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藤原紀香「サザエさんを地でいく」おっちょこちょいエピソードをフネ役・高橋惠子が暴露

2022.01.28 Vol.Web Original

 29日より開幕する舞台『サザエさん』合同取材会が28日、明治座にて行われ、俳優の藤原紀香、葛山信吾、高橋惠子、松平健が登壇した。

 2019年、国民的人気作品「サザエさん」の10年後を描いて好評を博した舞台の第2弾。今回は完全新作版として、さらに未来となる10数年後の磯野家の日常を描く。

 フグ田サザエ役の藤原は、約2年ぶりの再演に「新作の台本を読んでいたらすごくほっこりして、癒しがあって元気で明るくて『ああ、サザエさんの世界観はこれなんだな』と、とても幸せな気持ちになれました。こういった明るく元気になれるような作品を今、上演できることはすごく意味があるなと思います」と語り、マスオ役の葛山も「初演が大変楽しかったものですから、また先輩方とご一緒できて新しいメンバーも加わるという話を聞いた時には本当にうれしかった」と同調した。

 磯野フネを演じる高橋が「お父さん(波平)と何十年も一緒に暮らしたような気分で演じさせていただきましたが、初演が終わったとたんにまったくお会いしていませんで(笑)、再演が決まって皆さんとお会いできることが本当にうれしかったです」と答えると、波平役の松平も「楽しくてあたたかい磯野家だったので、ふたたび皆さんと公演できることをとてもうれしく思いました」と返すなど息の合ったところを見せた。

 サザエさんにちなんでおっちょこちょいエピソードを聞かれた藤原が「特別なエピソードはないんですけど……」と口ごもると、高橋から「あり過ぎて思い出せないくらい、毎日のように稽古場でもサザエさんを地でいく紀香さんという感じで(笑)」と助け船。とはいえ、その高橋も「ご飯が炊けていなかったという話を聞いていたのですが、フネもこの間、家で炊飯器のスイッチを入れ忘れてしまいまして。私もだんだんサザエさんになじんできました」とサザエさん化を告白。昨年「マツケンサンバII」が再ブレイクした松平は「皆さんから『楽しかった』というお声をたくさんいただきましてうれしい限りです」とほころんだ。

 最後に藤原は「こういったご時勢ですけれども、もし劇場に足を運んでくださるなら……」と前置きしたうえで「サザエさんの持つ明るくて元気な世界観、孤独や寂しいものが一切なくて本当にほっこりするあたたかさが伝わるような作品になるべく稽古してきました。いよいよ初日を迎えますけれども、そういった世界観が少しでも皆さんに伝わるといいなと思います」とメッセージを送った。

まさに総合芸術!噺と話byプリエール『銀色のライセンス』

2022.01.17 Vol.749

 

 プリエールは芝居や朗読、落語などさまざま舞台作品をプロデュースしており、今年で20周年を迎える。

 これまで小劇場で活躍する作・演出家とベテラン俳優、その逆でベテランの作・演出家と新進気鋭の若手俳優、もしくは舞台ではめったにお目にかからないタレントの起用といった、プリエールならではの斬新な組み合わせの作品を多く手掛けてきた。ここでの出会いが別の出会いを呼ぶなど、演劇界に果たす功績は大きい。

 今回は演劇作品のプロローグを落語が担うという構成で、真打の噺家による『死神』を一席楽しんだ後に、高座が装置へ、噺家が俳優へと変化して芝居が広がっていく。2020年に上演され好評を得た作品をブラッシュアップしての再演となる。

 物語は高齢化が進み、誰にでも訪れる「老い」が原因で巻き起こる事件や事故が多発する世の中で、自動車教習所で巻き起こる出来事を通じて、人間の尊厳や周囲の人々の思いを描いていく。

 作・演出は解散まで東京サンシャインボーイズに所属し、三谷幸喜の演出補を務め、解散後は自身の演劇ユニット「泪目銀座」を主宰し、2012年からは劇団「丸福ボンバーズ」を立ち上げ、多くの作品を生み出している福島三郎が手掛ける。

年末年始も演劇三昧 が〜まるちょば LIVE 2022 STORIES 『PLEASE PLEASE MIME』

2022.01.04 Vol.748

 2021年の夏にピクトグラムパフォーマンスで世界を喜ばせたパントマイムアーティスト・が〜まるちょばが、年明けからオーディエンスの心を揺さぶる。

 2021年1月に上演した『PLEASE PLEASE MIME』を、長編ストーリーの名作を含めてブラッシュアップして上演するもの。1年前には緊急事態宣言によって7公演中3公演が中止になったが、そのリベンジともいえる。

 ストーリー仕立てのショート・スケッチと、長編ストーリーで構成。言葉をはじめ、一般的に舞台の上で行われる表現と比べると、いろいろ「ない」にも関わらず、が〜まるちょばの動きで見えなかったものがビビッド見えて、舞台の上や下、劇場の外までも再現なく広がっていく世界が広がっていくように思える不思議なステージだ。

 公演に先立ち行われた取材会では「マイムで感動するって言っても、“一人でやってて喋らないのに?”って。そういうパントマイムの力を信じられない人にこそ舞台を見てほしい」と熱く語った、が〜まるちょば。「これからも〈舞台だから面白い〉ってものを届けていきたい。〈舞台でのパントマイム〉を楽しんでもらえるように頑張りますので、期待していただければ、と」。期待で胸をパンパンにして紀伊國屋ホールに向かおう!

年末年始も演劇三昧 ヨーロッパ企画『九十九龍城』

2022.01.03 Vol.748

 ヨーロッパ企画は同志社大学の演劇サークルに所属していた上田誠、諏訪雅、永野宗典が1998年に旗揚げした劇団。

 当初はSF的なシチュエーションの中で巧妙に伏線を張り巡らせた会話を展開するコメディを得意としていたのだが、映画化された『サマータイムマシン・ブルース』以降は会話よりも「構造」で見せる笑いへシフトチェンジ。現在はテレビゲームを思わせるトリッキーな地形や、SF・ファンタジめいた世界観の中で、登場人物たちがモソモソと日常会話をつむぐ、といったスタイルの群像コメディを得意としている。

 今回は約2年ぶりとなる本公演。「魔窟劇」とのことでアジアの知られざる魔境「九十九龍城」を描いた作品なのだという。

 今回の作品にあたっての作・演出の上田誠の言葉に「九十九龍城のことを描きます。あの体験は強烈でした」とあるのだが九十九龍城? どこの話?と思ったあなたはもう彼らの術中にはまってる?

 8・10・15・22日の18時の回には出演者によるおまけトークショーもあり。

年末年始も演劇三昧 B機関『レミングー 世界の涯まで連れてってー』

2021.12.16 Vol.748

 B機関は2016年に舞踏家・点滅により結成された演劇身体表現ユニット。舞踏を含む身体表現的技法を用いた演出で、新たな演劇の在り方を目指している。

 点滅は1993年に土方巽記念アスベスト館にて舞踏を始め、翌94年にパルコ劇場で上演された寺山作品「毛皮のマリー」で舞台デビューを果たしている。その後も寺山作品との縁は深く、活動名の「点滅」というのも寺山の言葉である「点滅して明なり」から取っているという。

 このB機関が旗揚げ公演以来、寺山修司作品を連続して上演しているというのも、なるほど納得である。

 これまで年1回、本公演を行ってきたのだが昨年は4月に予定していた『毛皮のマリー』がコロナの影響で今年4月に延期。その今年4月の公演も延期されてしまい、今回の『レミングー 世界の涯まで連れてってー』は約2年ぶりの本公演となる。

 寺山の死後もその作品は多くの演劇人によって作品化されてきた。それぞれの時代背景や感性のもとさまざまな解釈がなされてきた。今回点滅は物語の主題となる「壁」とは国境であり 自己と他者とを区別する境界線の比喩と解釈したという。その解釈のもと、舞踏を用いた演出でB機関ならではの「レミング」が表現される。

年末年始も演劇三昧 千葉雅子×土田英生 舞台製作事業VOL.2『徒花に水やり』

2021.12.14 Vol.748

 2013年に猫のホテルの千葉雅子とMONOの土田英生が「千葉雅子×土田英生 舞台製作事業」という座組で二人芝居『姐さん女房の裏切り』を上演した。

 同作は暴力団組織の組長の妻だった女と鉄砲玉だった男の愛の逃避行の末の物語。2人は抗争が起こった時にホテルにいたためその関係が組関係者にバレることを恐れ逃亡。その抗争で多くの死者が出たのだが、男の犯行とされてしまい、組どころか警察からも追われることに。それから20年が経ち、姉さん女房の女は50歳を過ぎてもスナックで働き、少し年下の男はヒモのようになっていた。そんな2人に再び暴力団と警察による追跡が忍び寄り…といったお話。

 物語の面白さ、千葉の姉さん女房と土田のヒモ同然の男というキャラの絶妙さ、2人のかみ合わせの良さなどさまざまな要因が重なったこともあり好評を得たのだが、あれから約7年、ついにこの2人が帰ってきた。それも強力な3人のメンバーを引き連れて。

 今回は好評だった前回の世界観を踏襲したお話。地方を拠点とした暴力団「日和組」は組長の死をきっかけに廃業。組長には4人の子供がいたのだが、三女がある男を連れて実家にやってきたことからさまざまなドラマが展開されていく。社会からはみ出した徒花たちの悲哀を滑稽なやり取りで描いていく。三姉妹に千葉、桑原裕子、田中美里、三女が連れてきた男を岩松了。土田は今回、千葉とは弟役で絡んでいる。

宮沢りえ「心震わせ惜しみなく」 舞台『泥人魚』が6日開幕

2021.12.05 Vol.Web Original

 

 舞台『泥人魚』が6日、東京・Bunkamuraシアターコクーンで開幕する。5日、初日を控えて、プレスコールが行われ、一部が公開された。

 2003年に初演された唐十郎の傑作戯曲で、18年ぶりの上演。

 都会の片隅にあるブリキ店で暮らす蛍一(磯村勇斗)を探して、やすみ(宮沢りえ)という女が現れた。「ヒトか魚か分からぬコ」と呼ばれるやすみは、ある約束を果たしに来たと言う。蛍一の前で見せた、やすみの片方の足には、一条のきらめくものがはりついていて──。

一言で言うと「大人の会話劇」城山羊の会『ワクチンの夜』

2021.11.29 Vol.747

 城山羊の会はCMディレクターの山内ケンジの脚本・演出による演劇プロデュース・ユニット。山内は2004年に「CMディレクター山内健司の演劇」として演劇活動を始め、2006年に「城山羊の会」を発足。以降、コンスタントに作品を発表し続け、2015年には『トロワグロ』で第59回岸田國士戯曲賞を受賞している。

 その作品は一言で言うと「大人の会話劇」。このジャンルには多くの作家がいるが“ここでしか味わえない”感の強さは群を抜いている。設定自体は特に奇抜なわけではなく、登場人物も特に変な人ではないのだが、登場人物たちの人間関係を深くえぐることによって、なんとなくおかしなところが浮かび上がってくる。劇場ではユーモアにあふれた会話でクスリとさせられ、帰り道ではこの人間関係の描き方を思い出してじわじわとさせられる。

 今回はワクチンを接種したある年配の夫婦のその夜のお話。正直、日本全国で多くの人が経験したシチュエーションで、奇抜な登場人物も出てこない。先に説明した城山羊の会の定番スタイル。そう考えると「日常って、よ〜く見てみると思っているより面白いんじゃないの?」と思わされる。「つまらない日常」みたいなフレーズに踊らされてる人にはぜひ見てもらいたい作品。

福岡で実際に起きた事故をモチーフとした最新作 劇団桟敷童子『飛ぶ太陽』

2021.11.23 Vol.747

 昨年からの新型コロナウイルスの影響で世の中には「リモート」という便利なシステムが出来上がってしまった。実際に会わなくても仕事ができてしまうことに最初のうちは便利さを感じていた人も多かったのだが、今もそうなのだろうか。

 演劇界でも苦肉の策として「配信」が取り入れられた。それはそれで地方在住のファンやさまざまな事情で劇場に来られない人たちに向けて今後も残っていくかもしれない。しかし演劇の醍醐味はやはり生身の人間が目の前で演じるものを見ることに他ならない。

 そんな演劇体験を嫌というほど感じさせてくれるのが桟敷童子の舞台。作・演出の東憲司が作り出す物語は自身が幼少期に過ごした福岡の炭鉱の町・筑豊や霊場巡りで知られる篠栗での原風景をもとに、困難に立ち向かう人々の壮絶な生きざまを描いたもの。そして劇団員全員で作り出す大掛かりなセットは劇場でありながら野外公演かと思わせるほどのリアリティーと迫力のあるもので、劇場に入った瞬間から観客を強引に物語に引きずり込んでいく。

 今回は「二又トンネル爆発事故」という1945年に福岡で実際に起きた事故をモチーフとした最新作。こんな時代だからこそ、究極の演劇体験を!

増田貴久がブロードウェイミュージカルに初挑戦「ハウ・トゥー・サクシード」

2021.11.15 Vol.747

 増田貴久がブロードウェイミュージカルに初挑戦したことで話題も注目も集めたミュージカル『ハウ・トゥー・サクシード』が戻ってくる! 

 トニー賞7冠のコメディーミュージカルの決定版。ビルの窓ふき清掃員のフィンチが「努力しないで出世する方法」という本を読んで一念発起、次に「入るべきは大企業」という本の教えに沿って、ワールドワイド・ウィケット社に飛び込み、社長に直談判。人事部長に社長の関係者だと勘違いされて入社を果たし、トントン拍子に出世していく。全てが順調だったある日、重大なアクシデントが発生して……。

 ポップで力強い楽曲、軽快でパワフルなダンス、出世街道を楽しそうに駆けあがって主人公の姿にウキウキワクワクが止まらない。増田演じるポジティブなエネルギーに満ちたフィンチを筆頭に、『レ・ミゼラブル』のエボニーヌ役を筆頭に多数のミュージカルに出演する唯月ふうか、アーティストとしても活動する松下優也ら豪華キャストの一挙手一投足に心が踊る。

 年末年始を前向きに乗り切るパワーを本公演からいただこう!

森鷗外の内面の謎に迫った作品 二兎社公演45『鷗外の怪談』

2021.11.08 Vol.747

 この『鷗外の怪談』は高名な作家として尊敬を集める一方で、政権中枢に近い陸軍軍医総監でもあった森鷗外を家庭生活の場から描き、その内面の謎に迫った作品。2014年に初演され、ハヤカワ「悲劇喜劇」賞および芸術選奨文部科学大臣賞(永井愛)を受賞するなど、高い評価を受けた。

 この永井愛近年の代表作の一つが出演者を一新し、7年ぶりに再演される。

 言論・表現の自由を求める文学者でありながら、国家に忠誠を誓う軍人でもあるという、相反する立場を生きた鷗外役に松尾貴史。松尾は二兎社が2018年に上演した『ザ・空気 ver.2』では“総理のメシ友ジャーナリスト”を演じ好評を博した。

 松尾自身、かつては多面性の極みのような芸を披露し、今もテレビ・ラジオはもちろん、映画・舞台、イベントなど幅広い分野で活躍する。そんな松尾が鷗外の二面性にどうアプローチするかはとても興味深いところだ。

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