片桐仁が「特撮モノに出たい。基地にいる人をやりたい」とアピール

中野氏からは円谷監督のそばにいたものしか話せない秘話がいくつも飛び出した
「特撮にNGはあってはいけない。NGにしないテクニックというのが演出のテクニック」

 これらの話から特撮における「NG」についての話となり中野氏は「特撮にNGはあってはいけない。リテイクとなると、また1カ月か2カ月かかってしまう。NGをOKにするテクニック、NGにしないテクニックというのが演出のテクニック」と特撮現場ならではの理論を展開した。また「映画ってドラマ。特撮という概念に縛られてはダメ。映画を面白くするための演出テクニックの一つ。特殊なものではない。だから円谷監督は“特殊撮影”という言われ方は一番嫌がっていた。“こんなもの特殊でもなんでもない”と言っていた」と話した。

 またウルトラQは濃密なドラマにも定評があるのだが中野氏は「30分の中ににこれだけの濃密なドラマを入れ込むのは一種の職人技」と話す。この日上映された「東京氷河期」にはかつてゼロ戦のパイロットだったという男が出てくるのだが、中野氏は「この頃はまだ戦後という言葉が日本人の中にあった。まだみんなが生きるのに一生懸命な時代。そんな時代に、この設定であれだけのことをできるのは零戦パイロットしかいないというのは第二次世界大戦を経験している人はみんな納得した。でも今の人にはピンとこないと思う」と解説。この男は出稼ぎに来ているはずが盗みを働いていたという複雑な設定なのだがこれについても「あれもリアル。日本は戦後、農業政策ができていなくて、地方の人は大変だった。農閑期に生きるすべが難しかった。これも今の人は分からないと思う。そういう時代背景がある」と続けた。