【格闘家イケメンファイル Vol.46】軽量級のレジェンド 寺戸 伸近(てらど のぶちか)

撮影・神谷渚

 この連載2回目の登場となる寺戸伸近。約1年前のインタビューでは、同年4月に開催の「K-1 WORLD GP 2015〜 -55kg初代王座決定トーナメント〜」への意気込みを語った。そして今回、第5代Krush-55㎏王者のベルトを引っ提げ再び登場。

「2015年の4月に行われた『K-1 WORLD GP 2015〜 -55kg初代王座決定トーナメント〜』は準決勝で負けてしまい、その後休養していました。昔はこの階級はほとんど選手がいなかったが、トーナメントでは日本人4人が準決勝に進んだ。それを見て、ずいぶん選手が増えて、層も厚くなってきたなと思いました」

 約1年の休養を経て、Krush-55㎏のベルトをかけた試合に挑戦者として出場。

「試合が決まったのが去年の12月ごろ。堀尾選手が1回目の防衛戦に勝った後ぐらいでした。防衛した時点で、なんとなく自分とやることになるんじゃないかって思っていたので、話が来たときは、やっぱりなって。昔はそんなに目立つ選手でもなかったし、倒す選手というイメージはなかったのですが、最近ではほとんどKOで勝っていたので、すごいなと思っていました。でも僕は挑戦者ですから、全力で勝ちたいなという気持ちで挑みました」

 数々のベルトを手にしながらなぜかKrushには縁がなかった寺戸。

「Krushが始まった時からずっと出ているので、欲しいなという気持ちは持ち続けていた。でも本当に縁がなかったので、ちょっとあきらめかけていた時もありました。でもこうやってタイトルマッチをやることになり、これはやっぱり俺がとらなきゃいけないんだなと。ここできた縁を引き寄せないでどうする。選手はいっぱいいるのに、その中で自分にタイトルマッチの話がきたんだから、ここしかないと思いました」

 試合前のインタビューでは、もし負けたら進退についても考えなければならないと発言。引退覚悟だったのか。

「まあ、そうですね。実は去年のK-1の準決勝で負けてから11カ月間試合をしなかったのも、負けたことで糸が切れたというか、モチベーションを保つのが難しくなって…。負けたら本当に一からのスタートなので、歳も歳だし一度切れた糸をつなぐのが難しいんです。今回はうまく作り直せたけど、今度負けたらうまくつなげられるかどうか分からない。ですから、負けたら引退も覚悟かなと思っていました」

 そしてタイトルマッチ。ベテランの試合運びで堀尾を翻弄。

「今回は作戦をしっかり立てて、ほぼその通りの試合運びになりました。相手は飛び膝が得意なので、それをもらわないように常に距離感を意識していたので、堀尾選手は嫌だったと思います。また、常に冷静でいられたので、2Rにはどんどん上げてくることを想定していましたし、1回ダウンを奪った後は、死に物狂いでくるのが分かりましたから、そこも冷静にしのいだ感じですね。パンチが見えていたら多分倒れないので、全部見切って。それが経験値なのかもしれません。僕も試合でそういう失敗をしてきていますし、倒せると思ったら自分が倒れていたとかも。そういうのを思い出したり、セコンドの声もよく聞こえていたので、かなり冷静に、自分が組み立てた展開で試合をすることができました」

 次はチャンピオンとして挑戦者を迎え撃つ。

「久しぶりの挑戦者で、あらためて挑戦者ってこんな気持ちだったんだっていうのを思い出しました。しかしチャンピオンになって、今度は守るほうです。守るほうがプレッシャーはあると思うけど、守り過ぎて変な試合はできない。チャンピオンらしい試合をしながら、ベルトをきっちり守っていきたいと思います。今回の試合で、改めてたくさんの人の応援やサポートが身に染みてありがたいと思いました。昨年結婚して、嫁さんだけじゃなく、そのご両親にもサポートしてもらったし、もちろんジムの仲間や友達、ファンにも。そういうことにもっともっと感謝をし、それにこたえられるような試合をしていきたいと思っています」

撮影・神谷渚
寺戸 伸近(てらど のぶちか)
1980年9月9日生まれ、島根県浜田市出身。2003年12月7日、全日本キックボクシング連盟「Fujiwara Festival ー藤原祭りー」でプロデビュー。第2代 Mー1 バンタム級 王者。RISE 55kg級 王者(防衛1回)。第24代 全日本キックボクシング バンタム級 王者。2011年8月 ISKA オリエンタル世界バンタム級 王者(防衛3回)。3月20日に行われたKrush.64のKrush -55㎏タイトルマッチで、チャンピオンの堀尾竜司を破り、第5代Krush -55kg王者のタイトルを手にした。Booch. Beat所属。
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