李相日監督「見込みが甘かった」『国宝』アカデミー賞ノミネート メイクチームからの“苦言”に苦笑

(写真左から)西松忠さん、日比野直美さん、豊川京子さん、李相日監督

 ロングラン公開中の映画『国宝』の会見が2月27日、千代田区・日本外国特派員協会にて行われ、李相日監督と豊川京子氏(ヘアメイク)、日比野直美氏(歌舞伎メイク)、西松忠氏(床山)が登壇。第98回アカデミー賞のメイクアップ&ヘアスタイリング賞への日本映画初ノミネートを喜んだ。

 吉田修一原作の傑作同名小説を主演・吉沢亮、共演・横浜流星で映画化した話題作。2025年6月6日に公開されるや瞬く間に話題を呼び、22年ぶりに邦画実写No.1記録を塗り替える大ヒット。2026年2月には国内興行収入200億円を突破している。

 この日は、日本外国特派員協会での会見。冒頭、李監督は「またお招きいただきありがとうございます。『悪人』(2010年)以来です」と笑顔。

 歌舞伎役者ではなく俳優を起用した理由について「歌舞伎役者の実人生と歌舞伎が継ぎ目なくつながっていくアプローチを考えていた」と語り「映画俳優を歌舞伎役者として作り上げるために最も必要なことの1つがメイクアップだった」と3人に感謝した李監督。

 当初は、李監督と長年ともに仕事をしているヘアメイク担当の豊川氏に歌舞伎メイクも依頼したと言うが、李監督は「見込みが甘かったというか。(豊川)京子さんは最初から無理と分かってた、と言ってました(笑)」と苦笑すると、豊川氏も「普段の映画などでのメイクと歌舞伎のメイクは別物だと思ったんですが監督が、全部やれ、と。練習するうちに、これは役者さんに失礼だと思い、どうしても顔師さんを入れてほしいとプロデューサーにお願いしたんですが、なかなか伝わらなくて」と明かし、李監督はさらに苦笑い。

 通常、歌舞伎役者は自ら化粧するため、他の人にも歌舞伎メイクを施せるスペシャリストの日比野氏を紹介されたときは「宝が見つかったと思いました」と李監督。

 海外記者も、歌舞伎のヘアメイクに興味津々。李監督が「最初から入ってもらうことを考えていた」という床山の西松忠氏は、俳優たちが着けたかつらの重さについて質問され「3~4キロはあると思います。なぜ重いかというと土台が銅でできているんです。それにかんざしが付いているので。俳優たちには大変な作業だったと思う」と解説し、会場からも感嘆の声。

 海外でも評価されており、アメリカの第98回アカデミー賞では日本映画で初となるメイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネート。

 日比野氏は「これは私に頂いたのではなくて何百年も続いている日本の伝統芸能に頂いたんだと思っています。ずっと日本の人が継承してきたこと、私が師匠や周りの皆さんに助けられてきたことが日本や世界の方にも認められたのかなと、うれしく思います」と感激。

 日本固有の伝統文化を描きながら海外でも高く評価されていることについて聞かれた李監督は「Big surprise!」と英語で答えて笑いを誘いつつ「今も女形が残っているものは世界では少ないので日本固有とも言えるんですが…。歌舞伎には例えばギリシャ神話にも通じるような、人間の普遍的なドラマが詰め込まれている。そういった、歌舞伎メイクの奥に潜む人間性を見せようとしていたので、それを見せるためにも外側のメイクアップを完全に作り上げてくれたチームをたたえたいと思います」と3人に賛辞を贈っていた。

 第98回アカデミー賞の同部門では『国宝』の他『フランケンシュタイン』『罪人たち』『スマッシング・マシーン』『アグリーシスター 可愛いあの娘は醜いわたし』と、大注目の作品がノミネートされている。第98回アカデミー賞授賞式は3月16日(日本時間)に開催。

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