本作は2014年に初演され、岸田戯曲賞、鶴屋南北戯曲賞にノミネートされた、田村孝裕にとっても代表作ともいえる作品。現代の日本でも大きな社会問題となっている「孤独死」を扱ったこともあり、観劇後に深く考えさせられる作品だった。
日常にある「嘘」をテーマに、バカ正直に生きてきた兄と嘘ばかりついてきた弟の40年に渡る人生を描く。
舞台は、とある1DKのアパート。ある男が孤独死をした。警察の現場検証、遺体の引き取りも終わり、2人の清掃人がやってきた。これから特殊清掃が行われるのだ。実は死んだのは清掃人のうちの一人、滝口の弟だった。遺品を整理しながら、滝口は弟の人生を思い返すのだった。
初演時のキャストがほぼ勢ぞろい。甲本雅裕が演じる兄の実直さと恩田隆一の演じる弟のどうしようもなさのコントラストが鮮やか。現代と過去を行ったり来たりする形で物語を進ませることで、2人の人生がなぜこんなにも違ったものになってしまったのかが丁寧に描かれる。そして「嘘」というフィルターを通して見ると、兄弟どちらに肩入れするかは人によって分かれそう。

