金融教育ディレクター・橋本長明さんに聞く 知っているようで知らない「金融教育」

「何度も同じものを買うくらいだったら、ちょっといいものを大切に」と橋本さん。この日のネクタイは何と16年間愛用中だとか!

日本の人口は減り続けているのに経済成長は必要?

 金融リテラシーを知らないことでどんな問題が起こるのでしょうか。

「お金は毎日の暮らしで使うものですから、距離感や付き合い方を知らないと人生の選択肢が狭まってしまいます。たとえばお金を稼ぐ=働くという視点においても、一生のうちにどのくらい稼いでどのくらい使うかを考えず、就職活動が嫌だから非正規社員になる人やお金だけを優先して仕事を選ぶ人もいると思うんです。ユースフル労働統計2021によれば、大学・大学院卒の男性の退職金を含めない生涯賃金は2億7000万円に対し、フルタイムの非正規社員を続けた場合1億6000万円といわれています。人生にかかるお金は2億~3億円といわれるので、それらを知ったうえで仕事を選ぶことが大切です」

 欲しいものを書き込んでニーズ(必要なもの)かウォンツ(欲しいもの)か丸で囲む、おこづかい帳で今月で一番“楽しい・幸せな・上手な”使い方をした日に印をつけるなど、お金の使い方についても改めて考えさせられました。

「私は金融教育を受けずに育ったので、学生時代はレコードを買い過ぎて食費に回らないとか、失敗もたくさんありました。大人になってからも浪費癖を直すのが大変で、そういう自責の念を込めながら書いています(笑)。金融教育を小さい頃から受けていたら、人生が変わったんじゃないかなと思いますね。

 この本では、普通にお金を使うだけでなく“すてきなおかねの使い方”も提案しています。ドネーション(寄付)やエシカル消費など、お金の使い方は自分以外の人や地域、環境などに感謝の気持ちを表す手段でもあるんですよ。また、使い方を考えることと同じくらい、買ったものを大事に使うことも重要です。今日しているネクタイは16年くらい使っているんですけど、何度も同じものを買うくらいだったら、ちょっといいものを買って大切に長く使い続けたほうが、環境によかったり作った人に喜ばれたりして、人生が少し豊かになるんじゃないでしょうか」

 今、注目されている「well-being(身体的・精神的・社会的に満足している状態)」や「ikigai(生きがい)」といった概念も紹介されています。

「世界経済の大きな変化として、2021年に開催予定だったダボス会議のテーマに掲げられた“グレート・リセット”が挙げられます。これまでの利益ばかりを優先して、環境破壊を引き起こした社会や経済のシステムを、一度リセットしてゼロから見直そうという動きです。このまま地球温暖化が進めば、地球システムは臨界点を迎え、地球上のほとんどの場所に居住は不可能になるといわれています。欧米ではESG投資(環境・社会・企業統治に配慮した企業に投資を行うこと)が急速に拡大していて、環境や社会に配慮する企業の成長が見えてきているのです。

 本の中ではGDP(国内総生産)だけでなく、世界幸福度ランキングも紹介しています。日本の人口は2008年にピークに達して以来徐々に減り続けています。政府は女性や高齢者の労働参加や外国人労働者の受け入れ、AIの活用などを推進していますが、そもそも人が減っていくのに経済成長や景気ばかりを追い求めるのはどうなのでしょうか。もう少し長い目線、広い視野で考えることが大切だと思います」

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