松たか子「怪しいものや信用ならないものを面白がる人がいて伝統になった」



 東京キャラバンを立ち上げたきっかけについて野田は「東京2020の文化的な取り組みとして何ができるか東京都との話の中で思いついたものです。行政といえば、なかなかお金を出してくれないものなので、オリンピックに向けてもいい機会だと思いました。僕としては2020年で終わることなく続いていってほしい、その後も続く文化遺産として残るものに、と考えています」と抱負を語りつつ「2015年からやっているんですが、認知度はまだ低い。それぞれの土地では多くの人に来ていただけて、登場しているアーティストの方々もまた出たいと言ってくださるんですが、全体として浸透していない」と課題も明かした。

 地域の伝統文化の表現者と現代アーティストが同じステージで混ざり合う独特のステージを映像で紹介した野田は「もともと出たとこ勝負型の演出家なので(笑)、現地に行って素晴らしい伝統や新しいものを見せていただいて演出しています。文化サーカスとしては素晴らしいものたちがいかに邪魔立てし合うことなく混じることができるか、に着目しています。心がけているのは、それぞれのパフォーマンスを、キャラバンのために傷つけないこと。こちらの自己満足のために伝統を傷つけることがないようにしています」と語り、秋田での開催で、なまはげとチャラン・ポ・ランタンとの異色のコラボパフォーマンスを例に挙げ「チャラン・ポ・ランタンさんの『愛の賛歌』をぶつけたら、なまはげさんがキョトンと固まってしまった。時間が経つとなまはげさんがスレてきて変なリアクションもしてくるようになったが(笑)、すばらしいパフォーマンスになりました」と振り返った。