川村毅が共に生きた時代への鎮魂ともいえる作品『ノート』ティーファクトリー

撮影・ノニータ
 劇作家で演出家の川村毅は来年、劇団「第三エロチカ」を旗揚げして40年、自身の新作戯曲をプロデュースするカンパニー「ティーファクトリー」を立ち上げてからも20年を迎える。

 そこでこの節目に「川村毅劇作40周年&還暦 三作品」と題して3作品を発表することとなった。

 その1作目となる『ノート』は川村が共に生きた時代への鎮魂ともいえる作品。

 昨年は平成の大事件に関連する死刑が大量に執行された。そして新しい元号を迎えるにあたり、平成を振り返る機運の中、平成生まれの若者たちがその事件と経緯を知らないことに川村は愕然としたという。また、死刑囚の中には同世代の人間が少なからずいたことから、還暦を迎えようという世代がどのように80年代からの40年間を生きてきたかを、その時代のかかわり方を通して描きたいと思ったという。

 物語の中では記憶を失った男の記憶をよみがえらせるためにさまざまな証言がノートされていく。そして舞台上では、川村と近い世代の観客にとってはいつか見た風景が、若い観客には教科書には載らない歴史が繰り広げられる。世代や立場によって感じ方は人それぞれの作品となりそうだ。
ティーファクトリー『ノート』
【日時】10月24日(木)~11月4日(月・休)(開演は平日19時30分、土日休日15時。※31日(木)は15時の回あり。2日(土)と3日(日)は14時/18時30分。29日休演。開場は開演30分前、当日券は開演1時間前)
【会場】吉祥寺シアター (吉祥寺)
【料金】全席指定 前売一般5000円、モニタープレビュー全席自由(24日、25日のみ)3800円、還暦祝ペアチケット・引換券(1959年1月1日~1960年3月31日生まれの人と同伴者)=6000円、平成生まれ特別価格・引換券=3100円。当日券は各+500円
【問い合わせ】ティーファクトリー(TEL:03-3344-3005 〔HP〕 http://www.tfactory.jp/
【作・演出】川村毅 
【出演】阿岐之将一、井上裕朗、植田真介 (文学座) 、大沼百合子、笠木誠、下前祐貴、砂原健佑、林田一高 (文学座) 、深谷由梨香(柿喰う客)