2011年のノーベル平和賞受賞者タワックル・カーマン氏がイスラエルとハマスに停戦呼び掛け「皆さんも声をあげるべき」

東京で講演を行ったタワックル・カーマン氏(撮影・蔦野裕)

 2011年のノーベル平和賞受賞者のタワックル・カーマン氏が来日中の11月6日、イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスに向け停戦を呼び掛けた。

 カーマン氏はこの日、都内で行われた「SDGsグローバルガバナンスサミット2023」で「多国間での国際協調・マルチラテラリズム」というテーマで講演を行った。

 イエメン出身のカーマン氏は高校生のころからジャーナリスト活動を始め、2005年には「束縛なき女性ジャーナリスト」を設立。公的機関だけがテレビとラジオを所有できるという自由のない状態の中、報道の自由や人権を求める平和デモや座り込み抗議行動を組織してきた。「アラブの春」では女性主導で青年革命運動の先頭に立ち、2011年にアラブ女性初のノーベル平和賞を受賞。これは当時、史上最年少だった。現在も女性の安全と平和構築活動に参加する女性の権利を求めて非暴力による闘争を続けている。

 講演では気候変動、格差、世界平和、人権についてそれぞれの脅威と影響について語った。そういったものによって世界各地で戦争や紛争が起きているというカーマン氏は開始から1カ月になる今回のイスラエルとハマスの紛争について「強く非難する。特に市民への攻撃。イスラエルであれ、パレスチナであれ。特に女性への攻撃、市民への攻撃は非常に醜い。私たちは勇敢に人権について語っていかないといけない」としたうえで「このステージからガザへ停戦を呼び掛けたい。私は何も恐れない。今から停戦を始めてもらいたい。人質の解放を要求したい。そしてガザにおけるバリケードを解除し、生活用品、医薬品などが届くようにしてほしい。これは戦争犯罪だと思う。皆さんも停戦に向けて声をあげるべき」などと呼び掛けた。