孤独をまとう不思議な鳥『ハシビロコウのすべて』

『ハシビロコウのすべて』(廣済堂出版)より

 そして、野生のハシビロコウの写真が多数掲載されているのもうれしい。アフリカの広大な大地で、ハシビロコウたちが自由に羽ばたき、えさを獲り、つがいとなって命をつないでいる姿に思わず胸が熱くなる。とはいえ実は本国でも生態には謎が多く、その見た目から「不運をもたらす鳥」として恐れられているのだとか。動かない理由は狩りをする際に魚に警戒されないためなのだが、その割には失敗も多いというエピソードが微笑ましい。

 そのほかにも130点以上のオリジナル写真をはじめ、生態図解、繁殖への取り組み、コミックやグッズ紹介、ユニークな写真集ほか盛りだくさんの内容。飼育員さんの写真の後ろにハシビロコウが写り込むなど、クスリとできる仕掛けも。あえて孤独を好むところは、どこか「ムーミン」のスナフキンや「孤独のグルメ」の井之頭五郎を彷彿させる。読み終える頃には、あなたもハシビロコウという不思議な鳥の虜(とりこ)になっていることだろう。

【監修】今泉忠明(動物学者)
【判型】A4変型/96頁
【価格】本体1200円+税
【発行】株式会社廣済堂出版
【特設サイト】https://www.kosaido-pub.co.jp/lp/hashibirokou/
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