吉田鋼太郎、松永久秀の最期「自分自身の本能の赴くままに」<麒麟がくる>



 最期のシーンの前には、光秀と語らうシーンも。

「思えばこれまで松永の場面は、光秀とのシーンがほとんどなんです。あの場面は、松永と光秀との最後の場面、そして長谷川(博己)くんとお芝居する最後の場面でもありました。撮影が始まったのが去年の春でしたから、ずいぶんと長い間、長谷川くんとお芝居していたんだなあと。撮影の際は、いろんな思いが重なって、非常に感慨深いものがありました」

「作品の中で、光秀が年齢を重ねていく様を、長谷川くんはすごく上手に演じてらっしゃる。どんどん精悍になっていくし、重みが増していますよね。ところが、2人の最後のシーンでは、堺で初めて出会った頃の光秀がふと蘇ったように感じました。特に光秀の”戦などしたくない、平蜘蛛などいらない!”というセリフの部分では、若いころの光秀をもう一度見たような気がして。本当に、すばらしい演技だったと思います」

 そのなかで、光秀に茶道具の平蜘蛛を託した。

「松永が、平蜘蛛は自分だと言った場面は面白いと感じましたね。平蜘蛛は、一見異様に見えるものの、よくよく見ると理にかなった形をしている、だから美しいと言われています。それが自分だと言うのですから、考えようによっては非常に厚かましいですよね。ですが、松永は、生まれがよくないために己の才覚だけでのし上がった人物。その見方で、姿かたちが一見醜怪な平蜘蛛と重ねるという点では、実感を込めて演じられました」

 改めて吉田は「史実であるかどうか分かりませんが、実は、爆死したかったという思いもちょっとはありまして、もしそうであれば、それこそ皆さんの想像を遥かに超えたすさまじいものにしたかったなと。とはいえ、松永の心情としては、40回を通じてそれと同じくらいのピークを迎えられたと感じていますし、池端さんが描かれた松永の最期を演じられて心から良かったと思っています。ですので、お願いですから、「爆死じゃないのか」とガッカリしないでください」と、メッセージしている。

『麒麟がくる』は、毎週日曜、NHK総合で午後8時、BSプレミアム午後6時、BS4Kで午前9時。再放送もある。