小池知事、行動制限の緩和は「間違ったメッセージとならない工夫が必要」

写真:つのだよしお/アフロ

 東京都の小池百合子知事は10日、都庁で記者会見に出席し、国の緊急事態宣言延長に伴う、東京都の緊急事態措置の延長や、行動制限緩和への都の考えなどを示した。

 政府は、東京や大阪など19都道府県について、緊急事態宣言を今月12日から30日まで延長することを決定。また、希望者のワクチン接種が完了する10月から11月の早い時期を目処に、宣言地域であっても、ワクチンの接種証明や検査の陰性証明「ワクチン・検査パッケージ」を活用し、制限を緩和する方針を明らかにした。

 行動制限の緩和について小池知事は、「都としても、ワクチン接種の進捗や医療提供体制の状況を踏まえて、社会経済活動との両立に向けた方向性を決定していく」とした上で、前日に行われたモニタリング会議では、免疫学者の宮坂昌之・大阪大名誉教授から「イスラエルの例から、“ワクチンの接種が広がる前に緩和すると、感染再拡大のリスクが高いこと”が指摘された」との意見を紹介し、現時点では慎重な姿勢を示した。

 その後、行動制限への考えについて改めて問われると、「感染を抑えることと、社会経済活動とのバランスを取ることは極めて重要な課題。ワクチン接種や抗体カクテル療法など、医療や科学技術の発展で全体を取り巻く状況は日々変わってきている。それらを睨みながら、どのようにして経済を動かしていくのか。他方では、病床の確保で、本来治療を受けるべき人の治療の遅れなど別の問題もある。総合的に考える中で、どのような方法があるのか考えることは当然のことだが、検討をする中で、間違ったメッセージと捉えられないような工夫が必要」との考えを示した。