「地球温暖化」は死語? 日本の外交力が試されています。
朝晩にはようやく秋を感じるようになりましたが、今年の夏は連日猛暑が続きました。四国の四万十市では41度を記録。猛暑を超える「超猛暑」とでも名付けましょうか。
猛暑の原因はラニーニャという大気の対流による自然現象説がありますが、地球温暖化説はあまり取り上げられません。福島第一原発の問題もあるせいか、地球温暖化という言葉そのものを避けているようにも思えます。
しかし、どんなに日本が目をそらしたくとも、地球温暖化という世界的なテーマは存在します。
毎年末には国際的な地球温暖化対策会議COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)が開催されるのです。19回目を数える今年はポーランド・ワルシャワで開かれます。地球温暖化対策が英国などのヨーロッパが描いた世界戦略と断じるのは簡単ですが、すでにゲームは始まっています。
COP19では2020年までの温室効果ガス削減の新たな目標を話し合うことになっていますが、現時点で日本だけが明確な数字を示せない状況が続いたままです。3・11東日本大震災・大津波による福島第一原発事故以来、時計が止まってしまったからです。
民主党の鳩山政権時代に20年までに90年比で25%削減!とブチ上げた直後に、不幸にも3・11が起こった。今も放射濃度の高い汚染水が海へ流れ出している状態です。今後の予定が立たない、将来が見通せないと、手ぶらで日本の環境大臣はワルシャワに旅立たねばならない状況です。
せっかく温暖化対策で世界をリードしていたわが国が手ぶらで国際会議に臨むのはくやしい限りです。カバンの中身を詰める努力を重ねたい。
ここは発想を変えましょう。世界の温室効果ガスのうち日本の排出分はわずか4%。、増加の一途の途上国で日本の技術を生かして削減するほうが、全体の貢献につながります。また、ヨーロッパがEUの枠組みで調整するのと同様、中国やインドを含めた「アジア枠」を作ることで、日本の貢献度を増すことも一案です。
それを可能とさせる唯一の方法が外交力です。説得力です。
それもかなりの力量が必要ですが…。地球温暖化対策という分野でも日本は正念場を迎えています。
(衆議院議員/自民党広報本部長)