受動喫煙条例に関する緊急シンポ開催「憲法13条に喫煙の権利を!」

緊急シンポジウム「たばこはそんなに悪いのですか?2017」リポート後編

 喫煙文化研究会が12月5日に都内で開催した緊急シンポジウム「たばこはそんなに悪いのですか?2017」リポートの最終回。シンポジウムの出席者は同会の代表を務める作曲家のすぎやまこういち氏、ジャーナリストの山路徹氏、須田慎一郎氏、経済学者の森永卓郎氏、参議院議員の石井苗子氏、現代史家の秦邦彦氏、弁護士の野中信敬氏。

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さまざまな意見が飛び交う壇上

電子たばこが規制対象になっていることについて野中氏は「制約する理由がない」
 また規制の対象に電子たばこが入っていることについては山路氏が「嫌煙家はにおいが嫌だったり、煙を吸いたくないから反対している。電子タバコの技術が進んで、全く他人に害を与えないとなった時は飛行機とかタクシーの中とかで吸っても構わないんじゃないかと思う。ダメなんですかね? 理由はなんなんでしょう」とここでも問題提起。須田氏は「理由は分かりません。科学的に害があるかないかが証明されていないというただそれだけ。日本の場合はタバコを吸っているその人自体がけしからんという、ある種の魔女狩りになっている。そもそも電子たばこはたばこなのか。たばこの定義をまずはっきりすべき」と言えば、すぎやま氏が「飛行機の中でたばこを持ってないのにたばこを吸うポーズをとっただけで注意された。なぜだ?と聞いたら“あちらにいるお客様からクレームがきている”と言われた」と実体験を語る。これらの件について野中氏は「制約する根拠は受動喫煙だけ。においも何も出ないなら制約する理由がないので対象から外さないといけない」と話した。

山路氏は「僕は吸わない人の権利を守ったうえで自分の権利も行使したい」
 ヒートしそうな場をちょいちょい和ませる森永氏は「私は護憲派でしたが、憲法を変えるのが一番いい。憲法13条ですべての国民は個人として尊重される。生命、自由、そして幸福追求、さらに喫煙に関する権利に関しては公共の福祉に反しない限りは最大限尊重する、というように憲法を変えると事態がすっきりすると思う。石井さん、13条をそう変えてくれるなら日本維新の会の応援団になります!」と話す。この憲法13条に関しては野中氏も「議論がどうしてもヒステリックになっている。憲法上は記載されていなくても13条の解釈の中には喫煙権が含まれるというのは憲法学者の中では圧倒的な通説。権利があるところに国家や公共団体が何らかの規制をするという場合は、どういう目的のためにやるのか。今は受動喫煙が目的のようだが、それは本当なのかということをまず問うべき」と話した。

 白熱した議論が続いたが須田氏が「論点が明確になってきた。合理的な理由があって、喫煙や受動喫煙に対する規制が行われているわけではないということが分かってきた。ヒステリックな批判や規制ではあるが、それに対し我々がヒステリックに対応したらどうなるのか。結果的に不幸な状況になっていくのでは。喫煙者もどこでも吸わせろと言っているわけではない。世間一般の平均的な常識の中で喫煙する権利は認めてほしい。そのことを愚直に訴えていくしかないのかと思う。今の日本では難しいとは思うが」とまとめると山路氏も「基本的には譲り合いだと思う。法律や条令で線を引いて、罰則規定を設けてやるようなことではなくて、人間社会のすべては譲り合いが大事。僕は吸わない人の権利を守ったうえで自分の権利も行使したい。譲り合いの社会でこそ、確実な分煙社会が実現する」とこの日の議論をまとめた。

シンポジウム前に署名を呼び掛ける石井、須田、山路の3氏

シンポジウム開催前に署名活動を実施
 またこの日はシンポジウム開催前に受付で「東京都受動喫煙防止条例(仮称)に関する署名活動」を実施。山路、須田、石井の3氏も参加し、署名を呼び掛けた。

 なお東京都では11月27日に同条例案のパブリックコメントを発表。9月8日~10月6日にかけて募集されたもので、 一部反対(3185人)と反対(5007人)を合わせると8192人と賛成の6464人を上回る結果となった。

 賛成意見の中には「たばこ自体を規制すべき」「罰則を確実に適用する体制を整備すべき」という過激な意見もあった。一方、反対意見の中には「喫煙者と非喫煙者の共存を図るべき」「本人の判断、喫煙の自由を認めるべき」といった個人の自由を尊重する意見が見られた。

 また「一部反対」という意見の中には加熱式たばこが規制の対象になっていることに懸念を示す意見もあった。

 この受動喫煙問題は2020年の東京オリンピック・パラリンピックとも密接に絡んでくるものなのだが、ここでも「オリンピック開催までに施行すべき」「オリンピック期間限定で規制すべき」と意見が分かれている。