美輪明宏「被ばくしたのは10歳のとき。爆心地から3.6キロでした」長崎の原爆描く映画にメッセージ

公開中の映画『長崎―閃光の影で―』の舞台挨拶が2日、都内にて行われ、俳優の菊池日菜子、小野花梨、川床明日香、松本准平監督が登壇。自身も被爆者である美輪明宏が平和への願いを伝えるメッセージを寄せた。
1945年、夏。原爆投下直後の長崎を舞台に、被爆者救護にあたった若き看護学生の少女たちの“青春”を描く。
この日は、本作で語りを務めた美輪からのメッセージが到着。美輪は「あの悪魔の閃光から80年。被ばくしたのは10歳のとき。爆心地から3.6キロでした。静かな夏休みの朝、宿題の絵をかいていました。出来上がりを確かめるため、後ろへ2、3歩下がった途端、ピカッ。100万個のマグネシウムを炊いたような光が。世の中がシンとして、あれ、こんな良い天気に稲光…思う間もなく、幾千万もの雷が同時に落ちたようなすさまじい爆音。外、そこは地獄でした」と被爆の瞬間を振り返り「その惨状を目の当たりにして僕は初めて冷たい水に浸かったような寒さで震え出し、底の知れない恐怖に泣き出しました」と、数日後に入った爆心地での恐怖を綴った。
「地獄絵さながらのあの光景は一生私の胸から消えることはないでしょう」と思いを吐露しつつ「長崎での子ども時代が一番美しい思い出」と振り返った美輪。「若い世代の方には二度と戦争を起こさないように美しい文化に触れて心を豊かにしていただきたいと思います」と結んだ。
平和への願いが込められた美輪の言葉に、看護学生の少女たちを演じた菊池、小野、川床や、自身も被爆者三世である松本監督も感動の面持ち。
美輪の自宅でナレーションを収録したという松本監督は「さすがに美輪さん。1回目からパーフェクトだったんですけど、演出家として1回でOKしては…と、3回録らせていただきました。美輪さんは平気な感じで応じてくださって。スタッフは固まってましたけど(笑)」と感謝していた。