トランプ政権が来年の大統領選見据え、パリ協定離脱を通知

11月4日、ケンタッキー州での選挙集会に参加したトランプ米大統領(写真:ロイター/アフロ)
 米国のポンペオ国務長官は11月4日、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱することを国連に正式通知したと発表した。

 米国は来年11月3日の大統領選直後にパリ協定からの正式な離脱が可能になる。再選を目指すトランプ米大統領は正式通知を行うことで、公約に掲げてきたパリ協定離脱へ歩みを進めた形だ。

 トランプ氏は2016年の選挙期間中から、人為的な活動による地球温暖化に懐疑的な立場を表明。温室効果ガス排出量の削減を目標とするパリ協定が、石炭など米国のエネルギー産業の足かせになるとして協定離脱を公約としていた。
 4日に南部ケンタッキー州で行われた選挙集会での演説では、パリ協定について「とてつもなくコストがかさみ、一方的(な内容)だ」と非難した上で、「パリでは(協定順守で)何が起きているのか聞いてみるがいい。あまり良くないことになっているはずだ」と主張した。

 温室効果ガス排出量が中国に次ぐ世界2位の米国が離脱すれば、同協定の取り組みが骨抜きになる懸念がある。一方、フランスなど欧州各国はパリ協定維持への努力を続ける構え。パリ協定は来年11月の大統領選でも大きな争点になるとみられ、各国は米国の選挙戦の行方も見据えながら、地球温暖化対策の道を探ることになる。