「“言葉の力”で、行動を起こそうとする人の 背中を押したい」阿部広太郎

今、考えるべき「2020年の、その先」
『BEYOND 2020 NEXT FORUM−日本を元気に! JAPAN MOVE UP!−』プロジェクト


「2020年以降の日本の活性化」をテーマに、世代や業界を越えて有識者らが集う『Beyond 2020 NEXT Forum−日本を元気に! JAPAN MOVE UP!−』。プロジェクトに賛同する各界のオピニオン・リーダーが、プロジェクトに込めた思いや展望、それぞれが2020以降に向けて行っている取り組みなどを語る。
阿部広太郎(あべ こうたろう)…コピーライター、作詞家。「企画でメシを食っていく」主宰
 コピーライターとして“言葉の力”によって多くの人が集う場や企画をいくつも生み出してきた阿部さん。その根本にある思いとは。

「人と人が、きちんと“出会える”場を作ることが大事だと思っています。例えば2020年には、世界中から多くの人が日本に集まってくるわけですけど、その人たちときちんと“出会う”ことが重要なんじゃないかな、それが本当の“おもてなし”なのではないかと思うんです。そんな場を作ることができればと、いろいろな企画に携わらせてもらっています。そのうちの1例が、暗闇の中で視覚以外の感覚を使い新たな気づきを得ていく『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』や、音の無い世界で互いにコミュニケーションを取ることで言葉の壁を超えた対話を体験する『ダイアログ・イン・サイレンス』、そして豊かに歳を重ねた高齢者のアテンドスタッフの案内のもと、歳をとることについて考える『ダイアログ・ウィズ・タイム』といった体験型エンターテインメントです。現代日本ではさまざまなツールでコミュニケーションを取ることができますけど、意外とまだまだ言葉の壁やコミュニケーションが足りていないなところがあると感じます。でもそういうことって、行動を起こそうとする人の実際に壁を超える体験をしないと、なかなかなかなか次につながらないんですよね。“ハーモニー ビューティフル”と訳される“令和”を迎えたのですから、国や文化、世代、障がいの有無といった壁を取り払って人々がきちんと出会い、混ざる場を生み出すことができればと」

 企業研修でも大きな反響を得ているダイアログ・イン・ザ・ダーク。今年秋には「内なる美、ととのう暗闇。」が神宮外苑でオープン。2020年にはダイアログ・ミュージアム「対話の森」も完成。こういった取り組みを通して阿部さんが期待することとは。

「人のアクションを増やしていくことはとても重要なことだと思っています。今ってけっこう“行動の格差”が生まれているんじゃないか、と感じることがあります。行動できる人とできない人とが分かれてしまっているというか。ダイアログを体験したことで、街中で助けを必要としている視覚障がい者の方を自然に手助けできた、という声をよく聞きます。行動したことがさらに次のアクションにつながるんですよね。だから最初の、行動してみようかな、と思っているその背中を押せるのかが言葉の力なのでは、と。その力を生かす仕事をこれからもしていきたいです」