暗闇の中で平和について考え、対話の中で何ができるかを考える「平和のためのダイアログ・イン・ザ・ダーク」がこの夏、東京と広島で開催

ダイアログ・イン・ザ・ダークについて語る志村代表

 ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパンの志村真介代表は「広島平和記念資料館はG7以降、入場者が増え、現在は年間226万人といわれている。そのうちの約3分の1が海外からのインバウンドの方々で朝から長蛇の列ができている。特に若い人が多い」などと2023年の「G7広島サミット2023」開催以降の広島の状況を説明。戦後80年という今年にこのイベントを開催することについては「あの時小学校1年生だった方は、今86歳になっている。戦後90年の時には戦争をリアルに体験された方は、平均年齢からするとかなり少なくなっていると思う」と時間的な問題と「今は若い人が多世代とコミュニケーションを取ることが家の中でも難しくなっている。今、3世代で住んでいる家というのは、日本の中では10数%に減っているようなので、血のつながってないけれども多世代の人たちが対等に出会って、そして対等に喋ることができて、お互いの考えていることを対話していくというのが非常に大切。そういう意味ではラストチャンスに近いのではないかと思う」と世代間のコミュニケーションの大事さの面と合わせて今回のタイミングとなった理由を説明した。

 体験するコンテンツについてはダイアローグ・ジャパン・ソサエティの志村季世恵代表理事が説明。竹芝の「対話の森」では、参加者は暗闇の中にある電車に乗り、2025年から当時の広島に向かう。電車の中には本物の千人針の玉止めがあり、それに触れることで出兵する人たちや見送る人たちの心情に思いを馳せることになる。広島に着いたら当時のまだ原爆が落とされる前の民家に行き、そこでは当時の家の中を触感やにおいなどで感じることになる。そんな静かな時間のなかで「もしかしたら今は8月6日ではないのか」と思わせる場面があるという。

 このプログラムの作成にあたっては旧日本銀行広島支店の吉川智慧丸支店長の遺族を始め、当時の広島を知る人や伝え聞いた家族や関係者など100人を超える人たちに話を聞いたという。