小池百合子のMOTTAINAI 第6回「電力不足がもたらした真の少子化対策」

「故意に違反すると1時間あたり100万円の罰金なり」という極めつきの統制経済政策、電気事業法による電力使用制限令もひとまず解除されました。大口需要家を対象に前年比15%の節電を強いるものでした。

 電力多消費産業の工場では、土日操業に振り替えたり、電力需要期にはエイヤと操業休止に踏み切るなどの思い切った方策がとられました。いわゆるサマータイムを導入する企業も続出しました。

 さて、結果はどうだったのでしょうか。

 少なくとも罰金の支払いを求められた企業や団体が続出したとは聞いていません。これも日本の団結力、絆の賜物なのでしょう。しかし、企業ごとのばらばらなサマータイム導入はかえってエネルギー消費が増えるとの説もあります。だからこそ、その成果の中身を知りたいところです。

 私が興味を抱くのは、始業時間を早めるサマータイムを導入した企業で働く人たちのライフスタイルの変化です。

 早起きは辛いが、満員電車を避けられた。帰宅時間が早まり、家族と過ごす時間がたっぷりできた。趣味の時間が確保できたなど、新たな生活を見出すプラス効果。逆に、子どもの保育園や学校通いに支障が生じた。4時起きでのお弁当作りはきついなど、マイナス効果。さまざまな新現象が生まれたことでしょう。

 そもそも日本のホワイトカラーの労働生産性は先進7カ国中最下位、OECD33カ国中でも22位だとする日本生産性本部による調査(2010年版)があります。ブルーカラーの生産性は世界トップレベルなのに、オフィスワークとなると、長時間労働の割に成果は上がらずという状況が続いているのです。

 ワーク・ライフ・バランスなる舌を噛みそうな用語があります。仕事と生活を両立、調和させるため、働き方や社会環境を整えることを意味します。国の祝日を増やしたり、育児休業制度を改正しても、日本人は有給休暇さえ消化しない働き蜂ばかりです。

 その結果、少子化に歯止めがかからず、過労死は減らず、退職後に自分の居場所が見つけられない人が続出するなど、豊かなはずの日本で一人ひとりの幸福が実現しているとは思いがたい。

 環境大臣時代に導入したクールビズが、当初は賛否両論が渦巻きましたが、今はすっかり定着しています。同様に、電力不足対策として始まった新たな就業システムを一時的ではなく、恒久的なものとすればよいでしょう。

 こども手当てのようなバラマキで次世代につけ回しをするのではなく、時間という別の単位を提供する。真の少子化対策になるのではないでしょうか。

(自民党総務会長)