「新しい資本主義」ってなんだ? 自民党の8つの重点政策を検証【前編】

10月18日、党首討論会での岸田文雄首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 第49回衆議院議員総選挙は10月19日に公示され、31日の投開票日に向け、熾烈な戦いが展開されている。

 昨年9月に発足した菅義偉政権は新型コロナウイルス対策を最優先課題に掲げ、そして今夏には1年延期された東京オリンピック・パラリンピックが開催されたりとさまざまな要因があったことから衆議院の解散は10月21日の任期直前の10月14日。解散から投票日までが戦後最短の17日という史上まれにみる選挙戦となっている。

 なおかつ自民党は9月29日投開票で総裁選を行ったのだが、総裁選から総選挙の間隔がこれほど短いというのは初めてのこと。その総裁選を制し、今回の総選挙で自民党の顔となるのは岸田文雄首相。岸田氏は10月4日に第100代首相に選出されると同日夜の会見で政権を「新時代共創内閣」と名付け「私が目指すのは新しい資本主義の実現だ」と述べ、成長戦略とともに富の再分配を重視する考えを強調。「新しい資本主義実現会議」を設置し、ポストコロナ時代の経済社会ビジョンを策定する考えを示した。

 そして自民党は8日には総務会で総選挙の重点政策を了承。

(1)感染症から命と暮らしを守る。
(2)「新しい資本主義」で分厚い中間層を再構築する。「全世代の安心感」が日本の活力に。
(3) 国の基「農林水産業」を守り、成長産業に。
(4)日本列島の隅々まで、活発な経済活動が行き渡る国へ。
(5)経済安全保障を強化する。
(6)「毅然とした日本外交の展開」と「国防力」の強化で、日本を守る。
(7)「教育」は国家の基本。人材力の強化、安全で安心な国、健康で豊かな地域社会を目指す。
(8)日本国憲法の改正を目指す。

 という柱となる8つの分野を発表した。この自民党の重点政策を2回にわたって検証してみる。

 岸田首相は解散の14日夜に官邸で会見を開き、選挙期間中も新型コロナ対策に万全を期していくことを宣言した。「感染状況が落ち着いているうちに最悪の事態を想定した対策を準備することが必要」とし、公的病院の新型コロナ専用病床化や、実際には患者の受け入れに使用されなかった、いわゆる“幽霊病床”の見える化を図り、感染拡大時の病床稼働率を8割超まで引き上げるとした。またさまざまな支援策にも言及。これらが1番目の「感染症から命と暮らしを守る。」政策となる。

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