そういう、文脈とか行間みたいなものが分からないから動画で伝えるしかない。だからネット右翼って、動画で喋っている番組がほとんど情報源で、話者の本は買うには買うが積読です。右ばかり叩くんで左も叩きますが(笑)、最近の進歩系を気取る若者は資本論も読んでない人が多い。僕も高校時代に資本論は初読時には挫折しましたが、少なくとも『空想から科学へ』くらいは読んで政権批判すれよと。でも読んでない。レオ・ヒューバーマンくらい、2時間で読めるから読めよと。そんなんで”リベラル”とか名乗るなと言いたいですね。沖縄はもともと中国領で日本が取ったんだ、とか。琉球は二重朝貢国で中国領だった事実はない。そのくらい勉強してから反権力やれよと言いたい」

 比喩や暗喩といったことが理解されないと、書き手は大変です。

「揶揄するために「保守」とか書くじゃないですか。その「」の意味とかも分からない。多少本を読んでいる人なら分かるじゃないですか。でも今はそれも説明しないと分からない人が多くなった。

 みんな分かりやすく、分かりやすく、と言います。しかし物事や世界ってそんなに分かりやすく説明できますか?『分からない、という事を分かる』という姿勢の欠落です。長い時間をかけてじっくり解読しないと、物事の本質の表面にもタッチできない。まして5分、10分の動画で物事など分からない。私は学者じゃなくて物書きですから、研究なんぞはおこがましいですが、少なくともタッチぐらいはしようよと。でもそれに必要な長い思考や、継続的な熟考に耐えられなくなっている。某ビデオ店に行ったら“90分以内で見られる映画”コーナーがあって仰天しました。これじゃ『風と共に去りぬ』も『ガンジー』も『スパルタカス』も見れなくなったのか、と。もちろん、日本人全員が劣化しているとは思いません。驚くほど聡明な若者はいます。が、総じて平均を取ると知性が毎年2%ずつくらい、単年度では気が付きませんが10年でみたら30%くらい落ちているという気はします」
 文筆家で評論家の古谷経衡氏が自らが中学時代から受けた両親からの「教育虐待」、それを因とするパニック障害の発症、そして現在に至るまでの親との確執を赤裸々に描いた一冊。著者と同じような体験をしている者、あるいは気付かないままに「教育虐待」にさらされている者へ“気づき”とそこからの逃げ方、そして戦い方を示すものとなっている。

『毒親と絶縁する』【著者】古谷経衡【発行】集英社【定価】本体820円(税別)
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