不可思「格闘技でワクワクできることを探していきたい」


 始めた頃の気持ち、格闘技の魅力というのはどういうところですか。

「お互いに殴り合う・蹴り合う・倒し合うというギリギリの、アドレナリンが出るところですかね。それが僕は最初に楽しいと思ったこと。これは他のスポーツと違うところです。ちょっともらうくらいの方が面白いんですよね。もらってしまうと、もっと燃えるというか。ただ、もらう=悪いことなので、なくそうと思った結果、いいところもなくしてしまった状態なので、もう、自分のいいところをとことん尖らせる作業にしよう、と」

 K-1には外敵として乗り込む

「参戦を喜んでくれているファンの方が多くて、それは素直にうれしいですね。自分自身が思い切り爆発できるような、気持ちをぶつけた試合をすれば、歓迎してくれている人もそうでない人も、どっちも盛り上がってくれると思うので、何か伝わるものがあるような試合を見せたいです。K-1はこれまで会場で何度か見ていますが、華やかで、お客さんの熱もあって、“自分もここで戦ってみたいな”と思える魅力的な舞台だとはずっと思っていました。K-1という名称はみんな知っているじゃないですか。『キックボクシング』と言うより『K-1』と言ったほうが伝わる人もいるくらいで、やはり特別ですよね。対戦相手の佐々木大蔵選手とは対照的な構図になっていて、面白いと思います。彼はアツい感じじゃないけどそんな彼を試合で飲み込んでやらないとダメだなと。今後は、日本人だとやっぱり安保瑠輝也選手と試合ができたら、試合内容だけではなく彼との対戦ということで面白い作品ができそうだなと思っています」



 リングに上がることを「作品」としてとらえている

「スポーツでもあるけれど、ある意味アートに近い部分があるというか。野球とかサッカーもそうですが、見ている人の感情が揺さぶられないといけないと思うので。お客さんが見たいのは単純に勝敗ではなくて、“興奮したい”とか“好きな選手が負けて悲しい”とか、感情が動くから格闘技が好きなんだと思うんです。だから試合だけじゃなく、試合も含めた前後のストーリーもあると思うし、それが、ひとつの作品というか、アートだと考えています。そして、やっぱりそれをやる側が一番楽しんでいるという熱量がないと、いい作品にはならないので、わがままなのかもしれませんが対戦相手を提示されたときに“よっしゃ、やってやる”と燃えるのが一番ですよね。例えば瑠輝也選手だったら自然とそうなるんです。熱を感じるので。本能的なモチベーションやアツさは、作ろうとしてなるものではなく、勝手に生まれるというか」