大相撲八百長問題で元蒼国来の解雇無効

 大相撲の八百長問題で不当に解雇されたとして、元幕内の蒼国来(そうこくらい)(29)=中国出身、本名・恩和図布新(エンクート・フシン)=が日本相撲協会に幕内力士としての地位の確認や給与の支払いを求めた訴訟の判決が25日、東京地裁であった。古久保正人裁判長は解雇を無効と判断、請求を全面的に認める判決を言い渡した。判決が確定した場合、元蒼国来は土俵復帰が可能になる。

 元蒼国来の八百長関与を認めた元力士の証言の信用性や、相撲協会の解雇処分の違法性の有無が争点。古久保裁判長は元力士の証言について「供述は具体性を欠き、多くの疑問点があるといわざるを得ない」と指摘。解雇の直接の原因とされた取組については、八百長行為の有無が「明らかではない」と判断した。

 さらに、古久保裁判長は処分当時、協会の八百長行為に関する懲罰規定に解雇が明記されていなかった点に言及。「規定にない処分は違法」と結論付けた。

 判決によると、協会の特別調査委員会は元蒼国来が平成22年5月場所で八百長を行ったと認定。元蒼国来は引退勧告に応じなかったため、23年4月に解雇処分を受けた。八百長問題をめぐっては、元星風(29)=元十両、本名・ボルド・アマラメンデ=も同様の訴訟を起こしたが、1、2審とも敗訴し、最高裁に上告中。

 元蒼国来は「本当に長かった」と判決後の会見では安堵の声を漏らす一方、八百長相撲については改めて明確に否定。「一日も早く戻りたい」と、土俵復帰に向け力強く抱負を語った。日本相撲協会の当時の調査に対しては「何をいっても受け入れられず、この道(裁判)しかなかった。調査してくれればここまでにはならなかったのに」と苦言も漏らした。

 解雇後はジムでの筋トレなどを続けてきたが、「完璧なトレーニングはできていない」という。それでも、「応援してくれた方々への恩返しは土俵でする。今まで以上の相撲を取りたい」と語った。