8月にトークショー開催の岸惠子がロシアのウクライナ侵攻、コロナ問題などで日本に愛ある提言

この日は「おしゃべりが過ぎました(笑)」などと語る場面も

愛しているからこそ、もう少し便利な賢い国になってくれればと思う

 また岸はコロナによる海外からの入国規制もあったことからパリに住む娘と孫に3年半会えてないとのこと。昨年12月に娘が来日することになったのだが、娘は日本国籍を持たないことから家族ビザが必要に。その取得のために日本大使館、厚生労働省、国土交通省をたらい回しになり約1カ月かかった末に、フライトの3時間前に日本が外国人の入国を全面禁止にしたことから来日が実現しなかったことを明かした。そして「横の連絡が全然ない。お役所や役人はみんな優しくて親切だが、でもそれで終わりにならないで“今度はどこにかけなさい”“これが必要です”って全然終わらない。その無駄さに疲れ果てた。ビザを取るために1カ月かかったが、期限がたったの3カ月なので5月、6月に来るならもう1回取り直さないといけない。そういう日本がものすごくまどろっこしいと思う。丁寧だけど、もう少してきぱきと現実的になればいいと思う。日本の悪口ばかりで気が引けるんですが(笑)。愛しているからこそ、もう少し便利な賢い国になってくれればいいなと思っています」などといまだに縦割り行政が改まらない日本に苦言を呈した。

 岸は現在89歳でトークショー開催時は90歳になる。最近書いた「高齢者の自覚」というエッセイの中で82歳の時に運転免許証を返納したことを明かしているのだが、そのことを思い出したのは2021年に池袋暴走事故の加害者に実刑判決が出た時とのこと。この日、岸は「人間の能力は衰えるものだから、87歳でアクセルとブレーキを踏み間違ってはいけない。それで被害者の松永さんが誹謗中傷で参っているそうなんですね」などと遺族の心情を慮った。

 90代をどう生きるか、ということについては幼いころの父との会話を紹介したうえで「90歳になっても5~6歳の時に思った死というものは厳然としてあるけれど、だからどうということはない。今を生きる。昨日があるから今がある。明日があるから今を一生懸命生きるということだと思います」などと語った。