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子供鉅人「下北沢演劇祭」ならではの暴挙!? 本多劇場に115人の出演者を上げる

2017.01.22 Vol.683

「下北沢演劇祭」に参加する子供鉅人は今回『マクベス』で本多劇場に初進出するのだが、「“本多劇場初”なことをやってみようということで、本多劇場の舞台に100人の出演者を上げることにしました」と言うのは主宰の益山貴司。

 これまでの最多が2003年の流山児★事務所『書を捨てよ、街へ出よう』の54人とのことなので軽くオーバー。

「HPなどでは114人になっていますが、最近、高知からどうしても出たいという人が来まして、115人になりました。そのうち劇団員は10人。年齢は18~69歳。60代以上が4人いて、さいたまゴールドシアターに出ていた方もいらっしゃいます。お金がある商業演劇とか、公共ホールが税金を使って市民劇に100人出演させるというのは、まああるじゃないですか。そうじゃない全く金がない小劇場のチームがそれをするということにちょっと誇りを感じています」

 100人をどう使う?

「メインの役は劇団員なんですが、台詞を割って、できるだけアンサンブルの方にも台詞を言ってもらうようにはしています。群集劇ですから、ガヤとメインというよりも、その100人もちゃんと意識を持った存在として舞台に上がるようにしようと思っています」

 とはいえ、そんな話題性ばかりに走った作品というわけでもない。『マクベス』は劇中では何度も「男らしさ」や「女らしさ」といったことが言及されるのだが、今回はマクベスを女優の億なつき、マクベス夫人を男優の益山寛司と男女を入れ替え配役。それによって「らしさ」というものの本質に迫っていく。

「弟の益山寛司はずっと女形をやっているんですが、彼にマクベス夫人をやらせたいという思いがずっとありました」

 益山寛司という女形がいてこその、まさに子供鉅人“らしい”作品。

「100人を舞台に上げるというのは最初はけれんだけだったんですが、とはいえあれだけの作品ですし、やる以上は上演する意味なんかも問われてくる。楽しいだけのわちゃわちゃしたエンターテインメントだけにはしたくない。そうじゃない子供鉅人の側面を見せたいと思っていて、現代社会の世相といったものをうまく取り込むことができないかとずっと考えていたんですが、ある時、新宿の街である風景に出くわした時に僕のそういう思い、マクベス、そして100人の出演者といったいろいろなピースがひとつになった。今は必然性のある100人の出演者だと思っています」

 すでに土曜のマチネに追加公演も決定。作品の面白さはもちろんなのだが、とにかく115人をどう切り回すのかといった別の楽しみもある。必見の作品。

劇団子供鉅人『マクベス』
【日時】2月10日(金)~12日(日)(開演は金19時、土14時/19時、日14時。開場は開演30分前。受付開始は開演1時間前)
【会場】本多劇場(下北沢)
【料金】全席指定 前売4000円、当日4500円/学生2500円/高校生以下1000円
【問い合わせ】劇団子供鉅人( contact@kodomokyojin.com 〔HP〕 http://www.kodomokyojin.com/ )
【作】ウイリアム・シェイクスピア
【演出】益山貴司
【出演】益山寛司、キキ花香、影山徹、億なつき、ミネユキ、山西竜矢、益山U☆G、古野陽大、うらじぬの、益山貴司 他100名

大阪で大阪の俳優たちと制作 庭劇団ペニノ『ダークマスター』

2017.01.22 Vol.683

 この『ダークマスター』は1995年にヤングチャンピオンという青年漫画誌に掲載された漫画を原作とする作品。

 舞台は超一流の腕を持つが偏屈な人間性と極度のアルコール中毒のため、全く客が来ないマスターが一人でやっている小さな洋食屋。そこにある日、一人の若者が東京から客としてやってくる。マスターは「自分の代わりにここのシェフになれ」と提案するが、若者に料理人の経験はない。マスターは若者にイヤホン型の小型無線機を渡し、自分は二階に隠れ、無線を使って若者に料理の手順を伝えるというのだが…。

 かつて2003年に駅前劇場、2006年にこまばアゴラ劇場で上演されたこの作品。今回は3年間に渡り、タニノが大阪に足を運び、大阪の俳優とワークショップを重ねて制作。物語の舞台も大阪に変え、大幅に脚本も書き換えて昨年5月に大阪で上演した。

 もともとこの作品に「資本主義社会の支配/被支配体系をユニークに表現した作品」という印象を持っていたタニノ。この3年間の大阪は橋下徹大阪市長が活躍するなど激動の時期。そんな世相が作品にどのような影響を与えたのかといった点も注目して見てみたい作品。

2020年を控えた今の東京に微妙にシンクロ シアターコクーン・オンレパートリー2017+キューブ20th,2017『陥没』

2017.01.22 Vol.683

 Bunkamuraシアターコクーンで2009年に『東京月光魔曲』、2010年に『黴菌』と昭和の東京をモチーフとした作品を発表し、「昭和三部作」を目指したケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)。なにしろ多忙の身とあって7年の月日が経ってしまったが、このたび待望の完結編となる3作目が上演されることとなった。

 第一弾では昭和初期、第二弾は昭和中期ときて、今回は昭和の東京オリンピックを目前に控えた時代が舞台。

 敗戦からわずかな年月で復活を遂げた日本にとって、東京オリンピックはその輝かしい成果を世界に示す晴れの舞台だった。スポーツ競技とは別のところで道路、さまざまな施設やビルの建設、新幹線など発展していく街の様子を誇らしく眺め、これを機に一攫千金をもくろみ、成功した者もいた。しかしその一方で、その時代、その場所に居合わせながら時流に乗り遅れた者たちもいた。この作品はそんなオリンピックとの因縁に翻弄される人々を描いた群像劇。

 2020年のオリンピックまであと3年となり、何かと騒がしい現在の東京。物語と現在が微妙にシンクロしなにやら妙な気分になりそう。

落語界の裏側、全部バラします『そこでだ、若旦那!』【著者】立川談四楼

2017.01.08 Vol.682

 落語立川流の真打・立川談四楼によるエッセイ。ヘヴィ・メタル専門誌「BURRN!」に連載したコラムから抜粋し、加筆訂正し再構成した。著者は、いくつもの連載コラムやエッセイを新聞・雑誌等に持っている(持っていた)ほか、小説も多数出版するなど作家としても人気の落語家である。そんな談四楼が、自分の所属する立川流、そして師匠である立川談志の事はもちろん、落語会の裏話を赤裸々に暴露。例えば、弟子が師匠を殴り廃業した事件。話はそこで終わらず、その弟子はスルーっと別の団体の師匠のもとに行き、落語家を続けている。閉鎖的なところもある落語界での、この出来事は、ファンも何がどうなってそうなったのか分からないところがあったものの、何となく“そういう事もありなんだ…”とうやむやのままになっているのが現状だ。しかし、この本にはその師匠と弟子、引き取った師匠の実名のほか、事の顛末が詳細に書かれており、思わず“そういう事だったんだ”と納得させられる。もやもやしていた落語ファンは膝を打ち、落語を知らない人は、その人間関係や協会間の微妙なパワーバランスに驚きつつも、興味深く読める。また、談志をはじめ亡くなった落語家についても書かれているのだが、改めて読むと若くして亡くなった落語家がなんと多い事か。しかし、談志以外の落語家の多くは話題にもならないばかりか、新聞でもほんの数行の訃報記事しか出ない。談四楼は先輩、同期、後輩として彼らを身近に見ていた者として、それぞれの生きざまに優しい目を向ける。そんな魅力的な落語家の噺を聞きに、寄席に足を運びたくなる一冊。

【定価】本体1500円(税別)【発行】シンコーミュージック・エンタテイメント

寺山の不朽の名作が新宿FACEによみがえる Project Nyx『時代はサーカスの象にのって』

2017.01.08 Vol.682

 新宿梁山泊の水嶋カンナが主宰するProject Nyxは演劇の枠を越え、音楽、舞踏、アートといったさまざまなジャンルのアーティストと融合し、不朽の名作、知られざる傑作といわれる作品を現代のパフォーマンスとしてよみがえらせる。

 本作は寺山修司がアメリカのロックミュージカル『ヘアー』をもとにベトナム戦争の時代をアイロニーたっぷりに描いた音楽劇。「ロックアンダーグラウンド爆裂シリーズ」と銘打つシリーズの第2弾で、前回同様、ロックバンドSHAKALABBITSが登場。寺山修司の詩で楽曲を作り、演奏する。

 また今回はさまざまな格闘技も開催される新宿FACEにリングを持ち込んでの公演。プレミアムリングサイドシートというリングサイドでの特別席も用意されている。果たしてどんな“見せ方”をしてくれるのかというのも気になるところ。

 アフタートークや宇野亞喜良舞台美術の閲覧ツアーなどさまざまな企画も用意されている。

「空気を読む」の正体に迫る 二兎社公演41『ザ・空気』

2017.01.08 Vol.682

 2014年に森鴎外をモチーフとした『鴎外の怪談』、2016年は女流作家・樋口一葉の生涯を描いた『書く女』と明治期を舞台とした作品が続いた二兎社だが、今回は日本の「今」を描く現代劇。それもテレビ局の報道現場というメディアの最前線で、実際に起こっているであろう問題を題材に、昨今の日本全体を覆う「空気を読む」という独特の現象の正体に迫る。

 舞台はある大手テレビ局の報道局の一角。その日の夜、局の人気報道番組で、ある特集が放送される予定だった。近頃では珍しい力の入った「調査報道」。デリケートな内容とあって、局内でも慎重に扱われてきた案件なのだが、放送数時間前になって局の上層部から突然の内容変更を命じられ、現場は大混乱に陥るのだった。
 テレビの報道現場という見知ってはいるが身近ではない場所を舞台に喜劇のスタイルで描くことで、観客には俯瞰した状態でこの現象の正体が提示される。ただそれは“向こう側”だけのことではなく、我々自身のことでもある。

 笑った後に「う?ん」とちょっと考えさせられる作品だ。

【BOOK】“全身役者”が明かす痛快無比な人生70年『役者人生、泣き笑い』

2016.12.29 Vol.681

 芸能デビューから50周年、今年数えで70歳となり、古希を迎えた西田敏行による初の自伝。

 1947年11月、福島県郡山市に生まれた西田は、養父母に育てられる。映画好きだった養父母に連れられて映画館に通ううちに、西田少年は映画俳優になることを夢見るようになった。東京にさえ出れば映画俳優への道が開けるのではないかと思った西田は、養父母を説得し東京の高校へ入学。しかし、田舎では社交性があり人気者だったのに、方言を笑われ、一種の対人恐怖症に。授業をサボり上野動物園のゴリラのブルブルを見がら時間を過ごし、孤独な高校時代を乗り越えたという。そんな孤独感を抱えながらも、心の支えになったのはやはり映画。三國連太郎主演の『飢餓海峡』を見て三國の付き人になれないかと思うようになる。そんな三國と『釣りバカ日誌』で、何十年もコンビを組むことになるとはその時思うはずもなく…。高校を卒業すると進学した大学を除籍となり、本格的に役者修行の道へ。劇団青年座に入った西田は『写楽考』という舞台で頭角を現してくる。

 その後の活躍は、誰もが知るところで、大河ドラマからホームドラマ、大御所の監督作品から、三谷幸喜のコメディー、さらには正月映画『釣りバカ日誌』と、歴史に名をのこす将軍から、サラリーマンなど何百という役を演じてきた。そんな自身の半生もさることながら、改めて読むとその作品の撮影秘話などは、そのまま日本の映画やテレビのもう一つの歴史であり、昭和・平成の貴重な芸能史としても楽しめる。今や国民的俳優となり、老若男女、多くのファンを持つ西田の原点ここにあり!

この小説を映画化?無理無理!リアルすぎるし面白すぎる!!『クランクイン』

2016.12.14 Vol.680

 広告代理店に勤める優秀でも、無能でもないごくごく平凡なサラリーマン根本が、社運を賭けた一大プロジェクトの担当に任命。それはベストセラー小説を映画化するというもので、映画好きな根本には夢のような仕事だった。

 しかし、業界とはいってもまったく畑違いの映画製作という仕事。まずは、原作者でもあるベストセラー作家に、映画化の許可をもらうところから大苦戦。その後も、製作費集め、キャスティング、カメラマンの怪我など問題が続出。しかも、根本自身も死に別れたはずの母親に関して、それまで知らされていなかった事実が明らかになり、仕事、プライベートともに寝る暇もない忙しさ。果たしてそれぞれの問題を無事にクリアし、映画を完成することができるのか? そして亡き母の秘密は明らかになるのか?

 さらに、忙しさのあまりギクシャクしてしまった恋人との関係は? 平凡な日常が、急転直下怒涛の日々に変わったサラリーマンの奮闘記。著者は食品偽装の問題を扱った小説『震える牛』の相場英雄。WOWOWで連続ドラマにもなり、世間を震撼させたシリアスな社会派サスペンスから一転、映画作りの舞台裏を、笑いと涙で描いたドタバタコメディーだ。根本の悲喜劇も見ものだが、普段は知ることのできない映画製作の苦労が非常に分かりやすく描かれているので、映画好きにも楽しい第一級の痛快エンターテインメントとなっている。それにしても、さんざん苦労した映画製作に、あんなどんでん返しが待ち受けているとは…。最後の最後までスリルある展開がお見事!

やはり彼らは只者ではなかった『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』

2016.11.29 Vol.679

 奥さんが現役藝大生という著者によるノンフィクション。きっかけは、書斎で巨大な木の塊から木彫りの陸亀を掘り出したり、体に半紙を張り、自分の型をとっていた妻を見たこと。そこにまったく別の世界に生きる人の気配を感じたという。さらにダメ押しとなったのが、台所に転がっていたツナ缶。ツナ缶だと思ったそれは実はガスマスクで、藝大の生協に売っているという。そこから藝大に興味を持ち、妻に案内してもらいながら、藝大という名の秘境に足を踏み入れたのだ。

 上野にある藝大は、駅を背にして左側が美術学部の“美校”、右側が音楽学部“音校”に別れている。その境界線に立った著者はまず、見た目の違いに気づき、数分も眺めていれば、歩いてくる学生が音校と美校のどちらに入っていくか、分かるようになったという。そこから、取材がスタート。ちなみに、大学受験最難関の1つと言われている東大理3の、平成27年度の志願倍率は4.8倍。対して藝大の最難関、絵画科の同年の倍率は、なんと17.9倍になるという。藝大全体でならしても7.5倍で、その昔は60倍を超えたことも。

 超狭き門の藝大だが、著者がインタビューした学生はことごとくユニーク。しかも特別おもしろそうな人だけをピックアップしたというわけではない。小さい頃から漆が好きで、工芸科漆芸専攻に入りながら、絡繰り人形の制作に没頭している人、口笛をきわめ口笛で藝大に入った男、刺青に興味を持ち、絵画科日本画専攻に学ぶ元ホストクラブ経営者など。藝大には、そういう人を受け入れる懐の深さと、自主性を重んじ、学生のやりたいようにやらせる校風があり、これもまた信じられないことばかり。著者は美校、音校、両方のさまざまな学科の藝大生に、入学から卒業後のビジョンまで丁寧にインタビュー。謎に包まれた秘境の秘密が少しは分かる!?

迷惑、顰蹙、無理難題。人生、困ってからがおもしろい。『ヴァラエティ』奥田英朗

2016.11.15 Vol.678

 奥田英朗の新刊短編集。と言っても、作品自体はずいぶん以前に書いたもので、単行本初収録のものを集めた蔵出し短編集だ。脱サラで会社を興し奮闘する男の姿を描いた「おれは社長だ!」と「毎度おおきに」は連作の短編。奥田には珍しいショートショート、イッセー尾形、山田太一との対談が2本、ほか短編4本という、まさにバラエティーに富んだ、奥田ファン待望の一冊。形式も書いた年代も、扱うテーマも全く違う作品は、奥田らしいユーモアあふれたものや、読んでいると胸が締め付けられるような切ないものまで多彩。渋滞中の車に、妻が知らない人を乗せ、その人たちが夫をいらだたせ、最後にはとんでもないことに巻き込んでいく「ドライブ・イン・サマー」。オウム真理教の手配犯が逮捕されたニュースを見て、それをヒントに、温泉街のレストランに住み込みで働く謎の女を主人公にした「住み込み可」。高校生の娘が、クリスマスに友達の家に泊るという“嘘”を見抜いてしまい悩む母親の姿にハラハラする「セブンティーン」。そして著者が7歳の時に伯母さんが死んだ実話をモチーフにした、少年と少女の物語「夏のアルバム」。まったく雰囲気の違う物語が読める贅沢な本だが、まとまりがないわけではない。そこにはユーモアや、人間の滑稽さ、膝を打つようなリアリティーのある描写など、そこかしこに奥田節のようなものが見え隠れし、おもちゃ箱のような楽しい構成でありながら、1冊の本として完結している。また、作品の間に収録されたイッセー尾形と山田太一との貴重な対談では、奥田がうまく2人の本音を引き出しつつ、奥田作品の原点が見える。本人曰く、“まとまらなかった短編集”をまとめて楽しめる一冊。

人はなぜ、罪を犯すのか?『犯罪小説集』【著者】吉田修一

2016.10.26 Vol.677

 人間の内面、特に犯罪を犯す者の心情を丁寧に紡ぎ『悪人』や『怒り』など映画化され大ヒットした作品も多い著者の最新刊。

 小学校の帰り道にある一本杉の前で消息をたった少女。直前まで一緒にいたため、10年を経ってもなお罪悪感を持ち続ける友人。そして当初から疑われていた無職の男と村人たちの張り詰めた関係を描いた「青田Y字路」。名門の家に生まれ、何不自由なく育った男がギャンブルにハマっていく姿をスリリングに展開する「百家楽餓鬼」。

 そして鳴り物入りでプロに入団。華やかな経歴を誇りながら引退したが、その後もそのきらびやかだった生活が忘れられない元プロ野球選手の転落人生「白球白蛇伝」ほか5編を収録。

 それぞれ、犯罪に無関係だった人々が陥った闇と、その闇があぶり出す世界を表現した。きっかけは、執着だったり、嫉妬であったり、自暴自棄であったり、好奇心であったり、感情のすれ違いだったりと日常にありがちな些細な事。普通ならもつれることのないその些細な感情が、意図せず交錯し、やがてほどけないほどに絡まりあった時、悲劇への入り口が扉を開く。それに気づかずに踏み込んでしまった人々。最初から悪意があったわけではない。むしろ善意の人もいたはずだ。しかし、そこからは転がるように落ちていき、自分ではどうすることもできなくなっていく。この本を読むと、犯罪を憎む気持ち、人の弱さを笑う気持ち、転落する人生を憐れむ気持ちなどは起こらない。なぜなら、自分の身にいつ降りかかってもおかしくないと思えるから。そこにあるのはただ、壮絶で哀しい5つの物語だ。

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