1つ違いの弟・卜部功也もキックボクサーという最強兄弟の兄・弘嵩。弟に背中を見せながら、ともに格闘家の道を歩んできた。
「小学1年生の時に空手を始めたのが、格闘技との出会いです。弟も1年後に始めましたが、僕はやりたくてやっていたけど、弟は親に言われて付き添いみたいな感じでしたね(笑)。性格的には気が強くてあまりべらべら喋らないタイプ。弟はおしゃべりなので、性格的には結構正反対ですね」
自然な流れでプロの格闘家へ。
「空手はずっと続けていて、高校生になった時には新空手というアマチュアの日本で一番大きなグローブ空手の大会に出場しました。そしてその大会で、17歳の時に優勝したことがきっかけでデビューの話をもらい、18歳、高校3年生の時にプロになりました。デビュー戦はKO勝ち。3回ダウンをとったら勝ちなんですけど、最初はパンチで2回ダウンをとって、最後はハイキックでダウンをとりKO勝ち。もちろん勝った時はうれしかったし、その時に格闘家としてやっていこうとはっきり決めた気がします。蹴り、特にハイキックは得意なので、それで倒すことも多いです。KOのうち3分の1ぐらいはハイキックで倒しているんじゃないかな」
鮮烈なデビューを飾り、3年後にはチャンピオンに。
「チャンピオンになったのは21歳ですね。Krush初代王座決定トーナメント〜Triple Final Round〜という大会で、Krush−60kg級初代王者になりました。なった途端、状況が一変して戸惑いました。すごく注目された分、周りが期待するので、プレッシャーがすごい。だから当時は結構悩みました。ただ勝つだけで防衛するならできたと思いますが、Krushという団体のチャンピオンで、メインイベントをつとめることが多い立場だったので、常にKO勝ちを目指してやらなきゃいけなかった。ポイントだけとって逃げて勝つこともできますが、それじゃダメ。チャンピオンらしい戦い、いつでもKOで倒しにいくという姿勢ですね。例えば1ラウンドでダウンをとっても最後までKOを狙っていかなきゃいけない。そこに葛藤といいますか、逃げ道がない感じがあった。でもずっとそういうふうにやってきたことで、精神的にはすごく成長できたと思います。弟に相談? しません。弟はチャンピオンじゃなかったし(笑)」

