「なんだかだるい」「元気がない」「胃がもたれる」「疲れがとれない」「肌の調子が悪い」「むくみがち」…など、はっきりした病気ではないが、なんとなく体が不調な時に簡単に作れるレシピが114品も掲載された『おくすり飯114』が発売になった。家にある食材で、1人分から簡単に作れるレシピばかりなので、料理が苦手な人にもおすすめ。同書で紹介しているスープ、浅漬け、お茶を合わせれば、あっという間に体にやさしい献立が出来上がり。そのほか、持ち運べて朝食やお弁当にぴったりの“おくすりおにぎり”も掲載。
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ヒーローとヒロイン『SUPERMAN』水曜日のカンパネラ
独特なサウンドやライブパフォーマンスで注目を集めるポップハウス・ユニット、水曜日のカンパネラがメジャーファーストフルアルバムをリリース。タイトルが示すが通り、「アラジン」「坂本龍馬」「一休さん」「カメハメハ大王」に「世阿弥」と、いろいろなスーパーマンの名前を冠した曲をずらりと10曲収録。どの曲もタイトルの人物をモチーフになっているそうだが、聞かないことには、どんな楽曲なのか、どんなアルバムなのか皆目見当がつかない。それなのに、分からないワクワク感でついつい手に取ってしまう。それが水曜日のカンパネラなのだ。心地よいビートとサウンド、エッジがあってユニークなリリックの組み合あわせは絶妙。それにコムアイの歌声がさらに彩りや深み、軽やかさを加える。リピートは必至だ。コムアイの音楽フィールド以外での活躍もあり、認知度も注目度もぐんぐんと上昇中。3月には初の日本武道館公演も決定しており、さらなるブレイクも目前。まずはこのアルバムをチェック!
いろんな意味で見たことのないものを見せてくれそう M&Oplaysプロデュース『皆、シンデレラがやりたい。』
M&Oplaysプロデュースではこれまで岩松了、倉持裕、ノゾエ征爾といったさまざまな劇作家・演出家を迎えプロデュース公演を行ってきた。
今回は現在の演劇界で最も注目を集める存在といっても過言ではない劇作家・演出家の根本宗子を作・演出に招いての公演。
物語は、「一ノ瀬陸」というアイドルの「追っかけ」である3人の40代の女たちと、一ノ瀬陸の彼女を中心に展開。この3人の「負け組」と地下アイドルもやっているという彼女、そしてそのマネジャーの男も加わり、一ノ瀬陸というアイドルを中心に奇妙なバトルが展開される。
互いの利害が絡まり敵と味方の立場がころころと変わるうちに、それなりの友情や利害で結びついていた3人の仲にも微妙な空気が流れ始める。そして彼女のエキセントリックさが徐々に露呈されていくうちに物語は思わぬ方向へと流れていく。
根本はこれまで同世代の俳優たちとの仕事が多く、また「アイドル」に対する造詣の深さから舞台経験のない女優やアイドルの魅力を引き出すことに長けてきた。
今回は高田聖子、猫背椿といった経験豊富な女優たちと対峙し、どのような作品に仕上げることができるのか。高田らのこれまで見たことのないような魅力も引き出してくれそう。そんな見方も面白い。
チェックしておきたい1枚!『GRAMMY ノミニーズ 』V.A.
来月13日(現地時間12日)に発表される世界最大級の音楽の祭典グラミー賞授賞式。授賞式を控え、ノミネートされた作品をまとめた恒例のコンピレーションアルバムがリリースされた。収録曲は、年間最優秀レコードなど主要賞に複数ノミネートされている英アーティスト、アデルの「ハロー」、昨年のシグネチャーアーティストといっても過言ではない米アーティストのドレイクの「ホットライン・ブリング」(年間最優秀アルバムにノミネート)、最優秀新人賞などにノミネートされているザ・チェインスモーカーズの「クローサー Feat.ホールジー」など全21曲。
[COMPILATION ALBUM]ワーナー 発売中 2500円(税別)
チェックしておきたい1枚『THE KIDS』Suchmos
神奈川出身の人気グループ、Suchmos(サチモス)が最新アルバムをリリース。ロック、ジャズ、ヒップホップといったブラックミュージックにインスパイアされたグルーヴィかつ心地よいサウンドで支持されているグループだ。ラジオ界隈ではすでに大人気だった彼らは昨年急成長。そのなかで制作されたのがこのアルバムと言えそうだ。収録曲『A.G.I.T.』を筆頭に、今作もスムースで心地よいゴージャスな雰囲気をアシットジャズ的なサウンドに載せて感じさせてくれそう。3月から本作を携えての全国ツアーもスタート。今年もSuchmos人気はさらに高まりそう。
チェックしておきたい1枚!『Renne』SOHN
米ロサンゼルスを拠点に活動するシンガーソングライターであり、人気アーティストへの楽曲提供やプロデュースでも手腕を振るったSOHN(ソン)のセカンドアルバム。ドイツ語で“走る”をタイトルにした本作は自分自身の内部を掘り下げた内容。万人受けする分かりやすいドラマティックさがある作品とは言いにくいが、美しいメロディーと温かみのある声がじわりじわりとしみる。プライベートでの変化も反映された楽曲の数々はリスナーの心にすっと入ってくる。ソングライターとしての魅力を発揮した作品。本作で彼の名前はより広くへと浸透しそう。
[ROCK ALBUM]Beat Records / 4AD 発売中 2400円(税別)
春夏秋冬おいしければ幸せ。レシピ本『今日も食べたいごはん』
「かもめ食堂」「深夜食堂」「ごちそうさん」などで人気のフードスタイリスト・飯島奈美氏の約3年ぶりのオリジナル新作レシピ『今日も食べたいごはん』が好評発売中。飯島氏ならではの、飾らないけどしみじみおいしい家庭料理を季節ごとに紹介。さらに10皿のデザートレシピもついている。例えば、「冬においしい大根 丸ごと使い切り」をテーマに「ブリおろしかけ」、「大根の炒め物」などのほか、春の「お祝いの料理」、夏の「子どもが喜ぶスタミナレシピ」、秋の「ほっとする京風おばんざいを味わう」レシピといった季節ごとのメニューを掲載。食材も工程もシンプルを基本とし、毎日の食事がちょっと楽しく、おいしくなる料理集だ。
チェックしておきたい1枚!『トリトメナシ』チャラン・ポ・ランタン
姉妹ユニット、チャラン・ポ・ランタンによる最新音源。“ほぼ”フルアルバム。昨年はドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』のオープニングテーマ「進め、たまに逃げても」を担当するなど中毒性が高いチャランポ・ランタンの魅力をより広くへと浸透させ始めたが、本作でそれがさく裂しそう。タイトルの『トリトメナシ』が物語るかのような音やメロディー、言葉が踊りだす感じのなかに、Mr.Childrenのツアーメンバーであるバンド“ヒカリノアトリエ”がアレンジ・演奏する「かなしみ」が収録されている。
[J-POP ALBUM]エイベックス 発売中 CD+DVD2800円 CDのみ2300円(ともに税別)
清水 宏「下北沢演芸祭2017」で本紙イチオシの男
2月1日から下北沢で「第27回下北沢演劇祭’17」と春風亭昇太プロデュースによる「下北沢演芸祭2017」が開催される。さまざまな作品、演目が並ぶなか、本紙がイチオシするのが演芸祭の「爆笑!スタンダップコメディ寄席!」に出演する清水宏だ。
クドカンの書く台詞をとことん堪能する『クドカンの流儀』
札幌で生まれ育ち、これまでに『北海道歴史ワンダーランド』などディープな北海道シリーズを連発してきた著者が初めて地元以外をテーマに書き下ろした珠玉の一冊。今回のテーマは脚本家にして俳優であり、はたまたロッカーでもあるクドカンこと宮藤宮九郎の作品から名(迷?)セリフをチョイスし、それをとことん堪能するというものだ。
著者は『あまちゃん』第1回終了直前にナレーターの宮本信子が「はい、やっと出ました! これが私、天野夏でございます」と言うセリフとともに本人が海女の姿で海の中から登場するアンビリーバブルな構成に、後のあまちゃんブームを確信したと語る。
納得。文章はポップで読みやすいが、セリフに対する考察は鋭い。あまちゃんのアキ(能年玲奈=現在の芸名はのん)に対して母・春子(小泉今日子)が発した「地味で暗くて向上心も協調性も存在感も個性も華も無いパッとしない子」と言うセリフに対して、筆者は「一体どんな親子なんだと思います」としながら、母の故郷(袖が浜)で暮らすうちに起こったアキの心の変化を丹念にひもといていく。
過去の自分を壊したくなるが変わる方法も分からないし、勇気もない。そんな弱虫の背中を押したのは夏の「飛び込む前にあれこれ考えだってや、どうせその通りになんね。だったらなんも考えずに飛び込め。何とかなるもんだびゃ。死にたくねんだからな。あっははは・・(笑)」の一言だったと結ぶ。
確かにアキが祖母からそう言われ、防波堤の上から発作的に海に飛び込み、もがきながらも水面に顔を出し、荒い息とともに笑いを込み上げるシーンは感動的だった。
セリフの分析が人生&恋愛論になるところもあり、最後まで飽きさせない。『タイガー&ドラゴン』で使われた「ダメでも笑うんだよ。どんなに追い込まれても平気で笑ってられんのが本物なんだ」というセリフから笑いの本質を探っていたことも興味深い。「じぇじぇじぇ!」の向こう側を探求したい方にはお薦めの独自の視点が眩しい評論集だ。
子供鉅人「下北沢演劇祭」ならではの暴挙!? 本多劇場に115人の出演者を上げる
「下北沢演劇祭」に参加する子供鉅人は今回『マクベス』で本多劇場に初進出するのだが、「“本多劇場初”なことをやってみようということで、本多劇場の舞台に100人の出演者を上げることにしました」と言うのは主宰の益山貴司。
これまでの最多が2003年の流山児★事務所『書を捨てよ、街へ出よう』の54人とのことなので軽くオーバー。
「HPなどでは114人になっていますが、最近、高知からどうしても出たいという人が来まして、115人になりました。そのうち劇団員は10人。年齢は18~69歳。60代以上が4人いて、さいたまゴールドシアターに出ていた方もいらっしゃいます。お金がある商業演劇とか、公共ホールが税金を使って市民劇に100人出演させるというのは、まああるじゃないですか。そうじゃない全く金がない小劇場のチームがそれをするということにちょっと誇りを感じています」
100人をどう使う?
「メインの役は劇団員なんですが、台詞を割って、できるだけアンサンブルの方にも台詞を言ってもらうようにはしています。群集劇ですから、ガヤとメインというよりも、その100人もちゃんと意識を持った存在として舞台に上がるようにしようと思っています」
とはいえ、そんな話題性ばかりに走った作品というわけでもない。『マクベス』は劇中では何度も「男らしさ」や「女らしさ」といったことが言及されるのだが、今回はマクベスを女優の億なつき、マクベス夫人を男優の益山寛司と男女を入れ替え配役。それによって「らしさ」というものの本質に迫っていく。
「弟の益山寛司はずっと女形をやっているんですが、彼にマクベス夫人をやらせたいという思いがずっとありました」
益山寛司という女形がいてこその、まさに子供鉅人“らしい”作品。
「100人を舞台に上げるというのは最初はけれんだけだったんですが、とはいえあれだけの作品ですし、やる以上は上演する意味なんかも問われてくる。楽しいだけのわちゃわちゃしたエンターテインメントだけにはしたくない。そうじゃない子供鉅人の側面を見せたいと思っていて、現代社会の世相といったものをうまく取り込むことができないかとずっと考えていたんですが、ある時、新宿の街である風景に出くわした時に僕のそういう思い、マクベス、そして100人の出演者といったいろいろなピースがひとつになった。今は必然性のある100人の出演者だと思っています」
すでに土曜のマチネに追加公演も決定。作品の面白さはもちろんなのだが、とにかく115人をどう切り回すのかといった別の楽しみもある。必見の作品。
劇団子供鉅人『マクベス』
【日時】2月10日(金)~12日(日)(開演は金19時、土14時/19時、日14時。開場は開演30分前。受付開始は開演1時間前)
【会場】本多劇場(下北沢)
【料金】全席指定 前売4000円、当日4500円/学生2500円/高校生以下1000円
【問い合わせ】劇団子供鉅人( contact@kodomokyojin.com 〔HP〕 http://www.kodomokyojin.com/ )
【作】ウイリアム・シェイクスピア
【演出】益山貴司
【出演】益山寛司、キキ花香、影山徹、億なつき、ミネユキ、山西竜矢、益山U☆G、古野陽大、うらじぬの、益山貴司 他100名

