劇場に演劇が、そしてお客さんが帰ってくる 東京芸術劇場『赤鬼』

 新型コロナウイルスの感染拡大防止による緊急事態宣言が解除され、6月から徐々に演劇が劇場に戻ってきた。臨時休館していた東京芸術劇場も7月24日から満を持して自主演劇事業を再開。その第一作として、同劇場の芸術監督を務める野田秀樹氏の作・演出による『赤鬼』が上演されることとなった。

 出演するのは、野田が演劇人の発掘・育成を目指して募集し、ワークショップなどで修業に励む「東京演劇道場」の道場生ら。

 同作は1996年にNODA・MAP 番外公演として初演。以降、それぞれの国の俳優とワークショプを重ね、それぞれの国の言語で演じるというプロジェクトとして、国内にとどまらず海外でも上演されてきた。

 主な登場人物が4人であることから基本的にはキャストは4人なのだが、1998年にタイ人キャストで上演された「タイバージョン」では総勢16人が出演。今回はこれをアップデートした「17人キャスト版」を東京演劇道場生らの4つのチームで連続上演する。

 本作は“赤鬼”が漂着したある漁村を舞台とし、「他者への想像力の欠如と不寛容」「移民や異なる人種への差別」「未知なる存在といかに共存するか」といったテーマが描かれる。まさに新型コロナウイルスに右往左往し、他人の行動に過敏になり、やがてコロナとともに生きる知恵を振り絞りながらおずおずと生活を動かし始めた現在社会のよう。

 野田戯曲の普遍性と先見性を改めて感じさせられる。
東京芸術劇場『赤鬼』
【日時】7月24日 (金・祝) ~8月16日(日)(開演は月~金19時、土日14時。※10日(月)は14時開演。29・4・5・11日休演。開場は開演45分前)
【会場】東京芸術劇場 シアターイースト(池袋)
【料金】整理番号付自由席(入場は整理番号順) 前売一般5000円、65歳以上4500円、25歳以下3500円、高校生以下1000円/当日一般5500円
【問い合わせ】東京芸術劇場ボックスオフィス(TEL:0570-010-296=休館日を除く10~19時。〔HP〕 https://www.geigeki.jp/performance/theater240/
【作・演出】野田秀樹
【出演】東京演劇道場生等