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繊細で綿密な会話劇と空間演出 東京夜光『BLACK OUT~くらやみで歩きまわる人々とその周辺~』

2020.08.14 Vol.732

 三鷹市芸術文化センターの名物企画である『MITAKA“NEXT”Selection』も今年で21年目を迎える。「今後の飛躍が期待される劇団」というくくりで劇団をセレクトするこの企画をきっかけに、これまで多くの劇団が飛躍を遂げてきた。

 今回、第1弾となる「東京夜光」は横内謙介氏に師事したことから劇団扉座の演出助手を務め、また多くの市民劇や研究所公演、映画などに脚本・演出、演出助手とさまざまな形で関わった経験を持つ川名幸宏が作・演出を務めるカンパニー。2018年の「第28回下北沢演劇祭」の若手支援企画「下北ウェーブ2018」に選出されたことから旗揚げした。作品では川名自身の経験や、そこで得た感覚を普遍の物語に昇華し、繊細で綿密な会話劇と、ムーブメントによる空間演出を織り交ぜる試みをしている。

 タイトルである「BLACK OUT」には「暗転」という意味があり、本作は演劇の現場が舞台で川名がこれまで務めてきた演出助手という仕事から着想を得たものとなっている。

いしいのりえと岩田光央のユニット「カナタ」 活動10周年記念公演「あぶな絵、あぶり声 ~祭~」再始動

2020.08.13 Vol.732

 イラストレーターのいしいのりえと声優の岩田光央による愛交朗読ユニット「カナタ」。2010年から「大人の女性が楽しむ空間」をコンセプトに、男性声優や俳優がごく普通の男女の恋愛物語を、スクリーンに投影したイラストとキーボードピアノの生演奏をバックに朗読する「あぶな絵、あぶり声」を発表してきた。観覧は18歳以上の女性限定という制限を設けているにもかかわらず、毎回大きな話題と反響を呼んでいる。

 今年で10周年を迎えた同ユニットだが、当初4月に予定していた記念公演は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で全公演中止。この秋、ファン待望の記念公演が改めて開催されることが決定した。神奈川公演は横浜ランドマークホール、東京公演は品川グランドホールにて、出演は主宰の岩田光央を始め蒼井翔太、仲村宗悟、佐藤拓也、畠中祐、小野大輔、豊永利行、森川智之という超豪華声優陣が日替わりで登場する。

 いしいの絵と文、岩田の演出により絵と声の両サイドから表現した「愛交ストーリー」が人気の舞台。感染対策を万全に濃密な世界を楽しみたい。

彼はいったい何ものなのか? 英児童文学の傑作を舞台化した『スケリグ』

2020.08.08 Vol.732

 浜中文一が主演する舞台『スケリグ』が、東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAで上演中。本作は2019年に浜中主演で上演されており、再演。演出はウォーリー木下が務めている。

 イギリスの作家デイヴィット・アーモンドによる児童文学の傑作『スケリグ(Skellig)』を舞台化したもの。浜中が演じる古い家のガレージの片隅に住む「彼(スケリグ)」を少年マイケルが見つけたことがきっかけとなって物語が展開する。マイケルには病気の妹がいて両親は彼女ににかかり切り。マイケルは隣の家に住むみなとスケリグを助けようと動き始めて……。

 7名のキャストはひとりが複数の役を演じたり表現したりと、大忙し。そこに生演奏と映像を駆使した美術が重ねられ、魅力的な世界が広がる。不思議で温かな世界を描き出す。

 8月16日まで同所で。その後、大阪、愛知、所沢(埼玉)で公演がある。

黒羽麻璃央が演じる、志々雄真実のビジュアル公開! ミュージカル『るろうに剣心 京都編』

2020.08.05 Vol.Web Original

 小池徹平が主演するミュージカル『るろうに剣心 京都編』(IHIステージアラウンド東京、11月3日~12月15日)で、小池演じる緋村剣心の最大の敵である志々雄真実のビジュアルが4日公開された。志々雄はミュージカル『刀剣乱舞』などの黒羽麻璃央が演じる。

 志々雄は、人斬り抜刀斎緋村剣心の後継者として、人斬り役を担っていた元・長州派維新志士。明治政府に抹殺されかけて全身火傷を負い、政府への強い恨みを抱き、復讐のために政権転覆を企てる。

 公開されたビジュアルは、志々雄の印象的なシーンを再現。怨恨や私欲にまみれた極悪人・志々雄真実を見事に表現している。

 大の「るろうに剣心」ファンだという黒羽は「作品を本当に愛しているので、出演が決まった時は、本当に僕は幸せ者だと思いました」。また「演出の小池修一郎さんは、僕がミュージカルをより一層好きになったきっかけを与えてくれた方です。稽古では必死に食らいついていきたいと思います。そして今回は歌もあり、殺陣もあり、芝居もあり、客席も回ってしまうという!体力の限界を超えたいと思っています。IHIステージアラウンド東京は、舞台転換だけでなく客席が動くことによって、より一層いろんな顔を魅せることができる劇場だと思っています。ご覧になる皆さんも、アトラクションのような感覚で、エンターテインメントとして楽しんでいただけると思います」と、やる気に満ちたコメントを寄せている。

 黒羽は、『刀剣乱舞』などの人気2.5次元ミュージカルからグランドミュージカルの『ロミオ&ジュリエット』、ドラマや映画と幅広く活躍する若手実力派。

 小池、黒羽のほか、本作には松下優也、加藤清史郎、岐洲匠、奥野壮(男劇団 青山表参道X)、綺咲愛里、鈴木梨央、仙名彩世、章平、山口馬木也らが出演する。

佐藤アツヒロと 鈴木勝秀が再タッグで新しい会話劇

2020.08.05 Vol.Web Original

 佐藤アツヒロが主演する舞台「『YARNS』~紡ぎ糸/作り話~」が今秋、東京と大阪で上演される。スズカツの愛称で親しまれる脚本家で演出家の鈴木勝秀と佐藤が再びタッグを組む会話劇で、鈴木が取り組んでいる能楽を現代的に蘇らせる試み、“スズカツ能楽集”のスタートとなる。

「再びスズカツさんの世界観を体感し、舞台上で表現できることを幸せに思います」と、佐藤。「スズカツさんとは、今までの作品を通していろいろな価値観を共有し、物の捉え方や感じ方に僕は常にワクワクドキドキしていました。これまでも、ほとんどセッションのような、その場その場で起こる物語を体感し表現してきたので、今回も二組のダブルキャストや、物語の軸となる深層心理によって、何が起こるかわからない新たに濃い演劇的セッションが生まれることがとても楽しみです」と、話している。

 このシリーズは、カウンセリングを受けに来る精神的に少し疲れた現代人と、患者の話を聞くカウンセラー(精神科医)が会話する中で、患者は記憶の糸を手繰りながら、無意識の中に眠る真実に向き合っていくのが基本のスタイル。今作では、佐藤が、見知らぬ女を夢に見て苦しみカウンセリングを受けに来る患者を演じる。

 佐藤は「自分自身の中にあるスズカツさんへの思いと、共存し合う価値観、そして更なる探究心を持ち、このキャストで新たなスズカツワールド「YARNS」に挑みたいと思います。そしてこの新しいスズカツワールドに挑戦してスズカツさんがニッコリしているところを見たいです」と、意気込んでいる。

 東京は10月7日~11月18日に浅草九劇で、大阪は11月21~23日でシアタードラマシティ。検温や消毒、客席のソーシャルディスタンスの確保はもちろん、舞台と客席間を透明素材で区切るなどさまざまな新型事ロなウイルス対策を講じて上演する。

 ほか出演に、鈴木裕樹、前田隆太朗、大山将司(Wキャスト)、中村まこと、加納幸和(Wキャスト)。

小池徹平「めちゃめちゃ楽しみ!」ミュージカル『るろうに剣心 京都編』が主要キャストの配役発表 

2020.07.24 Vol.Web Original

 小池徹平主演で、11月3日に開幕するミュージカルミュージカル『るろうに剣心 京都編』の配役が23日発表された。緋村剣心役の小池を筆頭に先日発表された主要キャストが勢ぞろいして配役発表会が行われ、 You Tube でライブ配信された。

  小池は 「『るろうに剣心』は小学生の頃から読んでいた大好きな作品です。剣心を演じるのがめちゃめちゃ楽しみ」と、あいさつ。演出の小池修一郎氏に体幹を鍛えるように言われているといい「殺陣が激しい作品になるんじゃないかなと思っています」とコメントし、初日を待ちわびるファンの期待を膨らませた。

 配役発表会は、主要キャストはそれぞれ別の場所から参加するスタイルで行われた。

 剣心の最大の敵である志々雄真実を演じる黒羽麻璃央は、「僕の中でナンバー1漫画であり、ナンバー1アニメである『るろうに剣心』に出演し、志々雄真実を演じられるのは……最高です」と喜びのコメン ト。また、「志々雄真実は原作の和月先生が『悪の美学の集大成』とおっしゃっている。さまざまな悪役の中で も、ここまで悪に徹して自分を『極悪人』と言える男はなかなかいないなと思います。包帯で顔を隠している役なので、中身で勝負しないとけない」

 剣心を支えるヒロイン神谷薫役は綺咲愛里。宝塚歌劇団を卒後業して以来、初の舞台となる。「立場ある役をさせていただけるということで光栄であるとともに身の引き締まる思い。薫らしい強さ、可愛らしさを表現していきたい」と、話した。

 剣心のもう一人のライバル・四乃森蒼紫役の松下優也は「人気キャラクターというプレッシャーはあります。でも、 2020年上半期は空白の時間があったので、年末に向けて“吐くほど“頑張りたいです」とやる気みなぎるコメント。

 志々雄の右腕である瀬田宗次郎を演じる加藤清史郎は「宗次郎は志々雄さんに助けてもらって、志々雄さんに忠実な思いを持っている青年。そういう部分も出しながら、宗次郎の 感情の葛藤も表現できたら」。また「凄腕剣士という名を汚さないように殺陣を頑張ります」と意気込んだ。

 斎藤一役の章平は、斎藤の必殺技“牙突“で登場して盛り上げ「早く劇場でやりたいです!ウズウズしています」。

 その一方で、IHI ステージアラウンド東京で芝居の経験がある山口馬木也は「今、徹平くんの後ろに見えている劇場を見るだけで汗が止まらない!」。山口は剣心の師匠・比古清十郎を演じる。

 本条鎌足を演じるのは、奥野壮(男劇団 青山表参道 X)。見た目は女性だが実は男性という役どころに「ジェンダーレスの役は初めてで、難しいとは思いますが、しっかり役作りをして頑張りたい」。さらに「大胆な殺陣の中で、鎌足ならではの美しさやしなやかさを表現したい。ただその中にも力強さがありますし、プラス志々雄真実への愛という強さを表現できればと思っています」と意気込んだ。

 相楽左之助にはミュージカル初挑戦の岐洲匠、巻町操は同じくミュージカル初挑戦の鈴木梨央が演じる。 仙名彩世が駒形由美を演じる。

 小池は「斬新な発表で楽しかったです。早く皆さんと直接会いたい」と感想を語り、「キャスト一同劇場でお待ちし ています!」と呼びかけた。

 イベントの模様は、公式 YouTube チャンネルで見られる。

 ミュージカル『るろうに剣心 京都編』は和月伸宏による大ヒットコミックス「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」が原作。明治時代の日本を舞台に、新撰組や紀尾井坂の変などの史実を絡ませながらもオリジナルストーリーで展開する剣劇漫画を、数々のミュージカルを成功に導いてきた小池修一郎が手掛ける。

 舞台は、IHI ステージアラウンド東京で、11月3日~12月15日。

劇場に演劇が、そしてお客さんが帰ってくる 東京芸術劇場『赤鬼』

2020.07.24 Vol.731

 新型コロナウイルスの感染拡大防止による緊急事態宣言が解除され、6月から徐々に演劇が劇場に戻ってきた。臨時休館していた東京芸術劇場も7月24日から満を持して自主演劇事業を再開。その第一作として、同劇場の芸術監督を務める野田秀樹氏の作・演出による『赤鬼』が上演されることとなった。

 出演するのは、野田が演劇人の発掘・育成を目指して募集し、ワークショップなどで修業に励む「東京演劇道場」の道場生ら。

 同作は1996年にNODA・MAP 番外公演として初演。以降、それぞれの国の俳優とワークショプを重ね、それぞれの国の言語で演じるというプロジェクトとして、国内にとどまらず海外でも上演されてきた。

 主な登場人物が4人であることから基本的にはキャストは4人なのだが、1998年にタイ人キャストで上演された「タイバージョン」では総勢16人が出演。今回はこれをアップデートした「17人キャスト版」を東京演劇道場生らの4つのチームで連続上演する。

 本作は“赤鬼”が漂着したある漁村を舞台とし、「他者への想像力の欠如と不寛容」「移民や異なる人種への差別」「未知なる存在といかに共存するか」といったテーマが描かれる。まさに新型コロナウイルスに右往左往し、他人の行動に過敏になり、やがてコロナとともに生きる知恵を振り絞りながらおずおずと生活を動かし始めた現在社会のよう。

 野田戯曲の普遍性と先見性を改めて感じさせられる。

舞台版『銀牙 -流れ星 銀-』今秋完結編上演へ 佐奈宏紀が主演続投

2020.07.17 Vol.Web Original

 舞台『「銀牙 -流れ星 銀-」~牙城決戦編~』が10月に上演されることが17日発表された。2019年に上演され話題を集めた舞台『「銀牙 -流れ星 銀-」~絆編~』に続く作品で、物語の完結編にあたる。主人公の秋田犬・銀は佐奈宏紀、脚本と演出は丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)、振付は辻本智彦で、3人とも続投になる。

 高橋よしひろによる名作漫画『銀牙 -流れ星 銀-』を舞台化するもの。凶暴な熊・赤カブトを倒すために、日本全土から犬たちが集結。熊と闘う犬たちの愛や勇気、友情、正義、あきらめない心などを描く。

 前作では、名作の舞台かゆえに期待も大きかったが、演者たちの歌とダンス、圧倒的な演出で観客の心を大きく揺さぶって、記憶に確かな爪痕を残した。それゆえに、続編も注目を集めることは間違いなさそうだ。

 天王洲 銀河劇場で、10月22日~11月1日。

劇場に演劇が、そしてお客さんが帰ってくる 劇団かもめんたる『君とならどんな夕暮れも怖くない』

2020.07.16 Vol.731

 新型コロナウイルスの感染拡大防止による緊急事態宣言の解除後、6月からは無観客+配信という形で徐々に演劇がスタートし、6月末にはソーシャルディスタンスを保つために客席を減らしながらも観客を入れての公演もスタートした。

 そんなコロナ過のまだまだ手探りの状況の中、劇団かもめんたるがこの時代ならではの作品を創りあげた。

 劇団かもめんたるは2013年にキングオブコントで優勝したお笑いコンビ「かもめんたる」が2015年に立ち上げた劇団。もともと演劇的要素の強いネタが得意な彼らとあって、演劇に進出するのもごく自然な流れではあったのだが、キャストオーディションを開催したり、所属の劇団員も生まれるなどいつの間にか本格的な劇団に成長した。また作・演出の岩崎う大は昨年11月の第8回公演『GOOD PETS FOR THE GOD』が第64回岸田戯曲賞最終候補に選出されるなど、演劇界において着々とその存在感を増している。

 今回は座席数も約50%に抑えての公演。これまで満員の観客を集めていただけにすでに前売りが完売の日も出ているので要注意。また「応援セット」として今公演のTシャツと特別冊子(全14ページ)をセットにして販売中。座席数を削らなければいけない分、文字通りこちらでも応援したいところ。

小池徹平主演のミュージカル『るろうに剣心』に黒羽麻璃央、松下優也、加藤清史郎!主要キャスト発表

2020.07.16 Vol.Web Original

 小池徹平が主演を務めるミュージカル『るろうに剣心 京都編』に、黒羽麻璃央、松下優也、加藤清史郎が出演することがわかった。16日、主催が発表した。配役は、主人公の緋村剣心を演じる小池以外ふせられた状態で、7月23日にライブ配信で行う配役発表会で明らかになる。

 発表されたのは、黒羽、松下、加藤のほか、岐洲匠、奥野壮(男劇団 青山表参道 X)、綺咲愛里、鈴木梨央、仙名彩世、章平、山口馬木也。23日の配役発表会にはキャストが登場し、意気込みを語る。発表会は、同日19時から、YouTube ライブ配信で行う。

 ミュージカルは、和月伸宏による大ヒット漫画『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』が原作。明治時代の日本を舞台に、新撰組、紀尾井坂の変、池田屋事件などの史実を絡ませて展開するオリジナルストーリーを、ミュージカルにする。脚本は演出も担当する小池修一郎。

 11月3日から12月15日まで、IHI ステージアラウンド東京で上演。

井上小百合「100%朗読劇にむかない作品で悩んだ」進化形朗読劇『銀ちゃんが逝く』

2020.07.10 Vol.web Oliginal

 演出家つかこうへいの命日である7月10日から3日間、新宿・紀伊國屋ホールにて没後10年追悼イベント・朗読蒲田行進曲『銀ちゃんが逝く』が行われる。

 初日となったこの日は公開舞台稽古と舞台挨拶が行われ、主演の味方良介と今年4月に乃木坂46を卒業した井上小百合と植田圭輔、演出の岡村俊一が登壇した。

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