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11月1日にアルバム『CHORUS IN CHAOS』をリリース。ママさんコーラス演劇「うたうははごころ」って?〈インタビュー〉

2021.11.07 Vol.Web Original

 総選挙も終わり、自公で絶対安定多数を確保という結果に終わった。ということは大きく世の中は変わらない。日本の劣悪な子育て環境も多分そんなにすぐには変わらない。そんな中でも子育てをある種のエンターテインメントに昇華し活動しているのがママさんコーラス演劇「うたうははごころ」。「ん?『うたうははごころ』って?」ということで代表の菊川朝子と広報の稲毛礼子に話を聞いた。

約10年前に書かれたとは思えない、現在を揶揄したようなお話『イロアセル』

2021.11.01 Vol.746

 小川絵梨子氏が新国立劇場の芸術監督に就任した際に打ち出した支柱の一つ「演劇システムの実験と開拓」として取り入れたのが、すべての出演者をオーディションで決定する「フルオーディション企画」。今回はその第4弾として2011年10月に倉持裕が新国立劇場に書き下ろした『イロアセル』が倉持自らの演出で上演される。

 舞台は海に浮かぶ小さな島。その島に住む人たちの言葉にはそれぞれ固有の色がついていて、いつ、どこで発言しても、誰の言葉なのかすぐに特定されてしまう。だから島民たちはウソをつかないし、ウソをつけなかった。そんな中、丘の上に檻が設置され、島の外から囚人と看守がやって来たのだが、彼らの言葉には色がなく、彼らの前で話をする時は島民たちの言葉にも色がつかなくなった。以来、これまで隠していた島民たちの本心が徐々に明かされていくことになり…。SNSが発達し匿名での無責任な発言があふれ、コロナ禍で対面を必要とせず、言葉だけに頼るコミュニケーションツールが発達、増加した現代に、日常における対話や発言の在り方を改めて問いかける作品。約10年前に書かれたとは思えない、現在を揶揄したようなお話だ。

才能あふれる女性パフォーマーたちが創り上げる舞台は必見 Juliet aria『DustBunnySHOW』

2021.11.01 Vol.746

 ダンスアーティストで女優の仲万美が手掛けるプロジェクト「Juliet aria」の第1弾。沖を筆頭に、ダンサーやポールダンサー、 アイドル、アクロバットダンスパフォーマー、バイオリニストなど世界的な女性パフォーマーが集結したダークファンタジーショーを展開する。

 本当か嘘か分からない情報が飛び交う中に存在した都市伝説のようなショー「DustBunnySHOW」を軸に展開。 感情を失ったダンサーは、Mr.Blackが支配する豪華客船「DustBunny」に連れてこられる。バニーと名付けられた彼女は、そこで7人の女性パフォーマーと出会う。 自分と似ている彼女たちに失った感情を抉られたバニーが「DustBunny」の中で選ぶ道とは…。

 プロジェクトを手がけ出演もする沖は、20年以上のキャリアのなかで、加藤ミリヤ、BoA、椎名林檎らのバックダンサーも務めた経験があり、マドンナにはバックダンサーとして約1年半同行している。また、映画『チワワちゃん』、舞台RockOpera『R&J』ではヒロインを務めるなど精力的に活動している。そんな彼女と才能あふれる女性パフォーマーたちが創り上げる舞台は必見。演出・脚本は三浦香が担当。

 本公演は今年4月に開催予定も全公演中止となっていた。

「ぽに」って?といったことも含め、諸々気になる作品 劇団た組『ぽに』

2021.10.21 Vol.746

 劇団た組は2013年に結成された、加藤拓也が脚本・演出を務める劇団。丁寧な言葉とドラマ運びで、底抜けた暴力性と虚無感がねっとりと複雑に立ち上がる物語を上演している。

 加藤は演劇ばかりではなく映像でも演出を担い、2018年にはフジテレビ『平成物語』でドラマ初脚本で市川森一脚本賞にノミネート。同年、日本映画専門チャンネル25周年記念の映像作家に選ばれ、2019年にはフジテレビ『不甲斐ないこの感性を愛してる』で再び市川森一脚本賞にノミネートされるなど幅広いフィールドで活躍している。

 2018年には演劇に不確定要素として実際のスポーツを持ち込んだ『貴方なら生き残れるわ』が大きな反響を呼び、映像が公開された時には1週間で1万回以上再生された。

 今回の作品は子供の預かりバイト中に大災害に巻き込まれた女性が「仕事とお金の責任の範囲」について思いを巡らす物語。置き去りにされた5歳の男児が一夜にして43歳の姿になってしまうというファンタジーというか、ちょっとした恐怖というか不思議な要素を含みながらも、その一方で生々しい物語が展開される。そもそも「ぽに」って?といったことも含め、諸々気になる作品だ。

落合モトキら豪華キャストが約1年ぶりの有観客公演!コントと音楽 vol.3『くたばるものかよ』スタート

2021.10.17 Vol.Web Original

 映画監督の飯塚健が脚本・演出・選曲を務めるエンターテインメントショー、コントと音楽 vol.3『くたばるものかよ』が丸の内のコットンクラブでスタートした。vol.2.5「番外配信編」を経て約1年ぶりの有観客公演。キャストは新メンバーに落合モトキ、川久保拓司、傳谷英里香、片岡礼子を迎え、vol.2「他人関係」より足立梨花、関めぐみ、山中聡が続投する。開演前日には関係者向けのゲネプロが行われ、生まれ変わった「コントと音楽」が幕を開けた。

中止になって、もう一度やる公演 劇団献身『スケールⅡ』

2021.10.12 Vol.746

 劇団献身は早稲田大学演劇倶楽部出身の奥村徹也が、卒業後1年間のサラリーマン生活を経て2014年に旗揚げした劇団。

“3秒に1度放たれる”ともいわれるノンストップでギャグを放り込む独特のスタイルでコメディー作品を次々と発表。着実にファンを増やし、昨年には今後の飛躍が期待される若手劇団を集めて行われる三鷹市芸術文化センターの名物企画『MITAKA“NEXT”Selection』にも選ばれた。

 昨年の9月といえば、コロナ禍が一時収束し、エンターテインメントが復活しつつも、いつまた中止になってもおかしくないような微妙な時期。そんなやる側も見る側も気分が停滞しそうな状況でいつも以上にふざけまくって、みんなのストレスを笑いに変えた。

 今回は昨年4月に新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための緊急事態宣言により全公演が中止となった第13回公演『スケール』を改め『スケールⅡ』としてパワーアップして挑むという。

 劇団としては初めての「恋」や「家族」を真ん中に置いた物語。もっとも「いずれにせよ行き詰まる、男と女の物語」とのことで、いつものテイストはもちろんそのままに新味をプラスアルファ。新たな境地に足を踏み入れる作品となる?

猫のホテル 30周年本公演『ピンク』

2021.10.04 Vol.745

 1990年に森田ガンツ、中村まこと、市川しんぺー、千葉雅子らで旗揚げした猫のホテル(通称:猫ホテ)が昨年11月に30周年を迎えた。この30周年イヤーのギリギリの10月に記念本公演を上演する。

 作・演出を手掛ける千葉による「人間のバカ哀しさ」を描いた作品は多くのファンを生み、90年代中盤から2000年代にはザ・スズナリといった小劇場を中心にコンスタントに公演を重ねた。その後、名優、怪優、奇才揃いのメンバーが外部から引っ張りだことなったこともあり、2010年代は劇団公演はかなりマイペースな感じで続けられた。今回も2018年4月の『秘境温泉名優ストリップ』以来の公演となる。

 今回の『ピンク』という作品は「30周年を迎え、創作姿勢や方法論を変えざるを得ない時代に突入したと実感した」という千葉が稽古や劇場環境、劇団のモラルまで通用するものかを見直すべく企画したもの。これまでは千葉自身、男性の物語を描くことが多かったのだが、今回は家父長制に守られた世界でたくましく生きる女性の物語を描くという。『ピンク』というタイトルには100年前の英国ではピンクは男の子の色、ブルーは女の子の色とされていたのに現在では逆転していることから「変容」の意味を込めつけられた。

 千葉は「劇団の歴史に今作が加わることで総括的に性別格差における価値観の変容を捉えるものと考えている」とも語っており、バカバカしさやユーモラスな表現の陰に現代社会への問題定義も見え隠れする作品となりそうだ。

ミュージカルらしいミュージカルを見たいという人にはおすすめ『オリバー!』

2021.09.30 Vol.745

 英作家チャールズ・ディケンズの小説『オリバー・ツイスト』が原作。物語の舞台はヴィクトリア朝のイングランド。救貧院で暮らしていた孤児のオリバーは葬儀屋に下働きに出され、そこでひどい仕打ちを受けて逃げ出す。ロンドンにたどり着いたオリバーはコソ泥とスリの集団に取り込まれてしまう。捕らえられたオリバーは被害者である親切な紳士に引き取られることになるが、スリの元締めの老人はオリバーを連れ戻そうとたくらんで……。

 スリ集団の元締めのフェイギンを市村正親と武田真治がWキャストで演じることは鑑賞するうえでもっとも楽しみにしたいポイントのひとつ。武田もまた自身にとって俳優人生の分岐点となる作品とコメントを寄せており、どんなフェイギンを魅せてくれるのか期待したい。また、元気に駆け回るオリバーら子どもたちの姿も見どころだ。

 ミュージカルらしいミュージカルを見たいという人にはおすすめの作品。

劇団鹿殺し渾身の王道音楽劇『キルミーアゲイン’21』

2021.09.27 Vol.745

 座長・菜月チョビが関西学院大学在学中にサークルの先輩であった代表・丸尾丸一郎とともに旗揚げした鹿殺しが今年、活動20周年を迎えた。2005年には当時の劇団員全員で上京し、既存の劇団とは一線を画した活動と並外れた行動力で徐々に東京の演劇ファンに知られるところとなり、公演規模も拡大。菜月、丸尾のみならず劇団員の外部での活動も増えていった。

 劇団が成長する過程でよく選択肢として上がる「解散」「活動停止」といったこともなく毎年コンスタントに公演を行えたのは菜月、丸尾の「劇団」というものへのこだわりがあってこそ。

 今回は2016年の15周年記念公演として上演された『キルミーアゲイン』の再演。劇団鹿殺し渾身の王道音楽劇だ。

 ゲストには真田佑馬、梅津瑞稀らフレッシュなメンバーから、小林けんいち(動物電気)、谷山知宏(花組芝居)といった劇団の黎明記を支えたメンバーまで、活動20周年にふさわしいゲストが集結。いつにも増してお祭り感も満載の公演となる。10月15〜17日には大阪IMPホールでも公演。10月9、10日には配信公演も行う。

演劇の可能性を広げる実験的な新プロジェクト ワタナベエンターテインメント Diverse Theater『物理学者たち』

2021.09.15 Vol.745

「Diverse Theater」というのはワタナベエンターテインメントが立ち上げた、さまざまなクリエーター、プロデューサーとのコラボレーションにより、演劇の可能性を広げる実験的な新プロジェクト。その第一弾となる今回はオフィスコットーネの綿貫凜氏とタッグを組む。

 今回はスイスを代表する劇作・小説家・推理作家のフリードリヒ・デュレンマットの代表作の一つである『物理学者たち』をノゾエ征爾の上演台本・演出により上演する。

 物語の舞台は、サナトリウム「桜の園」の精神病棟。そこには「物理学者」の3人の患者が入所していた。そのサナトリウムで、ある日看護婦が絞殺される。犯人は通称“アインシュタイン”を名乗る患者で、院長は放射性物質が彼らの脳を変質させた結果、常軌を逸した行動を起こさせたのではないかと疑う。 しかしさらなる殺人事件が起き、事態は思わぬ方向へ動いていった。

 第二次世界大戦での甚大な原爆被害も記憶に新しく、ベルリンの壁建設や水爆ツァーリ・ボンバの爆発実験など、世界情勢が緊迫した 1961年に執筆された本作では「科学技術」そして「核」をめぐって渦巻く人間の倫理と欲望が描かれる。

キンプリ神宮寺が三島由紀夫の代表作に挑戦「神宮寺勇太を大放出したい」

2021.09.14 Vol.Web Original

 

 キンプリことKing & Princeの神宮寺勇太が11月から上演される舞台『葵上』『弱法師』に主演、ストレートプレイに初挑戦する。また、神宮寺は本作が舞台単独初主演となる。

 三島由紀夫の全八篇の短編戯曲からなる代表作「近代能楽集」の二編を連続して上演する。『葵上』は、「源氏物語」を原典に、嫉妬や欲望、情念など、心の内に秘められた闇を描く。『弱法師』は終末観に腰を据えた青年が主人公で、現実的なもの全てに対する敗北を表す最後の台詞が印象的な作品だ。

「初めて単独での主演舞台をやらせて頂く事を聞いた時、心臓のビクン!とする音が聞こえました」と、神宮寺。「主演として舞台に立たせていただける喜びと、自分にどこまで出来るのかな?という思いが同時に駆け巡りました。ストレートプレイに挑戦させて頂くのも初めてですし、色んなことが初めてづくしな作品になります。」

『葵上』では美貌の青年・若林光役を、『弱法師』では戦火で視力を失った二十歳の青年・俊徳役を演じる。

「2作品の役を演じる事は、決して簡単ではないと思いますが、この2つの作品を演じ切ることができた後に演じる事の楽しさや、表現の幅が広がっているように、全身全霊で稽古に臨みたいと思います! 来ていただけるお客様に今まで見た事のない、神宮寺勇太を大放出したいと思います」

 共演は、中山美穂ら。中山は『葵上』では光のかつての恋人・六条康子を、『弱法師』では俊徳を救おうとする調停委員・桜間級子を演じる。

 中山は「長い芸能生活の中で、お芝居の舞台というのは1度しか経験が無く、正直不安でいっぱいです。古典文学から近代劇にされた三島作品2作ですから、尚更歴史の重みを感じています」としたうえで、「人間の奥深い感情を、ストレートに演じることになると思うのですが、演出の宮田さん、キャストの皆さんと丁寧に思いを込めて演らせて頂きます。何より、足を運んで下さるお客様に満足頂ける『葵上』、『弱法師』をお届け出来るよう、努めて参ります」と、コメントを寄せている。

 演出は宮田慶子。

 11月に東京グローブ座、12月に梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティで上演。

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