今年一番○○だった本でオールスターが激突!?

(12月28日、ビブリオバトル in 紀伊國屋書店新宿本店 〈年忘れ☆オールスター2019〉)

スチュワーデスの歴史から片手袋考察まで、ビブリオバトル頂上決戦



〈年忘れ☆オールスター2019〉チャンプ本に決定した『片手袋研究入門』(実業之日本社)を紹介した長岡雷太さん
 スポーツ感覚の知的書評合戦として知られる「ビブリオバトル」。紀伊國屋書店新宿本店では、2019年の「ビブリオバトル in 紀伊國屋書店新宿本店」チャンプ本獲得者のみのバトル〈年忘れ☆オールスター〉が行われた。発表者が面白いと思った本を5分間で紹介し、参加者全員で2分間ディスカッション、「どの本が一番読みたくなったか」を投票して最多票の本がチャンプ本となる。テーマは「今年一番○○だった本」。

 トップバッターの瀬部貴行さんは「今年一番残念だった本」として行きそびれた特別展の図録、国立民俗学博物館編『驚異と怪異』(河出書房新社)を紹介。ディスカッションで現代の面白い存在を聞かれ、「幻獣や怪獣のビジネス化に一節割かれていて、チベットの雪男グッズの紹介には驚いた」という言葉に会場から思わず笑いが漏れる。

 西川正洋さんの「今年一番『へろへろ』になった本」は、鹿子裕文著『へろへろ』(ちくま文庫)。福岡県の新しい介護施設立ち上げにまつわるドキュメンタリーを思い入れたっぷりに語り、制限時間ギリギリに「その後を話したいのでぜひ」とディスカッションに突入する荒技を披露。


『驚異と怪異』(河出書房新社)を紹介する瀬部貴行さん(写真左)と『へろへろ』(ちくま文庫)の魅力を語る西川正洋さん
 石神誠一さんは「今年一番女性の強さを感じた本」のヴィクトリア・ヴァントック著『ジェット・セックス』(明石書店)をスタンディングスタイルで発表。「スチュワーデス」という職業の歴史を紐解きながら、ジェンダーやセクシャリティ、人種問題や美的概念などをあぶり出す内容に、「その本はどこで見つけたんですか?」という素朴な疑問も飛び出した。
スタンディングスタイルで『ジェット・セックス』(明石書店)を発表する石神誠一さん
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