THE RAMPAGE 浦川翔平、BUZZを発信し続ける銀座を歩く<BUZZらないとイヤー! 第30回>

銀座万灯籠」は、落ちてくる火の粉の映像を背景に、古都奈良の情緒を表現

 

 明るいエントランスで揺れる暖簾をくぐって進んでいくと、真逆の漆黒の闇に包まれます。足元に気を付けて歩くうちに目も慣れてきて、目に飛び込んでくるのは和テイストの非日常な空間。いくつもの古い吊灯籠がぼんやりと照らす「銀座万灯籠」に迎えられます。

 館内は、「百花繚乱~進化するアート~」というテーマのもとで、エリアごとにコンセプトが設けられ、華やかで幻想的な空間が広がっています。

 寺社建築でよく見られる回廊を表現した「金魚の回廊」では、柱に見立てた円柱の水槽のなかに、色とりどりの金魚たちが舞い泳ぎます。水槽は照明によって赤や緑、青と変化していきます。浦川さんは水槽に顔を近づけて、金魚たちをじっと見つめます。

金魚の回廊:大の魚好きの浦川さんですが、飼育になると、まったくダメなんだとか…

 

「いろいろな種類の金魚がいるんですね。なんて種類だろう」と、浦川さん。「金魚の回廊」に限らず、館内には、水槽のなかでひらひらと泳いでいる金魚たちについての説明はありません。水族館ではなく、美術館であるポイントがこれです。館内に展示されているのは金魚たちによる生きているアート。以前、アートアクアリウムを手がける木村英智氏も、金魚たちの説明を施してしまうと水族館になってしまうと話していました。

「ちょっとそこ、集まりすぎ」「君は結構出目ってるな」。浦川さんは金魚たちに語りかけながら、回廊を歩いていきます。

「金魚の滝」も時間ごとに色が変化していく

 

 鑑賞するなかで、「ここに来たのは初めてなんですけど、名前とか金魚のアートとか聞いたことがあるなって思ってたんですよね。ただ、その時は銀座じゃなくて……。前にどこかにありませんでしたか?」と浦川さん。実はその通りで、アートアクアリウムはこれまで、夏の風物詩として期間限定で開催されて人気を集めて、評判は海外にも響き渡りました。2020年にはコロナ禍にありながら日本橋に初の常設として「アートアクアリウム美術館」が登場しましたが、今はその役目を終え、銀座三越で新しい歴史を刻み始めました。

 アートアクアリウム美術館GINZAには、これまでの人気作品もありますが、新作も複数展示されています。そのひとつが「金魚の滝」。いくつもの波を打つような形状の水槽の表面を水が落下、さながら滝の中を金魚たちが泳ぐ、ひと際涼し気な作品です。

「新金魚品評」日本橋でも同様な展示があったが、そのときは丸い水槽。銀座では新しい見え方に。奥の赤い球体は新作「オリガミリウム」

 

「新金魚品評」の展示エリアでは色とりどりの金魚たちをじっくりと俯瞰で見て楽しめます。水槽には、色や形、そして動き方など、水槽の数だけ個性のある金魚たちが泳ぎ、その小さな揺れや動きもじっくりと楽しみながら、“品評”する気分で鑑賞できます。他エリアとは違って、照明が明るく一定に保たれているのも特徴です。

 

 浦川さんが目の下に風船がついているような金魚を眺めていると、「ご質問あれば説明しますよ」とスタッフの方もそっと登場。「水包眼(スイホウガン)」という種類の金魚だそうで、気になる風船のような袋はリンパ液とのこと。「動きにくそうそうだな」と素直にコメントする浦川さんでしたが、意外にもよく動き回る種類だとのこと。袋をフルフルさせながら泳ぐ姿にはクギづけになりました。