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BOOK ここは女のザンゲ室。働く女性のリアルな悩みに理恵子ママが切り込みます

2013.06.10 Vol.593

  シリーズ12万部を突破した『スナックさいばら おんなのけものみち』の第2弾は、働く女性に捧げる応援歌。仕事に恋愛、人間関係に疲れ果てても、人生は笑って過ごしたい。くさくさして、やさぐれ気分になった時、ちょっとだけ愚痴を言ってみたくなることだってある。そんな顔で笑って心で泣きながら頑張っている女性に理恵子ママがエールを贈る。69人のセキララな人生に、「わかるわかる」と相槌を打ちながらも、「私も経験したよ」ともっと壮絶な人生を語る理恵子ママ。「立ち向かうな!バックレろ!」。逃げるが勝ちの人生もあるさと、優しく背中を押してくれる一冊。

BOOK 人生って前に進むことしかできないから part1

2013.05.27 Vol.592

 6年付き合った恋人と別れ9歳年下の男性と交際中の歯科医師の桃。桃の親友の響子、響子の母親で、同棲中の恋人を残し急死してしまった和子。そして、そんな彼女たちの恋人、配偶者、元彼たち。誰かを求める思いに、あまりに素直な男女たち“はだかんぼうたち”が、約束も束縛も将来の展望もない恋愛に身をゆだねていく。

 桃の親友・響子は4人の子持ち。元暴走族の旦那と子どもの世話に明け暮れながら家族のことを素直に愛している女性だ。そんな響子に桃の新しい恋人は惹かれていく。しかもそれを桃に隠そうともしない。その現実に違和感を持ちながらも、別れることも、彼らを責めることもしない。「彼と私は似た者同士だ」と桃は思う。

 終わりもない、答えもない恋愛だが、登場人物たちは、小さな喜びや嫉妬、ときめきや寂しさといった感情を大事に抱えながら日々生きている。小さな嘘や本心を隠しながら。

 痛みを引き受け、温もりを受け入れ、折り合いをつけながら、愛を求める姿は切ない。しかし心に大きなものを秘めながら、淡々と日常を生きる彼女や彼らに共感できるのはなぜか? さざ波のような小さなザワザワを感じながら、大波にのみ込まれないように静かに生きることが、自分を守ることだと知っているから。

BOOK 人生って前に進むことしかできないから part2

2013.05.27 Vol.592

 作家、コピーライター、漢字セラピストのひすいこうたろうと、企画プロデューサー石井しおりの共著の、常識にとらわれず人生を切り開いた先人たちの名言とエピソード集を集めた本。心理カウンセラー資格を持つひすいは、『3秒でハッピーになる名言セラピー』がベストセラーになり、名言やセラピー本を多数出版。無料配信中の『3秒でHappy?名言セラピー』には、2万7000人が登録。人生をハッピーにする名人なのだ。

 目次のあと、1番最初のページにはアインシュタインの「常識とは18歳までに培った偏見のコレクションである」という名言が。この言葉から著者は、「常識は国が変われば非常識になりえます。常識は時代が変わっても非常識になりえます」と説明。そこから自分が常識だと思うことを疑うこと、そして疑うことで、自分の思い込みや価値観に気づくことができると言う。

 名言を発した人の言葉を解説し、成功エピソードを紹介することで、より名言の意味を理解することができるのだ。選択に迷った時、無難なほうを選択しがちな気弱な人に勇気を与える一冊。

BOOK 耳を澄ませば、彼らの声が聞こえるはず

2013.05.13 Vol.591

 テレビや舞台、音楽などさまざまな分野で活躍するいとうせいこうが、16年ぶりに新作小説『想像ラジオ』を発表した。同作は2013年の『文藝』春号に掲載されると、すぐに話題となり、品切れになる書店が続出、入手困難に。さらに、インターネットやレビュー、ツイッターなどにも多くのコメントが寄せられ、発売前に重版になるという異例の事態となった。

 物語の主人公はDJアーク。彼は海沿いの町の高い杉の木のてっぺんに引っかかりぶら下がりながら、「想像ラジオ」という番組を発信している。アークの発信する電波が“想像”であるなら、リスナーも“想像”の中で受信する。軽快におしゃべりを続けながら、時には音楽を流しながら、リスナーに語りかけたり、リスナーからの手紙を読んだりするアーク。

 いつどこにいても受信できる「想像ラジオ」は、広島、長崎、東京、神戸、そして3.11以降の東北など、生きるものと死ぬものの世界がつながるところに流れてくる。死にゆくものが語りたいこと。生きるものが知りたい死者の思い。そうやって、私たちは「想像ラジオ」の中で、会話をすることで、悲観、絶望感、深い悲しみといった感情を整理していくのかも知れない。

 DJアークはなぜ、そんな所で「想像ラジオ」を発信しているのか。彼が待っている〈声〉はいったい誰の声なのか。大切な人に伝えたい、大切な人の言葉をもらさず聞き取りたい。そう願えばあなたにも「想像ラジオ」がきっと聞こえてくるはずだ。

歌舞伎俳優の”タレント本”

2012.11.19 Vol.573

 四代目市川猿之助襲名を記念し「僕は、亀治郎でした。」が発売された。亀治郎時代の歩みを写真と文章で丁寧に紹介。140年間1日も絶えたことのない「猿之助」という名前を襲名するということについての思いを率直に語ったエッセイ。そしてその襲名公演の舞台裏も余すところなく披露している。さらに、梅原猛、三谷幸喜、蜷川幸雄による亀治郎へのメッセージほか、佐々木蔵之助や市川染五郎との対談、福山雅治とのツーショット写真まで! 譲れない美学を持つ亀治郎の哲学「カメテツ」ベスト28、歌舞伎のことからプライベートなことまで答えた100問100答など、亀治郎の魅力が凝縮された歌舞伎フォトブック。

「雪と珊瑚と」

2012.05.28 Vol.553
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 21歳の珊瑚は、生まれたばかりの雪と2人で暮らすシングルマザー。職もなく、働きたくても雪を預かってもらえる所もない。わずかな貯金を取り崩しての生活に、心も体も疲れ果てていた時に見た1枚の張り紙。「赤ちゃん、お預かりします」。追いつめられた状況の中、その張り紙が珊瑚の人生を変えることとなる。  雪を預かってくれるという女性が作ってくれた温かいスープ、滋味ある言葉に珊瑚は生きる力が息を吹き返していくのを感じたのだ。母親から見捨てられ、雪の父親からも別れを告げられ、ひとりぼっちで雪を守り、戦ってきた珊瑚が選んだ道は、彼女が作ってくれたような、食べるとホッとして元気になれる食事を提供すること。貯金も担保も経営ノウハウも何もない珊瑚は、多くの人に助けられ、その夢の実現のために動き出した。  殻に閉じこもり、一人で雪を育ててきた珊瑚が、それらの出会いを通し自分と雪、そして他人との距離を徐々に近づけていくのだが...。  生きることは、こんなにシンプルでたくましいことなのだと気づかせてくれる優しく力強いストーリー。活字だけでも元気になりそうな、素材の旨みがこぼれ出るような料理の描写も絶品!

「雪と珊瑚と」
【著者】梨木香歩 【定価】本体1500円(税別) 【発行】角川書店

川島永嗣『準備する力』

2011.10.31 Vol.529
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 著者は現在、ベルギーのチームで活躍し、日本代表のゴールキーパーである川島永嗣。サッカーをあまり見ない人でも、鬼の形相の日本代表の守護神と言えば分かるだろう。この本は副題に「夢を実現する逆算のマネジメント」とあるように、サッカー選手である彼のこれまでの人生を振り返り、どう考えて目の前の道を選択してきたか、またこれからの人生をどうマネジメントしていくかが書かれている。

 ゴールキーパーはサッカーの中でも唯一手を使っていい特殊なポジションだ。プロローグの中で著者は言う。「フィールドの後ろからチーム、そして試合全体を見るように、自分自身のこともそうやって客観的に、時に主観的に見つめてきた」と。そこには、アスリートとして、勝ち負けにこだわり、闘志をむき出しに戦う姿とは正反対の緻密な自己マネジメント力があった。40歳まで現役を続けるための、肉体や精神の鍛え方、さらにその先の人生のビジョンから逆算して、今何をしなければならないのか。常に具体的な目標を描き、それに向かってひたすらに努力する。著者の人生哲学は、アスリートだけではなく、すべての職業の人のヒントになる言葉が詰まっている。

川島永嗣『準備する力』 【発行】角川書店 【本体】1300円(税別)


メインから穴場までリトル韓国のすべてがここに!

2011.05.30 Vol.511

 日本のリトル韓国、新大久保を網羅したガイドブックが発売された。「プチ韓国 新大久保完全ブック」は、メジャーから”通”しか知らない穴場スポットまで、新大久保の最新情報が満載。韓流スター御用達の店、本格グルメ、韓流美容が体験できるエステ、イケメン店員のいる店など定番情報からディープな裏情報まで盛りだくさん。『美男(イケメン)ですね』のチャン・グンソク、超新星など日本でも大人気の韓流スターたちの作品カタログも付いている。これ一冊で新大久保がもっと楽しめる「新大久保完全ガイド」の決定版!

 

石井光太『飢餓浄土』

2011.03.28 Vol.503
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 2005年に大宅壮一ノンフィクション賞候補作となった『物乞う仏陀』を発表した石井光太は、現在もっとも注目を集めるノンフィクション作家といってもさしつかえないだろう。

 著者は世界中を旅し、現場に足を踏み入れ、そこに溶け込み、現代日本のぬるま湯に浸かりきった我々には想像もつかない世界を突きつける。

 今回彼が描くのは戦地や密林で生きる人々と幻のかかわりについて。フィリピンの密林に現れる人食い日本兵の亡霊、ある日突然、「私が産んだ」と言って乳飲み子を抱き始めたオカマの話など、現実と幻を行ったり来たりするうちに自らの足元がグラグラと揺らぎ始めていることに気がつく。

 感心することもあれば、不快に感じる出来事もある。すべてをひっくるめて、読まずにはいられない。中毒になる一冊。

著者:石井光太 出版:河出書房新社 定価:1680円


川口葉子『東京の喫茶店 琥珀色のしずく77滴』

2011.03.28 Vol.503
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「喫茶店とカフェの違いは何ですか?−そんな疑問を持つすべての人へ−」と帯にあるように、同書は東京の喫茶店案内だ。カフェともチェーン店のコーヒーショップとも違う喫茶店。オーナーではなく、マスターがいれる一杯のコーヒーに、お店のすべてが詰まっているような、そんな心安らぐ空間だ。ぬくもりのある写真からは、そんな喫茶店の空気感が伝わってくる。

 第5章の「神田神保町 古本街の喫茶店」では、神保町界隈で14軒の店を紹介。ぶらぶらと古本屋をのぞきながら見つけたお気に入りの一冊を持って入りたくなる店ばかり。同書の中で著者は言う。「喫茶店なんてただ愛すればいいんです」。喫茶店に行って、一杯のコーヒーとお気に入りの本で、心落ち着く時間を過ごしたくなる。

著者:川口葉子 出版:実業之日本社 定価:1680円


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