MONOの作品を一言で言うと、現実にはあり得ない非日常の設定の中で繰り広げられる、軽妙かつ絶妙な会話劇といったところか。
作・演出の土田英生の描く台詞とそのやり取りは、どのような設定においてもニヤリとさせられ、クセになる。そしてその作品を熟知したメンバーたちが具現化した舞台はMONO“ならでは”としか言いようのない、とても中毒性の高いものになっている。
今回はボーカリストの浦嶋りんこをゲストに呼ぶなど、これまでの会話劇に音楽劇の要素をプラスした新境地ともいえる作品。
ある薬の普及で100歳間近になっても若いままの人々がいた。服用の度合いによって老け方が違うため見た目はバラバラなのだが、みな同じ年というなんとも不可思議な風景。みんなは集まって歌い、そして懐かしい思い出話で盛り上がる。しかし未来のことを語る奴はいない。それはみな今年中に死ななければいけない運命にあるからだった…。
「死を前にした元気な人間」「元気なのに未来を考えられない」??この大いなる矛盾が生み出すシチュエーションはおかしいことはおかしいのだが、むしろほろっとさせられる。
作品中にちょっとした社会問題を潜ませるのが土田のやり方だけに、今回もいろいろ考えさせられそうな予感。