橋本愛、吉沢亮とは「温度感が似ている」 大河ドラマ『青天を衝け』で夫婦役

NHK提供

 大河ドラマ『青天を衝け』がまぶしい。家族と一緒に畑や仕事で汗を流しながら、仲間と切磋琢磨しながら、家族を思い、友を思い、村を思い、国を思う。そんな真っ直ぐな青年や少女たちのキラキラした姿が映し出されるたびにそう感じる。4月になって放送回数もそろそろ二桁に届き、物語には新たな展開が、登場人物の人生も大きく変化する。橋本愛演じる尾高千代もそのひとりだ。



 大河ドラマ『青天を衝け』は日本資本主義の父と称される渋沢栄一の生涯を描くドラマだ。日本が内からも外からも変化を求められる幕末を描いている。


 時代から、吉沢亮演じる主人公の栄一、高良健吾演じる栄一の従兄の喜作ら男たちが中心となっている物語の中で、一輪の花の様に凛としてそこにいるのが橋本愛演じる尾高千代だ。


 橋本が大河ドラマに出演するのはこれで3作目。『西郷どん』『いだてん』に出演している。


「『青天を衝け』のことを聞いたのは、まだこの作品に参加することが決まっていなかった時期でした。吉沢さんが主役をやるというニュースを見てすごいなと思っていて、まさかその作品に自分が携わることになるとは思っていなかったので、お話をいただいたときにはびっくりしました。『西郷どん』では2話、『いだてん』も時々出てくる人だったので(笑)、ずっと作品のなかで主人公と一緒に並走できるのは(『青天を衝け』が)初めてなので光栄に思いましたし、うれしいなと思いました」


 千代は、栄一や喜作の幼なじみで、栄一の妻となる女性。


「私はすごく千代ちゃんのことが大好きなんです。とても可愛くて柔らかくてみんなに愛される女の子ですけど、栄一さんと家族になって、たくましく成長していくんです。撮影をしていても、今までにない千代ちゃんの気迫があったりして、徐々に変わっていっているなと思います。母親になって、いろんなことを経験して、どんどん人としての幹が太くなっていっている。千代ちゃんも栄一さんと一緒に成長しているということを感じていただけたらうれしいです」


栄一を演じる吉沢亮とは「温度感が似ている」


 吉沢とは、本作で初共演。


「吉沢さんのことは、友達の杉咲花ちゃんから、すごく人見知りだよって聞いていました。私もすごく人見知りなので『良かった!』って、安心して現場に入りました。実際お会いしたら、人見知りなのもそうですが、温度感が似ているというか、吉沢さんの無理なく現場に佇む感じに、自分と同じ匂いを感じて、すごくやりやすいなと思いました。渋沢栄一という人は本当に魅力的で、理想の人間だなと尊敬しています。そんな栄一さんを吉沢さんがどう演じられるんだろうと楽しみにしていました。実際に面と向かってお芝居をしてみると、ものすごく明るくて、はつらつとしていて、表情が色彩豊か。見ていて飽きないじゃないけれど、栄一さんを見ているだけで楽しめるドラマになるんじゃないかなと思いました」


 高良には信頼を寄せている。


「数年前にNHKのドラマでご一緒しました。3カ月ぐらい一緒にやっていたので安心しきっている。高良さんがいれば大丈夫、そう信頼しきっている感じがあります」


 喜作が小さいころから思いを寄せている千代に告白しようとするけれどできないというシーンがあった。


「高良さんはたぶん30歳ぐらいですよね? でもそのシーンは14歳ぐらいの設定で、なんていうかランドセルを背負っているみたいな表情をされていたんですよ。それを見て、『わっ、すごい! 少年だ! 30歳でも少年なんだ!』って。可愛らしかったし、年齢とか精神性とかの表現力に衝撃を受けました。あれはすごかった」


 4日放送の第8回「栄一の祝言」では、そんな2人が千代を巡って対決。


「あのシーンは恥ずかしくてしょうがなかった」と橋本。それでも「(栄一さんの)戦いにおいて気迫がない、穏やかで優しいところを慕っているんですが、対決になった時に、こんなに強く戦ってくれるんだって。今まで見てきた栄一さんとは違う!そのうれしさというのはすごくありました。私自身としては混ざりたい、私も剣をやりたい、ずるいと思っていましたけど(笑)」


夫婦になってキュン度はマシマシ


 栄一の「俺は千代がほしい」(第7回「青天の栄一」、3月28日放送)の言葉にキュンとした女子も少なくないだろう。その「キュン」なシーンは今後も期待してもよさそうだ。


「夫婦になってから、より2人の関係性の少女漫画味が強くなっていて、これは女の子がキュンキュンするために書いたんじゃないかという場面がたくさんあります。そういうシーンがこっぱずかしくて、本番までにその恥ずかしさをとるのに一生懸命です」と、少し困り顔。「栄一さんが千代を後ろから抱きしめるみたいなシーンもあります」


 千代を演じるうえで意識しているのは「抑制すること」だという。


「千代ちゃんの栄一さんへの愛情がすごく大きいので、演じていてあふれだしそうになって。触れたいだとか、抱きしめたいだとか……千代ちゃんは自分からそういうコミュニケーションは絶対取らないだろうと思います。そういうことを女性からするのははしたないという品性のある子なので。抑えている分、千代ちゃんからにじみ出るような愛情が見えていたらいいなと思います」


「渋沢栄一は理想の人」


 今後は妻となって、駆け出していく栄一を支えていく。国を変えようと命を落とした若者たちも少なくない幕末に、別のベクトルで命を賭して動いた渋沢を、橋本は理想の人とする。


「ビジネスの才覚がずば抜けていて、あれだけの才覚があったら、人ってお金を儲けることに偏ってしまうケースが多い中で、人徳というか人の心というか、道徳を一番に重んじたうえでのお金儲け。渋沢さんはその両立はすごく難しいとお年を召されてからも言っていて、人生をかけてその両立を成立させようと尽力された方なんです。周りのみんなが幸せなのが一番なんだと周りの人のために自分の才能を使うところにものすごくグッときます。そこに人生をかけてきたところが理想だな、人ってこうあるべきだなって思います。すごく尊敬しています」


 そんな理想の人物の人生と一年以上という長い時間をかけて「並走する」。


「どこか軽妙なところがあって、歴史に知識がなくても軽やかに入っていけるような作品。大河ドラマに縁がなかった人でも楽しんでずっと見てもらえるんじゃないか」。橋本はそう期待を寄せている。


『青天を衝け』は、 毎週日曜、NHK総合で20時~。BSプレミアム・BS4Kで18時~。再放送土曜13時05分~。


 


(本紙・酒井紫野)