「新しい資本主義」ってなんだ? 自民党の8つの重点政策を検証【前編】

10月14日、岸田首相は衆議院を解散した(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 2番目の「『新しい資本主義』で分厚い中間層を再構築する。『全世代の安心感』が日本の活力に。」については政策パンフレットで6ページを費やすなど最重要といってもいい政策。昨今よく耳にする「成長も分配も」という言葉はこの政策にあたる。

 首相は「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトに15日に新しい資本主義実現会議を創設。自らが議長、山際大志郎大臣(経済再生担当相)を副議長とし、塩野義製薬株式会社取締役副社長兼ヘルスケア戦略本部長の澤田拓子氏、日本労働組合総連合会の新会長である芳野友子氏ら各界から第一人者を招いて新しい資本主義のグランド・デザインを描いていくとしている。

 具体的には大胆な危機管理投資、コロナ禍で影響を受けた中小企業・小規模事業者への支援、分配政策による分厚い中間層の再構築、医療・介護・年金・少子化対策をはじめとする社会保障全般の総合的な改革、女性活躍の応援などが挙げられている。

 3番目の「国の基『農林水産業』を守り、成長産業に。」は「食の安全保障の確立」の観点からの食料自給率と食料自給力の向上と、農林水産業を成長産業化することによって地域の伝統文化を守って、活力ある地域を作ろうというもの。

 岸田総理は14日の会見でも「何よりも大切なのは地方。新しい資本主義は地方からスタートする」などと語り、地方を支える農林水産業や中小企業への支援とともに、地方の交通インフラの整備についても言及した。

 4番目の「日本列島の隅々まで、活発な経済活動が行き渡る国へ。」は「地方には伸びしろがある」という観点から「日本全国どこに住んでいても、安全に生活することができ、必要な医療・福祉や高度な教育を受けることができ、働く場所がある」という状況を目指すもの。

 地方の活性化として「デジタル田園都市国家構想」を掲げ、そのために5Gデータセンターなどのデジタルインフラの整備を進めていく。またこれは地方経済の発展につながるばかりではなく、東日本大震災以降、叫ばれ続けてきた災害時のリスク分散にもつながっていく。【後編は明日公開】

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