カリスマ書店員3人が日比谷でトークイベント“マジ絶望”な世の中を生き抜くヒントとは?〈後篇〉

「自分のアイドルが作家」という新井は『緋の河』を猛プッシュ
新井:私は桜木紫乃さんの『緋の河』です。カルーセル麻紀さんの幼い頃から、20代になるかならないかくらいまでの話なんですけど、なんで女の人の格好をしたいと思うのかとか、いろんな人が出てくるのにびっくりするタイミングで死んじゃったり、消えちゃったり。おかまの人ってすごく楽しそうにわいわいやってるイメージだけど、あの人たちが家に帰ったあとどういう気持ちになるのか、これを読んだ時に初めてハッとしました。本当にすごい小説なんですよ。版元(出版社)さんが送ってくれたパネルが「カルーセル麻紀さんがモデルの小説」みたいな感じなんだけど、そうじゃないんだよ! そういうことじゃないんだよ!! 興味本位で手に取った人が本当に楽しめるかっていうと……。だからこの本を売りたいけど売りたくないっていう葛藤がすごいです。
長江:仕掛けをしようとすると変なブームになっちゃう感じの本ってたまにあるよね。自分が関わることで結果的にだめになっちゃうんじゃないか、みたいな。
新井:ほんとそう! もうレビューとか感想とかをまったく見ないで読んでほしいです。なんなら帯とかもいらないくらい。
長江:なかなかそういうわけにはいかないんだけどね。
(了)
『このままなんとなく、あとウン十年も生きるなんてマジ絶望』
【著者】長江貴士【発行】秀和システム【価格】本体1500円(税抜)
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