NHK「クロ現」で「映画界の性暴力」…関係者に幅広く取材、韓国の対策事例も

取材で浮き彫りになった日本映画界の性暴力の実態そして対策のヒントとは(写真提供:NHK)

 14日放送のNHK「クローズアップ現代」では『封じられてきた声 映画界の性暴力~被害をなくすために~』と題し、ゲストに撮影現場のハラスメント撲滅を掲げ、「映画監督有志の会」にも賛同する映画監督・白石和彌らを迎え、性加害の告発が相次ぐ映画界の性暴力を取り上げる。番組製作中のスタッフに、企画意図や取材状況について話を聞いた。(話:天野直幸チーフプロデューサー、報道局取材センター信藤敦子記者 他)

―今回「映画界の性暴力」を取り上げた理由は。

「NHKでは性暴力についての取材を長年重ねてきました。“望まない性的な言動はすべて性暴力である”として『性暴力を考える』と題する特設サイトを設け、性加害に関する取材記事を紹介しています。今年3月以降、週刊誌などでの性加害の告発が相次いでいることもあり、これをスキャンダル、一過性のものとして終わらせてはならないと、これまでの取材で得た知見も踏まえ、この問題を取り上げることにしました」

―今回の取材対象者は。

「俳優、製作スタッフ、団体、インティマシー・コーディネーター(性的なシーンなどの撮影の際に俳優を身体的・精神的に守るスペシャリスト)といった業界関係者に幅広く取材しています」

―取材で見えてきたという、性暴力を見過ごしてきた日本の映画界特有の構造とは。

「ハラスメントが許容される文化が依然として残っているということ。被害に遭った人が安心して相談できる窓口が設置されていないということ。また、フリーランスのため所属事務所に守ってもらえないという人も多いことなどがあげられると思います。とはいえ、映画界特有の構造を見極めようとしたが、結果として、どの業界でも起こりうる、社会全体に通じる課題だということも再認識しました」

―番組で紹介するという、海外の先進事例とは。

「今回は主に、韓国での事例を取材しています。韓国映画界でも性加害が大きな問題となり、業界が相談窓口を設けたり、作り手側の意識改善に取り組み、国も啓もう教育への支援を行っています。韓国では、被害の声を社会が黙殺しなかったことも大きかったのではないかと思います」

 どの業界でも起こりうる性加害やハラスメント。日本の映画界が抱えている問題を通して、自分たちと地続きの問題であるととらえてもらえたら、製作陣は語った。

 クローズアップ現代「封じられてきた声 映画界の性暴力~被害をなくすために~」はNHK総合にて6月14日19時30分より放送(NHK BS1にて15日17時30分より放送。NHKプラスにて6月21日まで見逃し配信あり)。

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