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発酵をめぐる冒険へいざ!『発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ』

2017.05.23 Vol.691

 大豆に麹菌がつくと美味しい味噌に、ブドウにイーストがつくとワインに、牛乳に乳酸菌がつくとヨーグルトに…。私たちの身近に昔からある発酵食品は、健康維持に役立つといわれ、常に注目されてきた。そもそも発酵とは、微生物が人間に役立つ働きをしてくれること。その微生物の力を使いこなすことで、人類は各地でさまざまな文化や社会を作ってきた。同書は、そんな発酵とヒトとの関わり方から微生物の生態、デザインやアート、遺伝子工学の最前線のトピックまでを、話題の発酵デザイナーの著者が文化人類学の方法論を駆使し、ミクロの視点から分析。それらを取り巻く社会のカタチを見つける旅へ誘う。単なる発酵食品の解説ではない、発酵の世界を通し自分の世界を広げてくれる実用書であり、ファンタジーあふれる本だ。

名曲と名盤『Volume 1.』BNQT

2017.05.22 Vol.691

 インディーロック界におけるスーパーバンドが登場した。BNQT(バンケット)は米バンドのミッドレイクを中心に、バンドオブホーセズのベン、フランツフェルディナンドのアレックス、トラヴィスのフラン、グランダディのジェイソンが集結し結成されたバンド。ミッドレイクのボーカル、エリックを含めた各バンドのボーカルが収録曲ごとにリードボーカルを担当。それぞれの歌声、そしてハーモニー、そしてリスナーの心に響くであろう美しいメロディーが楽しめる作品。『Real Love』『Restart』、そして『Unlikely Force』など全10曲。日本盤はボーナストラック付。

[ROCK ALBUM]Bella Union / Hostess 発売中 2100円(税別)

名曲と名盤『THE YELLOW MONKEY IS HERE. NEW BEST』THE YELLOW MONKEY

2017.05.22 Vol.691

 ロックバンド、ザ・イエロー・モンキーがデビュー25周年を記念してリリースする最新ベスト盤。収録した全曲を新たにレコ?ディングしたベストで、2017年にアップデートされたバンドと、バンドの軌跡を代表曲で思い切り味わえるアルバムだ。『JAM』『SPARK』に『プライマル。』の名曲の数々はライブでの演奏を想起させるようなシンプルかつ骨太なアレンジ。改めて彼らと、バンドが生み出した楽曲の持つ魅力でリスナーをノックアウトする。新曲『ロザーナ』と一緒に聴きたい。アナログ盤もある。

[J-POP ALBUM]日本コロムビア 発売中 【CD】2500円(税別)

クセありキャラにハマる!『何者』

2017.05.22 Vol.691

 デビュー作『桐嶋、部活やめるってよ』で数々の賞を受賞した朝井リョウの、直木賞受賞作を豪華若手俳優陣を揃え映画化。演劇界だけでなく『愛の渦』など映画監督としても高く評価される三浦大輔がメガホンをとり、就職活動を通して自分が“何者”かを模索する5人の大学生たちが、さまざまな思いを交錯させていく姿をリアルに描く。主人公の冷静分析系男子・拓人約に佐藤健。天真爛漫系男子・光太郎に菅田将暉。地道素直系女子・端月役に有村架純。意識高い系女子・理香役に二階堂ふみ。空想クリエイター系男子・隆良役に岡田将生。達観先輩系男子・サワ先輩役に山田孝之。

販売元:東宝 発売中 Blu-ray豪華版6000円(税別)

クセありキャラにハマる!『オケ老人!』

2017.05.22 Vol.691

 老人ばかりのアマチュア・オーケストラを舞台にした笑いと感動のクラシック・エンターテインメント! 人気女優・杏が本作で映画初主演。共演は、黒島結菜、坂口健太郎といった人気若手俳優に加え、笹野高史、左とん平、小松政夫、藤田弓子、石倉三郎ら豪華ベテラン勢が集結!

 高校教師の小山千鶴は、地元のエリート楽団と間違えて、お年寄りばかりのアマオケ梅が岡交響楽団に入団してしまう。楽団の演奏はひどいレベルなうえ、バイオリン志望だったはずがなぜか指揮者を任されることに。存続の危機にある“梅響”の運命はいかに…!?

販売元:TCエンタテインメント 発売中 4800円(税別)

鈴井貴之の新作舞台が上演『天国への階段』

2017.05.21 Vol.691

 

 大人気番組「水曜どうでしょう」(HTB)のミスターこと鈴井貴之のソロプロジェクト「OOPARTS」が、4作目となる舞台『天国への階段』を上演。今回のテーマは特殊清掃員。孤独死の現場を清掃するのが仕事だ。現場は死後1年以上経ったアパートの一室。顔を背けたくなるような状況と悪臭の中、働く清掃員たち。彼らはなぜ、この仕事につき、過去に何があったのか。誰にも看取られずに死んでいった人と、その死の痕跡を最後に見る人。一見シリアスに思われるテーマを鈴井ならではのファニーでコミカルな視点で描く。

真剣にバカバカしさと人間臭さを追求 動物電気『タイム!魔法の言葉』

2017.05.21 Vol.691

 昨今ではメンバーの多忙につき2年に1回の本公演になってしまった動物電気。気がつけば来年で25周年という。主宰の政岡はじめ中心メンバーは40代半ば。しかしそんな年齢なんてものを感じさせないパワーとテンションで毎回、腹の底から笑わせてくれる。

 彼らの作品では政岡のおばさん、小林健一の“やられ役”、辻の全身タイツ、森戸のうさんくさい男といった毎回登場するキャラクターやお約束の展開がある。こう書くとマンネリと取る人もいるかもしれないが、もうマンネリなんて言葉を超越したもので、その面白さは年々磨きがかかり、いわば熟練の域。むしろ年齢を重ね、多くの時間をともに過ごしたことで、人情喜劇の人情の部分の表現が年々味わい深いものになってきた。

 今回は彼らが大好きな「プロレス」を題材に、『おじゃまんが山田君』『めぞん一刻』といった懐かしい“下宿物”へのオマージュを込めた作品。

 おっさんたちが住み着いている東京郊外にある下宿屋にある日、巨大な女性が入居する。女性は一世を風靡したプロレスラーだった。諸々の事情で金に困っている住人たちはこの元プロレスラーを巻き込んで新設プロレス団体を立ち上げようとするのだが…。

“近所のおもしろいおじさん”たちが真剣にバカバカしさと人間臭さを追求する。

今回は新しい試みに挑戦 iaku『粛々と運針』

2017.05.21 Vol.691

 iakuは2012年に劇作家の横山拓也が大阪で立ち上げた演劇ユニット。暗黙のうちに差別的なものとして扱われる職業や場所、性的なマイノリティーなど正面からは取り上げにくい題材に切り込み、濃密な会話劇でぐいぐいと見る者を引き込んでいく。

 そのスタイルは徹底的にセリフ・会話にこだわったもので、最近ではひとつの場所、ひとつの時間軸で、ほぼ暗転を入れずに描き切る作品を多く作ってきた。となると、見る側としては台詞と役者の動き以外に情報を得る機会はなく、考える間もないのだが緻密な脚本と演出により“説明台詞”など入れることなく、しっかりと状況を見る者に伝える作りとなっている。

 なのだが、今回はこのスタイルから離れ2つの無関係の家族がそれぞれに繰り広げる議論を物語の終盤に脈絡なく合体させるという新しいスタイルに挑戦するという。

 一方の家族は治療難の病気からターミナルケア、尊厳死を望む母親について、親の命の期限を決められるのかを問われる兄弟。もう一方は妊娠を望んでいなかった妻が夫にその事実をどう伝えればいいかを悩んでいる夫婦。この2つの家族の葛藤を通じ、「死」や「生」といった「命」についてのさまざまな問題をあぶり出す。

心地よいアルバム『Have Fun』シンリズム

2017.05.09 Vol.690

 ポップで心地の良い楽曲で話題のシンガーソングライター、シンリズム。注目が集まるなかで、いよいよ待望の最新アルバムをリリース。カーセンサーのTVCMソング『FUN!』を筆頭に、昨年発表された『彼女のカメラ』『ラジオネームが読まれたら』など全11曲を収録している。再生するそばからスキップしたくなる楽曲が次々に飛び出し、歌詞をつぶやいたり、鼻歌を歌いたくなる曲ばかり。タイトルをそのまま音楽で表現しているような感覚の作品だ。丁寧なメロディーや歌詞の綴り方が、詰め込みすぎな音楽があふれるなかで、新鮮さを感じさせてくれる。

心地よいアルバム『Don’t think, feel.』THE BEAT GARDEN

2017.05.08 Vol.690

 昨年メジャーデビューを果たすとともに、複数の音楽フェスに出演。迫力のパフォーマンスで多くの支持を集めた、THE BEAT GARDEN。3ボーカルに1DJという構成のグループで、迫力のボーカルとEDMサウンドがミックスした高揚感のある楽曲が特徴だ。最新シングルは、「考えるな、感じろ」の心揺さぶるフレーズをタイトルに冠した、アッパーでダンサブル、そしてアグレッシブな楽曲だ。前作と比べると、シャウトにも近いボーカルが強い印象を残す。3人で歌うからこそのボーカルの厚みも、本曲にいい意味での重みを加えている。

心地よいアルバム『Afterglow』Asgeir

2017.05.08 Vol.690

 アイスランド出身のシンガーソングライター、アウスゲイルが最新作をリリース。高い評価を得た前作でデビューアルバム『Dyro i dauoapogn』に続き、透き通るメロディーラインとファルセットボイスで再び世界を魅了することになるだろう。タイトルトラックの『Afterglow』は水面が光を反射するかのようなキラキラ感を放つ楽曲。作詞は詩人であるアウスゲイルの実の父親が手掛けている。その他の収録曲もエレクトロビートと彼の歌声が作るハーモニーが、聴く者を優しく包み込み、聴く人を虜にしてしまう。再生して目を閉じれば、穏やかで静かて、心地よい空間へと連れて行ってくれるアルバム。

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