「日本遺産」全67カ所に「チャームポイント次々出てくる!」

宮田亮平文化庁長官と北海道上川町の佐藤芳治町長

 平成30年度「日本遺産」の認定証交付式が24日、都内で行われ、北は北海道、南は宮崎まで、新たに13カ所が認定された。認定式では宮田亮平文化庁長官が各代表に認定書を手渡した。

「日本遺産」大使のなかから料理人の村田吉弘と三國清三、歌舞伎役者の中村時蔵、ギタリストのマーティ・フリードマンの3名も登壇した。

 新たに認定された地域の印象について聞かれると、マーティは「どの場所も、珍しくてユニーク(2つとないという意味)、美しい」。なかでも「山梨県の絵(風景)を見て、すごい感動しました。写真撮り放題という感じ!」と興奮気味のコメント。インスタグラムなど写真を使った表現が世界で注目を集めていることにふれ、「絵的にあまりに美しい。チャームポイントは次々に出て来ると思います」と話し、「日本遺産」のさらなる広がりを予測した。

 三國と村田は料理人視点からのコメント。

 三國は「北海道出身でアイヌの食文化の広報大使もしているので、アイヌの文化が広く認められたことに誇りに思います」としたうえで、沖縄での新たな動きについて触れながら「まだ(「日本遺産」に)沖縄が入っていないのでバックアップしていきたい」とコメント。

 村田も「今までは、観光は観光、食は食と、一緒になってアピールすることが少なかった。旅行者にしてみると、そこにいって何が食べられるかは旅行に行く大きな楽しみ」とし、「いろんな食べ物があるので(各地に)興味がある。そこに行って、おいしいものを作っていきたいと思う」と、話した。

 歌舞伎役者の中村時蔵は、岡山県の桃太郎伝説を例に「歌舞伎にも日本遺産を舞台にしたものがある」と話し、今後も日本遺産を舞台にした歌舞伎ができたらと抱負を語った。

「日本遺産」は、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化や伝統を語るストーリーを「日本遺産」と認定することで、文化財群を活用する取り組みを支援するもので、認定が観光や産業、地域の活性化につながることを期待して行われている。平成27年度にスタートし、本年度の13を加えて67のストーリーが認定された。2020年までに100の認定を目標としている。本年度は、300を超える市町村から76件の申請があった。

 認定式では、モデルの冨永愛がそれぞれのストーリーを読み上げた。

左から、マーティ・フリードマン、中村時蔵、三國清三、村田吉弘、宮田亮平文化庁長官

平成30年度、新たに「日本遺産」に認定されたのは以下の通り。

◆カムイと共に生きる上川アイヌ~大雪山のふところに伝承される神々の世界~
北海道 申請者:上川町、旭川市、富良野市、愛別町、上士幌町、上富良野町、鹿追町、士幌町、新得町、当麻町、東川町、比布町

◆山寺(やまでら)が支えた紅花(べにばな)文化
山形県 申請者:山形県(山形市、寒河江市、天童市、尾花沢市、山辺町、中山町、河北町)

◆地下迷宮の秘密を探る旅 ~大谷石文化が息づくまち宇都宮~
栃木県 申請者:宇都宮市

◆明治貴族が描いた未来 ~那須野が原(なすのがはら)開拓浪漫譚(ろまんたん)~
栃木県 申請者:那須塩原市、矢板市、大田原市、那須町

◆宮大工の鑿(のみ)一丁から生まれた木彫美術館・井波
富山県 申請者:南砺市

◆葡萄畑が織りなす風景ー山梨県峡東地域ー
山梨県 申請者:山梨県(山梨市、笛吹市、甲州市)

◆星降る中部高地の縄文世界―数千年を遡る黒曜石鉱山と縄文人に出会う旅―
長野県、山梨県 申請者:長野県(茅野市、富士見町、原村、諏訪市、岡谷市、下諏訪町、長和町、川上村)山梨県(甲府市、北杜市、韮崎市、南アルプス市、笛吹市、甲州市)

◆旅人たちの足跡残る悠久の石畳道―箱根八里で辿る遥かな江戸の旅路
静岡県、神奈川県 申請者:静岡県(三島市、函南町)神奈川県(小田原市、箱根町)

◆「百世の安堵」~津波と復興の記憶が生きる広川の防災遺産~ 
和歌山県 申請者:広川町

◆「桃太郎伝説」の生まれたまち おかやま ~古代吉備の遺産が誘う鬼退治の物語~
岡山県 申請者:岡山市、倉敷市、総杜市、赤磐市

◆瀬戸の夕凪が包む 国内随一の近世港町~セピア色の港町に日常が溶け込む鞆の浦~
広島県 申請者:福山市

◆鬼が仏になった里「くにさき」
大分県 申請者:豊後高田市、国東市

◆古代人のモニュメント ー台地に絵を描く 南国宮崎の古墳景観ー
宮崎県 申請者:西都市、宮崎市、新富町