宮下公園に季節外れのタンポポ 綿毛を吹いて世界をつなぐアート



 セレモニーに出席したNAKEDの村松亮太郎氏は「コロナ禍において、すごく分断が進んでいる状況を目にして何かできることがないかと思った時に、離れ離れの中でもみんながつながっている、平和を願う気持ち自体はみんな同じなんじゃないかと考えた。言葉のメッセージではないシンプルな花を咲かせることで、どんな主義主張をもっていたとしても、平和を願う気持ちは一緒だと世界中の人が感じあえる。目の前に見えているものだけでなくて、見えないものにもみんなが想いを馳せたり、想像できたりできると素敵だなというネットワークのアートになっています」と、説明。

『ブレス/ブレス プロジェクト 』は、タンポポの綿毛が地面に根付いて新しい花を咲かせる様子を、美術造作や映像、テクノロジーを融合して表現したインスタレーション『ダンデライオン』を世界各地に設置し、それらが互いに連動することで世界をつなぐアート作品。本来はタンポポのオブジェに息を吹きかけることで動き出すが、新型コロナウイルスなど感染症予防対策のために、スマホをかざすことで体験できる。

 村松氏によればタンポポのオブジェは世界中に植樹されて広がっていく計画だという。「そのスタート地点として渋谷に意味を感じていますし、アートの新しい在り方もここから始められたらと思う」と、村松氏。

 長谷部健渋谷区長は「(宮下公園は)芸術・文化を発信する場所として最高の場所だと思う。アート・文化の面でも公園でこういうことができるんだということを知ってもらって、多くの人に渋谷を好きになってもらったらと思う」と、期待を寄せた。

『ダンデライオン』は、宮下公園のほか、東京タワーのメインデッキ2Fにも設置。21日からは埼玉県飯能市のムーミンバレーパークにも設置される。また、シンガポールのガーデンズ・バイ・ザ・ベイにも置かれている。それぞれの『ダンデライオン』は連動し、東京で体験した人の数だけシンガポールでは東京の花(サクラ)が咲く。

 作品は、同日スタートした「第12回渋谷芸術祭2020~SHIBUYA ART SCRAMBLE~」で展示されている。