小橋賢児ら「大人と子どもが力を合わせ未来を変えよう!」「BEYOND 2020 NEXT FORUM」

議論する三室氏(左)と小橋氏(右)

 中盤には、子どもたちの自主性と可能性について議論された。堀氏は、自治体独自で初めて開催された「豊島区こども未来国連会議」について触れ、そこでは大人顔負けのアイデアが出されたと現場の様子をレポート。

 これに対し、三室氏が「どうして子どもはアイデアが豊かなのか」と問題提起し、その解のひとつとして、「子どもは主体である“I”がひとつだから、あらゆる問題を自分ごととして捉えることができるのでは。大人はビジネスパーソンとしての顔や子どもの親としての顔など“I”がたくさんあり過ぎるのが問題だ」と述べた。小橋氏は「子どもの素直な心から出てくる発想を、大人が責任を持って現実化しなければならない。それは大人の役割だ」というと、中山さんは「政治家も、もっと若手に舵取りを任せるべき」と同調した。

 一木氏は、過去2回の「こども未来国連会議」を通じて、「子どもたちは大人が思っている以上にいろいろ知っているし、世界から集まった言葉の通じない相手とも議論して、しっかり着地点を見つけることもできる」と体験からの感想を述べた。議論により、大人から子ども、旧世代から新世代への“権限移譲”をいかにスムーズに行うか、という命題が浮き彫りになった。

 三室氏は、社会課題解決の最近のキーワードである「OrではなくAnd(どちらかではなくどちらも)」を引き合いに出し、「将来的には大人だけ、子どもだけという世代で区切ることすらもAndになっていくのではないか。大人も子どもも関係なくアイデアやWill(意志)がある人たちが力を合わせて未来を変えていく、そんな未来が実現してほしい」と語った。

 終盤、2025年の大阪・関西万博に話が移り、小橋氏は「2025年が昭和元年から100年目の節目であり、世代交代のタイミングの絶好のチャンス」と抱負を語った。中山氏は「世界中からあらゆるものを持ってきてもらいたい」と発言。その真意は「世界中に転がっているさまざまなアイデアや知的財産を、日本独特の調和の作業を通じて再生産・大量生産して、メイドインジャパンの神話をもう一度21世紀に世界へ向けて発信するべき」といい、万博はその絶好の機会だとした。

 いずれにせよ、未来の鍵を握るのは子どもたちだ。「大人たちは、全力でサポートしていかなければならない」という方向性を全員が確認して、第1部はクローズした。

(取材・文:いからしひろき)