ノープランでも楽しめた!大阪・関西万博をふらっと体感

夜になるとユニオンジャックが浮かび上がる。

 大阪・関西万博のポジティブとは言い難い見出しやリポートが目に入る一方で、「本当にそうなのだろうか」「他の人と自分の感じ方は一緒ではないしな」という気持ちも湧いてきた。大型連休の週末に大阪で仕事が入った。チャンス!と、早めに大阪入りして万博の雰囲気を感じてみることにした。

 旅に予定を詰め込まない主義。万博を訪れたい目的も万博の雰囲気を感じることで、どうしても見たいパビリオンもない。そんな記者にとって、まるまる1日は体力が持たない。そこで選択したのは夜間券だ。17時から22時まで滞在できる。ただパビリオンは21時で終了なので何を優先するかがポイントだ。

 金曜日の夕方。まだオフィスアワーということもあって人はまばら。会場の東ゲートではさすがに列ができたもののスムーズに入場。地下鉄を降りてから会場に入るまで10〜15分といったところだろうか。

 太陽が傾いて大屋根リングの格子から差す夕日がまぶしい。アイルランド、ドイツ、韓国、イタリア……人気パビリオンを横目に歩いていると、巨大な立像が目を引くアゼルバイジャン館の行列が一気に短くなったのを確認。列に加わってみるが一向に進まない。いくつかパビリオンを見学して分かったが、映像コンテンツの上映時間に合わせて人を館内に案内していくところが多い。だいたいの行列は映像コンテンツ待ち……なのかもしれない。

ブルーの空間に歴史や文化、最新技術が整然と展示され、スペインの新たな一面を知ることができた

 スペイン館の前は階段広場。階段の上からはフラメンコギターの音がした。呼び込みをしていた女性に聞くと、フラメンコのパフォーマンスが行われているという。足早に階段を駆け上がり、ギターと派手な足音が刻むリズムにスペインに思いを馳せる。パビリオンの中の、日本とスペイン、昔と今を海でつないだ展示も興味深かった。

 いろいろな展示を見たいなら、複数の国がブースを並べるコモンズ館がおすすめだ。会場のあちこちに点在している。それぞれの国の展示はコンパクトだが、それゆえに工夫を凝らしている国も。アートのデモンストレーションに感心したり、「こんなところに、ボブ・マーリー!」とニンマリしたり。未知の国の技術の説明に耳を傾けたり……ハマるとなかなか抜け出せなかった。

予約なしはこちら!の看板もあちこちに!

 イギリス館を出ると21時前。大慌てでエスカレーターで大屋根リングに上り、ドローンショーを見た。後々調べると上れる時間は決まっているとのことでラッキーだった。

 会場の半分も見られず万博グルメも口にできなかったが無計画なわりには充実した5時間だった。時間や予算が許すなら、ひとつだけパビリオンの予約を入れ、あとは歩き回り、次に訪れる時のプランの見当をつけるのが一番贅沢な楽しみ方かもしれない。大阪住みがうらやましくなったフライデーナイトだった。