【学生起業】建築学を応用し「低コストなメタバース空間を実現」株式会社Urth・田中大貴さん

「僕はリスクを恐れずにチャレンジするので、一緒にやっている人のほうがハードかもしれません」という田中さん

 大学院では今も建築の研究を続けているといい「研究しているのは “組合せ最適化” といって、条件に合う組み合わせを計算してくれる技術です。建築図面を読み込ませ “震度7の地震に耐えられるように変えて” と指示すれば、柱や梁(はり)が太くなるという結果が出て、建築士が図面をチェックして修正できる時間を大幅に短縮できます。この “組合せ最適化” の技術を活用して相対的な人件費を下げることによって、日本の建築士の技術を世界に届けることができれば、日本の建築士が世界の建築を支える存在になれるのではないか──そんな研究を行っています」と田中さん。

 起業家と学生の二足のわらじを履く田中さんに、一番大きな壁に当たった経験を聞くと「僕はリスクを恐れずにチャレンジするので、一緒にやっている人のほうがハードかもしれません」と笑う。

「昨年は市場シェアを獲得するために開発にリソースを集中させたのですが、大体これくらいは投資できるだろうと思ってやってみたところ、僕の読みが間違っており、キャッシュアウトが加速して気づいたらランウェイ(資金不足までの残り期間)があと数週間というところまできてしまっていました。資金のあてが何もなかったので “どうしよう” と思いつつ、いろいろなところを当たり、ランウェイがあと14日というところで資金を集められ、何とか半年延ばすことができました。

 普通のメンタルだと14日後に数千万円の借金を背負うのは厳しいかもしれませんが、僕はやりたいことをやっているので “そういうこともあるだろうし、まあ、返せるかな” と思っていて。ただし、そこにはメンバーへの信頼もありますし、みんなで受託したらいくら稼げるか計算して、どうしても無理だったら死ぬ気で受託案件を取ろうと話していました。僕は “空間を表現の手段にする” ために事業をやっていて、そのほうが社会はよりよくなると考えているので、今がどんな状況でもうまくいかないはずがないと信じているんです」とさらり。