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【明日は何を観る?】『ゴジラvsコング』

2021.07.01 Vol.742

『ゴジラvsコング』

 巨大怪獣の戦いによって壊滅的な被害を受けた地球。特殊機関モナークは未知の地で巨大怪獣のルーツの手がかりをつかもうとする。そんな中、またもやゴジラが出現。対抗措置として髑髏島から連れ出されたコングと激突する。

監督:アダム・ウィンガード 出演:アレクサンダー・スカルスガルド他/1時間54分/東宝配給/7月2日(金)より公開 https://godzilla-movie.jp/

古田新太と尾上右近がダブル主演『衛生』~リズム&バキューム~

2021.06.29 Vol.742

 舞台は昭和33年。水洗トイレが普及する前の汲み取り業者「諸星衛生」は、地元の政治家をバックにつけて、のし上がってきた。かつてのライバル業者が逆襲のタイミングを狙っていて…。

 古田新太と尾上右近がダブル主演することで、注目を集めているミュージカル。「善人不在」「悪者たちの爽快ミュージカル」をキーワードに、排泄物を扱う業者一家の悪行三昧を、ポップかつグロテスクに、どこかあっけらかんと描く。社長を古田、その息子を尾上が演じる。地元の政治家を六角精児、ともさかりえがかつてのライバル業者で登場する。

 脚本・演出は、2018年に『あたらしいエクスプロージョン』で岸田國士戯曲賞を受賞し、人気を博したドラマ『あなたの番です』を手掛けた福原充則。「強くて魅力的な悪い奴らを、音楽に乗せて、みなさまの脳天にむかって唐竹割りしながらお届けできたら」と力強くアピール。音楽は水野良樹(いきものがかり)が担当しており、「悪も正義も、汚いものも美しいものも、本音も取り繕いも、すべてが混濁して混ざり込んでいるような、まさしく人間らしい主題曲」と意欲を燃やしており、楽しみだ。益田トッシュも同じく音楽を担当する。

 大阪、福岡でも公演がある。

家族をテーマに扱った作品群の中の一作 世田谷パブリックシアター『森 フォレ』

2021.06.28 Vol.742

 世田谷パブリックシアターでは2014年からレバノン出身の気鋭の劇作家ワジディ・ムワワドの“「約束の血」4部作”をシリーズで上演してきた。これまでの『炎 アンサンディ』『岸 リトラル』は数々の演劇賞を受賞した。今回はその待望の第3弾となる。過去2作に引き続き、上村聡史が演出を手掛ける。 

 ムワワドはレバノン生まれで内戦を経験。フランス、次いでカナダに亡命後に再びフランスへ渡り精力的な演劇活動を続けている劇作家。自己の体験から戦争を背景に自らのルーツをたどる作品を多く発表しているのだが、代表作である“「約束の血」4部作”は家族をテーマに扱った作品群で、その中の一作が2006年に創られた『森 フォレ』。

 母の死により自らのルーツをたどることになる少女の成長が、人々が繋げる「血の創生」に着目しながら、6世代と2大陸にまたがる壮大な時空間の中に立ち上がる構成。時は現代からベルリンの壁崩壊、第二次世界大戦、第一次世界大戦、普仏戦争、産業革命後のヨーロッパまでさかのぼり、二つの世紀をまたぎ、娘から母へ、母から祖母へ、祖母からまたその母へと、戦争の世紀に押しつぶされた声なき人たちの声を現代に響かせる。

 140年にもわたる“血”の物語をひも解くフランスの古生物学者役を成河が、母の死をきっかけに自身のルーツをたどる女性を瀧本美織が演じる。

作家・辻仁成が息子に伝えるための渾身の家庭料理集『父ちゃんの料理教室』

2021.06.25 Vol.742

 息子が小学生の時に離婚し、シングルファーザーとなった芥川賞作家の辻仁成。本書はフランス在住の著者が、現在高校生となる息子にロックダウン下のパリの台所で始めた料理教室がベースとなっている。だが、いわゆる料理本を想像してページをめくると、予想外の構成に驚いた。

 たとえば、冒頭の「フランス風イカめし」の書き出しからしてこうだ。「あのね、なぜ生きるのはこんなに大変なんだろうって、思うことあるだろ?」本書は数字を順に振って、調理工程を説明しているといったレシピではない。親子の会話を通し、生きるとは、食べるとは、料理とは何かが描かれているのだ。工程の文章が文学的、会話調といったレシピ集はあるけれど、これはキッチンに救われたという作家が息子に伝えるための渾身の家庭料理集である。

 ひとつの料理につき3〜4ページの読み物と、最後に材料の表記があり、料理に託された生活の知恵が自然と身につく。著者本人が撮影したという写真がまた、あたたかみがあってすこぶるおいしそうだ。

【明日は何を観る?】『夏への扉 -キミのいる未来へ-』『ピーターラビット2 バーナバスの誘惑』

2021.06.24 Vol.742

『夏への扉 -キミのいる未来へ-』

 科学者の高倉宗一郎は亡き養父・松下の会社で研究に没頭していたが、研究の完成を目前に罠にはめられ、冷凍睡眠させられてしまう。目を覚ますと、そこは30年後の2025年の東京。宗一郎は研究も財産も失い、家族のように思っていた松下の娘・璃子は謎の死を遂げていた。

監督:三木孝浩 出演:山﨑賢人、清原果耶 他/1時間58分/東宝、アニプレックス配給/6月25日(金)より公開 https://natsu-eno-tobira.com/

TSUTAYAプレミアム動画配信おすすめラインアップ!『彼はサイコメトラー 』『カウントダウン』

2021.06.23 Vol.742

話題の映画や気になる海外ドラマ、チェックしておきたかったあの音楽に、話題のコミックス——。TSUTAYAのレンタルなら気軽にたっぷり楽しめます。さて今月のおすすめは……?

これでも刺激が足りないか? 読めば心拍数が上がるアツい最新コミックス『バキ外伝』『化物語』『ジョジョリオン』

2021.06.22 Vol.742

話題の映画や気になる海外ドラマ、チェックしておきたかったあの音楽に、話題のコミックス——。TSUTAYAのレンタルなら気軽にたっぷり楽しめます。さて今月のおすすめは……?

『10年かかって地味ごはん。』10万部突破記念!和田明日香が感謝を込めて読者30名とオンライン飲み会開催

2021.06.21 Vol.742

 料理家で食育インストラクターの和田明日香が今年4月に出版した書籍『10年かかって地味ごはん。』(主婦の友社)が、発売から1カ月で累計発行部数10万部を突破するベストセラーとなったことが分かった。

 料理愛好家の平野レミの次男と結婚するまでは料理歴ゼロで、「キャベツとレタスは同じ葉っぱだと思っていたほど料理音痴だった」という和田。結婚後に毎日の食事を作り始め、現在では家族5人分の夕飯4品を、早炊きモードでお米が炊けるまでの36分間で作ることが可能なのだとか。そんな和田が迷わずおいしい料理を作れるようになるまでの長い道のりを思い出し、家族のために作り続けたレシピを「遊びに来た友達に話す感覚で書いた」のが本書。

「10年料理をし続けて、辿り着いたのは、名もなき地味なごはんばかり」という、茶色っぽい色合いの一見地味な料理たち。家族の歴史が詰まった懐かしくもしみじみおいしそうなレシピは、発売前に2度の重版が決定するなど料理好きから初心者までハートをわしづかみし、その後も順調に売れ続けた。

「明日香風の定番料理」「毎日開店! 居酒屋 和田屋」「家族が大好きな野菜料理」「和田家のキッチンへようこそ」の4章立てで、家庭料理からおつまみ、よく使う調味料やストック食材まで網羅。レシピ名も「たどり着いた肉じゃが」「わたしの都合の油淋鶏」「デジコギ?って言うの?」「今ちょうどいいおひたし」と親しみやすく、玉ねぎを炒める工程は「お肉やじゃがいもにとろとろ玉ねぎが絡む姿を想像しながら根気よく。」など、語りかけるようなやさしい文章もポイント。

 同書の10万部突破を記念し、30日まで「#地味なのは和田さんのせい」SNS投稿キャンペーンを開催。応募者の中から抽選で30名を著者の和田と過ごす〈一夜限りでオープン! オンライン居酒屋「和田家」で暑さを取っ払おう!〉へ招待、さらに応募者全員に書籍に未掲載の“地味ごはんレシピ”1品分のPDFがプレゼントされる。イベントの様子は後日YouTube「主婦の友チャンネル」にて公開予定。

劇団フライングステージの子どもと大人のフライングステージ『アイタクテとナリタクテ/お茶と同情』

2021.06.20 Vol.742

「劇団フライングステージ」は、「ゲイの劇団」であることをカミングアウトしている日本では数少ない劇団の一つ。1992年の旗揚げ以来、作・演出・出演の関根信一を中心に、「ゲイ」であることにこだわった芝居を作り続けている。

 今回上演される作品は、昨今、LGBTQを描いたドラマや映画が多く作られるようになったなかで「子ども向けの演劇作品があってもいいじゃないか」と考えた関根が書き上げたもの。過去に上演された『アイタクテとナリタクテ』と『お茶と同情』の2作品と小学生以下の子供たちに向けた新作短編も上演する。

『アイタクテ——』は小学校を舞台としたお話。学芸会で上演するお芝居の配役を決める時に、男の子が人魚姫の役をやりたいと手を挙げたことからさまざまな問題が提起される。

『お茶と——』は高校の教育実習にやってきた卒業生のゲイの男子が主人公。大学ではカミングアウトしている彼は、生徒たちに自分がゲイであることを話したいのだが…。彼をめぐる教師と生徒たちの物語。

魂を揺さぶる重厚な人間ドラマ TRASHMASTERS vol.34 『黄色い叫び』

2021.06.19 Vol.742

 差別、エネルギー、災害、復興、憲法…トラッシュマスターズが作品の題材とするのはこういった現代社会が抱えるさまざまな問題。それらを見る者の魂を揺さぶる重厚な人間ドラマに仕立て上げる。

 作・演出の中津留章仁は綿密な取材を重ね、資料を読み込み、自分なりの考え方を確立したうえでそれらの問題にアプローチする。当然そこには中津留の思想と思われるものは顔を出すが、物語は決してそういったものを押し付けるものにはならない。それは登場人物たちの人生の一部分を切り取るのではなく、長いスパンで描くという彼らの手法も大きいと思われる。

 多くの作品は物語の端緒となる出来事から、それを経ての数年後の姿も描かれる。長い時間を経ての登場人物たちを取り巻く環境の変化や思想の変遷などを描くことで、前出したような問題は「善と悪」「賛成や反対」という単純な図式ではないことがさらけ出され、観劇後に「それで自分はどう思うのか?」と考えさせられるものとなっている。

 今回は台風による水害に苦しむ地方を舞台とした物語。東日本大震災を受け作・演出の中津留が筆を走らせた作品なのだという。

 東京公演の他に6月18〜20日に長野・上田、6月29〜30日に宮城・仙台でも公演を行う。

その時代を生きる人々の暮らしが見えてくる!「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」

2021.06.18 Vol.742

 日本が世界に誇る建築家・隈研吾の大規模個展。1952年に開館して以来さまざまな建築展を開催してきた同館において、開館以来初となる大規模な建築家の個展となる。

 アメリカのTIME誌にて「2019年世界で訪れるべき最も素晴らしい場所100選」に選ばれた《V&Aダンディー》や《国立競技場》の設計に参画するなど、現代日本を代表する建築家のひとりである隈研吾。

 本展では、世界各国に点在する隈作品の中から公共性の高い68件の建築を、隈が考える5原則「孔」「粒子」「斜め」 「やわらかい」「時間」に分類し、建築模型や写真、モックアップ(部分の原寸模型)などにより紹介。他にも映像作品や前庭に展示されるトレーラーハウスを合わせ、合計74件を展示。

 章の解説や作品解説はすべて隈本人によるもの。また、瀧本幹也や藤井光など第一線で活躍するアーティストによる映像作品で隈建築をさまざまな観点から見ることができる空間のほか、ネコの視点から都市での生活を見直すリサーチプロジェクト《東京計画2020(ニャンニャン)ネコちゃん建築の5656(ゴロゴロ)原則》(Takram との協働)も発表する。

 コロナ禍という難しい時代に、新しい公共性や未来の都市のあり方について考える機会となるはず。

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