「家具の彫刻家」と讃えられる北欧家具の巨匠 知っておきたい名作家具(4) フィン・ユールの美しき世界

出典:©flickr/Hyeon Kim title:Scandinavian Furniture Exhibition

■メーカーのために生み出されたふたつの作品

 次にご紹介する作品は写真の左側のソファ。1951年、フィンがアメリカの家具会社“Baker Furniture Inc.”(ベーカー・ファーニチャー) のためにデザインしたものです。

 モダンアートに感銘を受けた、流れるようなエレガントな曲線と彫刻的なフォルムが特長のグレーのソファ。家具会社の『ベーカー』の名が、そのままソファ名になりました。

 写真のお宅では、リビングの主役となる『ベーカーソファ』とマットの色を合わせ、部屋全体に統一感を出しています。床が明る目のフローリングなので、グレーのソファや黒のデスクが目についても暗い雰囲気にはならず、カラーバランスがとても絶妙なコーディネートですね。

 一方、右の写真は『46 Sofa』という名前がついた、やや小さめのふたり掛けソファ。この作品もまた、フィンが小さなソファメーカー “Carl Borup” のために1946年にデザインしたものなのだそうです。

 先に述べた『ポエト』と同じくらいの大きさですが、『ポエト』に比べて緩やかなエッジでつくられた本体部分や座面部分の厚めのクッションのせいか、よりボリュームがあるつくりに見えますね。