おせち料理や脂の乗ったサンマ…実は “水引” !? 水引作家・森田江里子さんの「かわいい水引」

水のりを引いて固めた和紙にいろいろな素材を巻いた水引。キラキラ光る水引など、さまざまなバリエーションがある

 祝儀や不祝儀で使うのし袋やお正月飾りなどのイメージのある水引ですが、結ぶことに特別な意味はあるのでしょうか。

「水引は神事にも関わっているんですけど、例えば『あわび(あわじ)結び』は貝のアワビを表していて、中国では古くから不老長寿の食べ物として珍重され、日本でもアワビは古来より天皇家への奉納品や土地の神様に対する供物に使われる貴重な食材。ご祝儀袋の右上についている “のし” はもともとアワビを干したもので、お祝い事に “ナマグサ(生の肉や魚)” を添える風習が起源です。祝儀袋の水引が5本取りなのは、手と手を結ぶことを表しているともいわれ、手芸としてかわいいだけではない奥深い意味を持っています」

 水引細工を始めるのに必要なものは?

「はさみはクラフト用があればなおいいですが、素材が紙と糸なのでどんなはさみでも大丈夫です。あとは平やっとこと、目打ちがあれば細かい作業に便利です」

 重箱に入ったおせち料理や、脂の乗ったおいしそうなサンマなど驚きの作品を結んでいる森田さん。着想はどこから?

「最初はお花や鶴、亀など定番のモチーフ(題材)を作っていたんですけど、だんだんそれでは飽き足らなくなって。食べ物を作ったら反応がよかったりして自分も楽しいので、ケーキやおせち料理など意外性のある作品を作るようになりました。食品は生徒さんにも人気が高くて、焼き目の銀がキラキラした結構リアルなサンマや、“えーっ、水引でこんなものができるの!?” というようなモチーフをいっぱい作っています(笑)。水引は色も400~500色くらいあるので、“こういうものを作りたい” と思ったらそれに似た色の水引を探します」

はさみや平やっとこ、目打ちがあれば水引細工が始められる