落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。
コラムカテゴリーの記事一覧
格闘家イケメンファイル Vol.17 怪物 野杁正明(のいりまさあき)
高校1年生の時にプロデビューした野杁は、今年22歳という若さながら、アマチュア時代を含めると、かなり試合数をこなしているキャリアの持ち主。そんな格闘技一直線人生は、意外なきっかけで始まった。
「僕、小さいころいじめられっ子だったんです。何の理由もなくいじめられていて、学校に行くのが本当に嫌だった。ある日、また連れ出された時に、たまたま兄の友達で、のちに入門することになる道場の会長の息子さんが通りすがって、いじめを止めてくれたんです。その子が空手をやっているのは知っていたので、かっこいいなってあこがれて、すぐに親に空手を習いたいと言いました。それで、小学校2年生で空手を始め、中学校2年生でキックボクシングに転向したんです」
多くの試合をしてきた野杁だが、試合前はどうやって過ごすのか。
「試合の前は相手のことをめちゃくちゃ研究します。特に1週間前はあまりハードな練習はせずに、疲れを抜きがてら体重を落とす期間にしているんですけど、その1週間で何十回も繰り返し相手の映像を見て作戦を立てる。そしてその作戦に基づいて練習して、最後の1週間でイメージをしっかり作り上げていく感じですね。そうやって考えた作戦通りにいった時は、自分の中でも納得のいく試合ができたと感じます。逆に作戦通りにいかずKOで勝っても、反省することが多いかも知れません。あと、試合前の儀式じゃないですけど、試合直前に必ず美容院に行って、カットとカラーをします。これはプロデビューしたころからの習慣で、ジンクスに近いものかもしれませんね。試合中はセコンドの声もお客さんの声もよく聞こえます。聞こえている時は調子がいいんですよ。まったく聞こえてないときは、負けることが多い。多分熱くなって、冷静になりきれてないからだと思います」
2月6日に後楽園ホールで行われるKrush.51で、−65kgの試合に出場する。
「今はその試合に向けてガッツリ準備している段階です。前回の試合が12月で、その試合自体が約10カ月ぶりだったんです。怪我とかもあり、復帰戦みたいな感じでしたが、1ラウンドでKO勝ちをして、あまり試合勘を感じられなかった。ですから、今回はすごい強豪を相手に試合ができるので、勝つことはもちろんですが、試合をしっかり楽しみたいと。Krushの後楽園大会に出るのも約2年ぶりですし、そこも楽しめたらいいかなと思っています。相手は昨年11月のK-1で日本人選手とやってKOで勝ったイリアス・ブライド選手。その勝った相手の泰斗選手はプライベートでも仲が良くて、一緒に練習もしていた仲間なので、敵討ちじゃないですけど、KOで倒したいと思っています」
そんな野杁の好きな女性のタイプは?
「家庭的な人が好きですね。料理や家事全般ができる人がいい。僕自身も料理を作ったりはしますが、女性もできる人のほうがいいです。タレントさんは、性格が分からないので、見た目になりますが、黒木メイサさんが好きでした。でもその前は竹内結子さんだったりするので、自分でもどんなタイプが好きなのか、よく分からないですね(笑)」
勝利とともに常に自分のファイトスタイルを追求する野杁の身近な目標と最終的な夢は。
「近い目標としては、K-1の−65kgのベルトです。もちろん僕はKrushで育ってきたので、Krushの−65kgのベルトも獲って、Krush代表としてK-1に出たい。その2つのベルトは僕が持たないといけないという気持ちはあります。その先は、絶対王者です。ベルトを獲っても防衛しないとずっとチャンピオンではいられない。防衛戦で負けるとチャンピオンが変わるけど、僕は絶対的なチャンピオンになりたいんです。誰が挑戦者でも絶対に負けないぐらいの強さを身に付けて、戦う相手がいなくなって引退するのがベストだと思っていますから。チャンピオンは僕にとってゴールじゃない。そこがスタート地点なんです」
大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第26回 僕たちには長渕剛が足りない!
今、僕たちに足りないのは長渕剛なんだっていう話が止まりません。このコラムでも今年最初の更新(「ラジオ界のボケになりたい」)でも長渕剛さんに触れていますけど、本当に止まらないんです。『キキマス!』でも火曜日にマキタスポーツくんが来ればその話。マキタスポーツくんとは他の現場でも、会えば年の暮れから長渕さんの話しかしてないんですよ。そんなこともあって先週13日の放送では、長渕さんについて熱く語りました。
なぜ長渕さんかというのは、その更新(「ラジオ界のボケになりたい」)を見てもらうのがいいと思うんですけど、僕が多様性を評価する人でありたいということを意識するなかで、とても重要な存在なんですね。長渕さんはデビュー以降いろいろ変容していくなかで、優しい兄ちゃんから大衆のマスコット的な人になっていって……、ツッコミ側から完全にボケ側にまわっている。いろいろ言われることもあるけれど、なんていうのかな、そういう変化がエンターテインメントとしてできてた人なんだなって思うんです。そのあたりは、番組のポッドキャストでも聞けるので気になった方はぜひ聴いていただけたらと思います。リアルタイムで長渕さんを見てきたマキタスポーツくんと僕だからこその熱を帯びた話、楽しんでいただけると思います。
さて、その長渕さん。今年の夏、富士山のふもとでコンサートをやるんです。静岡県富士宮市のふもとっぱらっていうところが会場なんですけど、そこに10万人集めて、オールナイト公演をやるっていう。10万人、オールナイトって……。どんなコンサートになるのか、まったく想像がつきません。それでも、行けば絶対何かが起きると思います。だって、長渕さんなんだから。
ダイノジは2015年、長渕剛になると宣言しました。だから僕は、ふもとっぱらに行きます。マキタスポーツくんはもちろん、 脊山さん、そしてあなたも行くんです。そこで目撃者にならなくちゃいけないです。8月22日、約束の地で会いましょう。
EXILE TETSUYA「DANCEの道」第30回「2015年の初DANCE」
2015年初めてのDANCEの道、改めまして皆さん今年も心を込めて書かせて頂きますのでよろしくお願い致します。皆さんお正月はいかがお過ごしでしたか? 僕は、今年少しお休みを頂けたので地元の仲間と新年会をしたり、挨拶回りやお墓参りと本当にお正月らしいお正月って感じでした。毎年地元の仲間たちとの新年会は恒例なのですが、そこに毎回参加していた山本世界がなんと今年からEXILEの世界となって参加していました(笑)。8歳のころに初めて出会い、それから地元の仲間としてずっと一緒にDANCEしてきた世界が同じグループになって同じ夢を追いかける同志になり、なんだかうれしい新年会になりました!
しかし、美味しい料理とお酒を食べ過ぎ…飲み過ぎ…案の定少し太ったので、今は汗かいてしぼり出しております…(笑)。恒例の初トレーニングも元旦にして気合十分な2015年の初DANCEは、先日東京ドームで行われたイベント、ふるさと祭りでした! 全国からご当地の食べ物や、お祭りが一気に集まりすべてを楽しむ事ができるイベントです。そこで初めて青森のねぶた祭りに跳人として、USAさんと参加させて頂きました! 衣装もバッチリ着させてもらい、なんと青森市長さんから名前入りのちょうちんまでサプライズプレゼントしてもらい、気分も最高潮で跳ねてきました!
動きは単純なジャンプなのですが、みんなで「らっせら〜!らっせら〜!」と掛け声で息を合わせながらジャンプジャンプ! 跳人の衣装には鈴が付いていて、ジャンプの度にチリン、チリンと心地良い音がします。ジャンプの勢いで跳人が落とした鈴を拾うと幸せになるそうです。なんてロマンチック!!(笑)そしてその後ろからものすごく大きな光るねぶたが勢いよく動き大迫力なお祭りでした! 次回はぜひ青森の地で参加したくなりました。こんなDANCE始めでしたが、今年はどんなDANCEが踊れるのがワクワクしてきます。第四章EXILEも本格的に始動してきました! 3月に発売されるニューアルバム『19』に向けてメンバー全員で心を一つに向かっています!
このアルバムはEXILEとして約3年ぶりで、曲のラインアップを見てみても本当に豪華な、まるでBest盤みたいなアルバムになっています。もちろん新曲も入りますし、映像もたくさんで、今から手に取って頂いた方々の驚く顔が楽しみです(笑)。
僕の2015年のテーマは「想いを形に」です。EXILEとしても、個人的にもたくさんの夢がありますが、その一つひとつを丁寧に心を込めて形にし、皆さんに驚きと喜びを感じて頂けるように頑張ります。具体的にはまだ話せない事もありますが、今から準備しているのでぜひお楽しみにしていてください。それでは2015年も皆さんが笑顔のたえない素敵な一年を送れますように心から願っております。
大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第25回 答えって、ひとつじゃない。
ここ最近、多様性問題っていうの、あるなあって考えています。僕自身もそうですけど、時代そのものが多様性のほうが主流という時代になってきてるって思うし、いろんなことがその方向に向かってます。 『キキマス!』をやりながら思うんだけど、テレビも、ラジオもそうだけど、あるひとつの思想や思考に振り切るほうが人気が出てくるんです。いろんな考えがあってさ、そういうのもいいよねって。いろんなものがあっていいんだよねって、僕は思うんです。答えって、ひとつじゃないんだよって。
例えば、アメリカのグラミー賞。主要4賞っていわれる「年間最優秀レコード」「年間最優秀アルバム」「年間最優秀楽曲賞」、そして「最優秀新人賞」の他にも、アレンジだとか、プロデューサーだとか、パッケージであるとか、たくさん賞があります。1つの曲でも楽曲としてであったり、ライブパフォーマンスとしての評価もあったり、評価のされ方もいろいろなんですよね。今年のノミネーションリストを見ても、多様性が認められているからこうなるんだなって思います。
ONE DIRECTIONの人気もそうでしょう。オーディション出身で、とにかく歌がうまくて、楽曲も大人気です。楽曲を自分たちで作っていたり、演奏しているわけじゃない、アイドルじゃんっていう人もいるよ。だけど、そういうのをケンケンしてもさって、すげぇ思うんだよね。今はさ、その音楽は演奏している人が作ったものなのか、楽器を自分で演奏しているのか、自分で歌っているのかどうかとか、ぶっちゃけどっちでもよくて、いい音楽ならいいじゃないって評価する時代。評価をするにも、やり方は一つじゃない、答えはひとつじゃないってことなんですよね。
13日の放送の『キキマス!トピックス』のコーナーで、今週末行われる「センター試験」を紹介しました。2020年度をメドに新しい試験が導入されるという話でしたけど、いろいろ変わるんだそうです。出題の方法が教科の枠を越えたり、回答の仕方もマークシートだけじゃなくて記述式にもなるとか、何度も受けられるようになるだとか。試験がその後の社会生活を送っていくうえで何を意味するのかっていう、本質的なところが問われていくんだろうね。これも、答えが一つではないってこと、多様性の方向に行ってるんだと思います。みんな、つながってるなあ。
ノッポン弟オススメ! from TOKYO TOWER vol.8
明けましておめでとう!
今年も東京タワーは、楽しいイベントをたくさん開催するので、僕たちノッポン兄弟ともども、よろしくお願いしまーす!
さて、早速だけど今開催中のロマンチックなイベントを紹介するよ。なんと!東京タワーでは、高さ150mの大展望台から見える「夜景」を背景に、3Dのプロジェクションマッピングを展開中なんだ。この高さでの3Dプロジェクションマッピングはもちろん日本で初めての試み。東京の夜景を見渡す大展望台1階西側フロアの窓に縦3m、横10mの半透過スクリーンを設置、実際の夜景の上に「街の光」をテーマにした3Dプロジェクションマッピングの映像を投影しているんだよ。キラキラと輝く東京の街の光から生まれた赤と青の2つの光の精。それを男女に見立てて、美しい夜景が広がる東京の上空で出会い、クルーズするように巡り、その2つの妖精が幸せになるまでの物語。天空に浮かぶ東京タワーや雪、そして最後には花火が上がって、まるで2人の幸せを祝福しているようなんだ。
3Dプロジェクションマッピングのバックに透けて見える立体的な東京の夜景が映像とシンクロして本当に幻想的で、何度見ても楽しめるよ。冬は空気が澄んで、夜景が一番美しく見える時期。もし雪が降っても、それもまたキレイだと思うよ。夜景に幻想的な映像が投影される、そんな夢の空間を体験しに、東京タワーに遊びに来てね!
腕利き宣伝マンが猛プッシュ コレよ、コレ!木村範子さん
子供たちも思わず夢中になること間違いなしの映画『アマゾン大冒険〜世界最大のジャングルを探検しよう!〜』。宣伝を担当する木村さんいわく「普通、ネイチャードキュメンタリーというと、小さいお子さんでは飽きてしまったりするのですが、この作品は一味違います。ペットのサルがジャングルに迷い込んでしまい、大自然でさまざまなことを経験しながら生き抜いていくという“ストーリー仕立て”になっているんです。といっても、撮影は実際にアマゾンで行われていて、かなり本格的なネイチャー映画としても楽しめます。ネイチャー系に詳しい人からは、よく撮ったねと驚かれますね」。主人公サイ君役のサルの演技もすごいですよね。「実は演技させてるんじゃないんです(笑)。実際には保護センターにいるサルを起用して、さまざまな表情を撮影したものを上手く編集して物語に組み込んでいるんです。もともとこのフサオマキザルという種は頭のいいサルとして知られているんですが、その特徴を見事に生かしていて、ナレーターを務めていただいた田中直樹さんも頭の良さに感激してましたね。パンフレットには動物やアマゾンの情報をなるべく詳しく記載したので、子供たちの“ナゼナゼ攻撃”対策の虎の巻としてぜひ活用してください(笑)」。これならパパママも安心!
格闘家イケメンファイル Vol.16 無限大の未来が、今、走りだす 斎藤裕(さいとうゆたか)
昨年開催されたプロフェッショナル修斗 インフィニティリーグ2014。5名の選手が1年を通して各大会で公式戦を実施し、全日程終了時に最も勝ち点を多く獲得した選手が優勝となる総当りのリーグ戦だ。同リーグ戦のライト級で優勝した斎藤裕が1年に及ぶリーグ戦を振り返る。
「昨年の3月、7月、9月、12月で総当たりの試合をこなし、12月21日の最終戦で優勝を決めました。欠場した選手がいて、4人での戦いとなりましたが、最終戦まで全員に優勝の可能性があり、誰が抜けるか分からない状況でした。その中で自分は1ラウンドで勝てたので、優勝することができた。もちろん、どの試合も負けられない試合だと思ってやっていましたけど、リーグ戦が進むにつれて、毎大会得点状況も変わり戦況がどんどん変化していきます。周りも誰が優勝するんだろうという目で見てくるので、9月、12月の試合では結構プレッシャーはありましたね。最終的に12月に決まるのですが、まず目の前の一戦一戦を勝たないと先に進めないという気持ちで挑みました」
もともとは野球少年だった斎藤を格闘技の道にすすませたのは…。
「K-1です。僕がテレビでK-1を見てた時期が、ちょうどボブ・サップが出てきた時で、一番盛り上がっていたころでした。その時は、テレビでやっていたら見るぐらいだったんですけど、サップとアーネスト・ホーストの試合を見て、衝撃が走った(笑)。感動というか、ちょっとやばいぞと。それで、小中と野球をやっていたのですが、高校になって空手道場に通うようになりました。あの衝撃を受けた試合が自分にもできるのかなっていう気持ちですね。その後、秋田から福島の大学に行き、そこでも格闘技を続け、就職で東京に出てきて、24歳でプロデビューしました」
今回優勝したことで、強い選手との試合が組まれる可能性も。
「優勝したら、上の選手と試合をさせてもらえるという話は聞いています。ですから、優勝した時にリングの上から、1月25日に行われる宇野薫選手と中村好史選手による、環太平洋ライト級チャンピオン決定戦の勝者と試合をさせてほしいと言いました。ただ自分としては特定の誰かと戦いたいというより、修斗のチャンピオンベルトを絶対に獲りたいという気持ちのほうが強いんです。デビューした当時は打撃でいくという考えでやっていましたが、1回勝てなくなった時があった。それから修斗でいうところの“打投極”を回すという考えで、打撃、寝技、組み技を全部回して勝ちにいくということをやってきて、最近ではそれが自分にあったスタイルだと思うようになってきました。ですから、総合格闘技という部分でも、修斗のベルトにはこだわりたいと思っています」
リングの上では鋭い眼光のイケメンだが、リングを降りると優しくおっとりキャラの斎藤。どんな女性がタイプなのか。
「あまり短気じゃなくてのほほんとした人がいいですね。僕が面倒くさがりで、掃除とかもあまりしたくないので、そういうのをガーっと言われるとちょっと…。短気な人は怖いです(笑)。あと、できれば格闘技にちょっと興味があり、知識がある人がいいかな。タレントでは本田翼さんとか。実際は知りませんが、見た目のイメージがぽわーっとしているので。短気じゃなさそうだし(笑)」
今後の夢は?
「修斗のベルトが当面の目標ですが、ベルトを獲った後も、その後は1試合でも多く、1年でも長く選手としてやっていきたいという気持ちがあります。格闘技を始めた時は、30歳までやると思っていませんでしたが、今は、勝ち続ければ30歳をすぎてもモチベーションを保ってやれるという気がしています。毎回、試合をして終わったらゆっくりしようと思っているのに、練習をしていないとつまらなくて、すぐ次の試合のことを考えている自分がいるので、それがずっと続くといいなと思っています」
鈴木寛の「2020年への篤行録」
第16回 なぜ学ぶのか?「花燃ゆ」の松陰に思いを馳せる
あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願いします。
若い頃にミュージカル劇団の音楽監督を務めた経験がある割に、普段はテレビドラマをあまり見ないのですが、NHKの大河ドラマだけは政治家時代から時折見てきました。2015年の大河は吉田松陰の妹、杉文を主人公に描いた「花燃ゆ」。松陰の生き様に、私も大きく影響されましたので、今回の作品には格別の思いで楽しみにしていました。
物語の冒頭で松下村塾が出てきましたが、まさにその場所が教育者としての私の原点です。20代の終わりに通産省から山口県庁に出向の折、現地を訪ねました。十畳と八畳半の二間しかない平屋建ての茅葺小屋に五十名もの塾生が学んでいたことにまず私は驚きました。ドラマでは久坂玄端と高杉晋作が「秀吉とナポレオンが戦をしたらどちらが勝ったか?」と議論していましたが、私も小さな畳の空間を眺めながら、ここで若人たちがどんなに白熱した議論をしていたのか思いを馳せました。それまでの私は法律立案や予算編成の仕事をしていて世の中は制度が作るものだと思い込んでいましたが、世の中を変えるのはそうした「制度」ではなく、「人」だということに気付きました。山口には2年ばかりの着任でしたが、その間、私は20回も通いつめては国づくりとしての人づくりを考えました。
ドラマでは、後の松陰こと寅次郎が山鹿流の兵学者のホープとして長崎や江戸に遊学していた時代から始まります。途中、叔父の玉木文之進からスパルタ教育を受け、学者としての基礎を叩きこまれた少年時代が回想シーンとして挿入される等、初回は教育者としての生い立ちをしっかり描いていました。そのため、登場人物の信念をセリフの中に投影し、物語の基礎を固めんとするばかりの骨太な描写が印象的です。とりわけ初回のクライマックスシーン。幕府によって禁書とされた「海防臆測」の所有者に名乗り出るように玉木たちが藩校の学生たちに呼びかけたところで、寅次郎と若き儒学者、小田村伊之助(後の楫取素彦)が禁書を持っていたことを打ち明けつつ、「人はなぜ学ぶのか?」熱弁を振るったシーンには感銘を受けました。
「知識を得るためでも職を得るためでも出世のためでもない。人にものを教えるためでも、人から尊敬されるためでもない。己のためじゃ 己を磨くために人は学ぶんじゃ」。寅次郎がこう言えば、伊之助も「お役に就くためでも、与えられた役割を果たすためでもない。この世の中に己がすべき事を知るために学ぶのです」と同調します。
折しも高校生にとっては受験、大学生にとっては期末試験のシーズン。当面はテスト対策の勉強に専念せざるを得ませんが、落ち着いたところでドラマでも見ながら「自分はなぜ学ぶのか?」と自問自答してみてください。違った視野から学問を考えるきっかけになると思います。
(東大・慶大教授、文部科学省参与)
大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第24回 ラジオ界のボケになりたい。
年末年始も『キキマス!』はいつも通りに放送していたわけですが、一般的には今週から仕事始めなんでしょうか。この「カタリマス!」の連載も新しい年になって初めてですね。担当から「……ありがちですけど、新年の抱負なんかを…」というリクエストがありましたから、それから始めたいと思います。
今年の抱負は、ラジオでボケになる、それを目指すってことです。
年末にマキタスポーツくんと話してたんです。長渕剛ってスゲーなって。長渕さんって、気がつけば“ツッコまれる人”、“ボケ”になってるって思いませんか。いろんなところでいろんな人からツッコまれて、それがすげぇ面白いんです。
長渕さんって時代によって変わる人です。いい兄ちゃん像をやってた時期、フォーク期があって、石井聰亙監督の『爆裂都市』とかに影響を受けてるんだろうなっていうマッドマックス期。『HOLD YOUR LAST CHANCE』のバンド期に、チンピラ・やくざ期、その後にはインドかぶれ期っていうのもあって、今はブルース・スプリングスティーン期ですよ。革ジャン着て体を鍛え、取材する前にもトレーニングをする。それってすごい面白いじゃないですか。全部突っ込ませるんだから。
今、テレビに出ている人って、みんなツッコミじゃないんだよね。みんなボケなの。お笑いだけじゃなく、スポーツとか、他のジャンルもね。長渕さんもそうでしょう。そういう人たちを見て面白いって思うようになってるんです。僕も年末年始にテレビに出演させていただきましたけど、変な人っていうか、よく分かんない人でしたよね。テレビに出てるのにラジオラジオって言い続けてて。現場では滑ったって思いましたけど、見てて面白かったって言ってくれる人もたくさんいて。それでいいんだって思えました。
だから、ラジオでもそれになりたい。普段からラジオを聞いていただいている人は、何やってるんだ、ふざけたことをしやがってっていう人もいるかもしれないし、マキタスポーツくんが言ってた “通りすがりの正義”を振りかざす人にも出会うだろうし、ツッコミがはいると思います。でも、僕は正しいか間違いかをジャッジするんじゃなく、ほとんどが正しいんだって言える、多様性を評価する人でありたいなって思うんです。もちろん自分のなかで一つか二つぐらい提示できる何かは持っていたいと思うけどね。
僕は裸になりたい。まっさらになって、外圧によって変化していくことを楽しみたいんです。手始めに僕は、家の本、CDを捨てようと思ってます。
大谷ノブ彦 カタリマス!第8回 「こっち側の人間」とか、つまんない。
年も押し迫ってくると、いろんなベストテンが出てきてます。映画、音楽、本……とにかくいろんなものの今年のベスト、さらにはワーストまでもが発表されます。並べられた作品から、選んだ人の視点が見られるのはすごく楽しいんですけど……なんかこういうベストテンみたいなの、どうなんだろう。それが悪いわけじゃないけど、少なくとも僕のなかではピンと来なくなっちゃった。
例えば、映画。僕が今年初めて体験したことに「劇場でこんなに笑ってる!」っていうのがありました。『劇場版 テレクラキャノンボール2013』と『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE 2』だったんですけど、この2作品、ベストテンにはほとんど顔を出してないんですよ。いわゆる映画じゃないってとらえられてるのもあるんでしょうけれども。10億円市場だっていう、確実に人が入ってる女子中高学生が見に行く映画がありますけけど、これも批評の対象にはなってないんです。
こういうものをすべて一緒くたにして並べられないならベストテンみたいなのをやってもどうなのって思いませんか? 枠からはみ出しちゃったものは見ない、批評の対象にしない。誰かが決めた枠のなかで成立してるものを相手にするのって、1つのコミュニティーのなかでやってるだけじゃないかって思ってしまう……。「俺、そっち側じゃなくて、こっち側の人間だから」ってさ。新しいエンターテインメントって、その枠を飛び越えて出てくるものだと思うんだけどなあ。大ヒットした『アナと雪の女王』だって、作品の質感だけじゃなかったと思います。みんなで歌うだとかそういうもの含めてのものだったと思うんですよ。
そんなこともあり、今年は「映画って何だろう」「音楽って何だろう」「ロックって何だろう」、さらには「お笑いって何だろう」…ってことを改めて考えることが多かったし、「枠の中は対コミュニティー」っていうのが明確に出てきたと思っています。映画でも音楽でも何でも、いろんな作品があって、いろんな人がいて、そこで自分の役割をまっとうしている。だからこそ、面白さがあるなって思うんです。それなのに「こっち側の人間」とか言ってたら、つまんないでしょって。そういう思いが強くなった1年でした。番組でいろいろな人のお話を伺ったこともそう思うようになった大きな理由だと思います。
さて『キキマス!』は年末年始も休まず生放送です。さらに僕、大みそかの特番もパーソナリティーを担当させていただきますので、よろしくお願いします。