柄本明「タメ口で来る」村上虹郎は孫のよう? オダギリジョー長編初監督作品で共演



 オダギリ監督が「好きな人に声をかけた」という本作。監督とキャスト、キャスト同士、スタッフとも、つながりがある。

 村と町をつなぐ船頭・トイチを演じる柄本、トイチを慕って多くの時間を共に過ごす村人・源三を演じる村上は共演経験があり、今作は3度目の共演。舞台挨拶でも絶妙な距離感だった。「柄本さんは村上さんのことを孫のように思っているそうで」とMCが紹介すると、柄本は「この人のおやじさん、村上淳さん。昔、テレビで村上淳のおやじ役をやったことがあるんですよ。友達みたいなタメ口できます」。

 村上は「今回が一番がっつりだった。でも、ほとんど現場では、あまり何かをしゃべった記憶が……ない」と話すと、柄本は「しゃべんないですよ、あんなに暑いんだもの。隠れるところがないんだもの!」。

「改めて脚本を読んだら……」
 約1年前に新潟県の阿賀野川で行われた撮影は、とにかく過酷だったよう。柄本は「岩場で、河原で。(舟を)漕がなきゃいけないし。漕ぐのはうまくなりましたが、大変」。また、主役で出番が多かったことも一因だったようで「朝から晩まで、毎日毎日。なんでこんなに疲れるんだろうと。改めて脚本を読んだら、ほとんど全シーン出ている。それで疲れたのかな」と、笑った。

 川島は、柄本演じるトイチの前に現れる謎の少女を演じる。柄本との共演について「あるシーンで背中を見つめていたんですけど、寂しさだったり悲しさだったりを感じられて、改めてすごい方だなと感じました」。一方、年が近い村上との共演については「人見知りなので、(村上が)話しかけてくださるんですけど、なかなかうまく返事ができなくて、話がちょっと……」。すると村上が「俺の話がつまらない?(笑)たぶん、そういうこと?」とレスポンス。川島は「村上さんがいると現場がいつもよりちょっと明るくなる」と少し慌てていた。

苦笑いのオダギリ監督
 映画は、明治と大正のはざま、時代の移り変わりに直面した山あいの村を舞台に、「本当に人間らしい生き方とは何か」を問うもの。脚本はオダギリが書き下ろしている。

 他出演に、伊原剛志、浅野忠信、村上淳、蒼井優、笹野高史、草笛光子、細野晴臣、永瀬正敏、橋爪功。撮影監督は『花様年華』や『欲望の翼』『恋する惑星』などウォン・カーウァイ監督や、チャン・イーモウ監督、M・ナイト・シャマラン監督、ジム・ジャームッシュ監督などの仕事で知られ、自ら監督もするクリストファー・ドイル。衣装デザインはワダエミ、音楽監督はティグラン・ハマシアン。

 映画は、8月28日に開幕する第76回ヴェネツィア国際映画祭の「ヴェニス・デイズ」に正式出品されることが決定。オダギリ監督は、「イタリアの監督協会が選んでくれているる部門で、それが何ともうれしい。商業性やエンターテインメント性に目を向けたほうじゃなく、作家性の部門。“俳優・オダギリジョー”というフィルターがない形で選出していただけたんだと思うとすごくうれしいですね」と喜んでいた。

<<< 1 2