『裸のランチ』に『バカルー・バンザイ』まで数々の難解な役をこなしてきたレジェンド俳優ピーター・ウェラーが大阪コミコンのステージで演技の真髄を語る

禅の修行もしており坐禅も組むというウェラーをもってしても『ロボコップ』での椅子はきつかった

 さらに話は、テレビドラマ『24 -TWENTY FOUR-』の悪徳刑事役クリストファー・ヘンダーソンについて。この役はロボコップのような正義の警官とは対照的なヴィラン(悪役)だったが、どのような気持ちで演じたのかと問われると、俳優ならではの見解を聞くことができた。「ヴィランだと? 何を言っているんだ、彼は愛国者でヒーローじゃないか。これはどの役を演じるときも同様で、そもそも自分の演じる役に善悪の線を引いたりしない。それは見る側が判断することだ。なぜなら演じる自分はその人間になりきろうとしているのだから、その人間の行動原理としては“正しい”と思ってやっていることに寄り添うのだ。そしてこの役に関して言えば、愛国心で彼を表現することができるだろう。彼自身は、米国を防衛しているという正しい意識で行動している『スター・トレック イントゥ・ダークネス』で、マーカス提督は、カーンは悪者だから話してはいけないと言う。マーカス提督はその点で愛国者なのだ。自分はそういうふうに演じている。キャラクターがどのような立場をとっているのか、見ている側にとって正しいか間違っているかにかかわらず、自分の演じるキャラクター自身は正しいことをしているつもりで、正しい行いをしている。そういう人間を演じているのだ」。