福士蒼汰「この状況で舞台ができることは光栄」、宮野真守「この状況下だからこそ、作り出せるエンターテインメント」

『カチカチ山』の1シーン。井上小百合(左)と宮野真守(撮影・田中亜紀)

宮野「人はどんな状況でも新たに素晴らしいものを生み出せる」


 また今回の作品については宮野は「こんな汚い格好でステージに立つのは初めてくらいの新境地。太宰治の御伽草子の中のカチカチ山は太宰目線での解釈が入っていて、みなさんが知っているカチカチ山より、けれんみがあるというか屈折した部分が入ってくるのが面白い。一人の男が自分の欲望に対してどのように向かい合って、どのように認めていくのかといった心理的な深さもある作品」

 福士は「誰もが知っている浦島太郎という作品なんですが、今回の浦島はかなりぶっ飛んでいる。エネルギッシュで、“これが浦島太郎かよ”って思うくらい登場人物の個性が強いので、このエネルギーに圧倒されてほしい。そして社会的なメッセージが含まれている。最初の5分に一人語りがあるんですが、そこでかなり強めにメッセージを表現しているので、そういうところを感じてもらいながらエンタメとして笑ってくれれば」とそれぞれ話した。

 そして最後に福士は「こういう状況の中、舞台ができることを光栄に思っている。ぜひ劇場に来てほしいと思っているし、今回はオンライン配信もあるので、それでぜひ見てほしい。オンライン配信を見て、“生の舞台も見たい”と思ってもらえる舞台ができていると思うので、ぜひご覧ください」

 宮野は「『神州無頼街』の代わりに立ち上がった企画ではあるが、実際に初日を終えて、これは決して苦肉の策ではなく、この状況下でも新たな方向性のエンタメが作れるという可能性を感じた。僕自身も二人芝居で今までに体感したことのない熱量や台詞量だったりを経験して、人生最大のチャレンジといっても過言ではないくらいの思いでいます。人はどんな状況でも新たに素晴らしいものを生み出せるということを感じてもらいたいので、たくさんの方々に僕らの本気を感じてほしい」と締めくくった。

 舞台は10月17日まで東京・池袋のBrilliaホールで上演される。
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